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「戦略ストーリーの5C」で振り返る、起業家としての軌跡

「ストーリーとしての競争戦略」を読んで、私は自らのビジネス経験を振り返り、深い洞察を得ることができました。著者の楠木建氏が説く「優れた戦略とは、思わず人に話したくなるような面白いストーリーだ」という主張は、私のこれまでの起業や事業展開の経験と強く共鳴しました。

私は建築、システム、マーケティングと多岐にわたる分野でキャリアを積んできましたが、それぞれの経験が互いに関連し合い、今の私のビジネスストーリーを形作っています。例えば、建築設計の経験は空間的な思考を養い、システム開発での経験は論理的な問題解決能力を磨きました。これらのスキルは、後のマーケティングコンサルタントとしての活動に大きく活かされています。

楠木氏が提唱する「戦略ストーリーの5C」は、私のビジネス経験を体系的に振り返る上で非常に有益な枠組みとなりました。

まず、「競争優位(Competitive Advantage)」については、私のAIを活用したマーケティング戦略が、従来の手法とは一線を画す独自性を持っていることに気づかされました。AIを単なるツールではなく「友達」として捉える私のアプローチは、クライアントに新たな価値を提供し、持続的な競争優位につながっています。

「コンセプト(Concept)」に関しては、「人間とAIの協調的な関係性構築」という私のビジョンが、ビジネスの核心を成していることを再確認しました。この明確なコンセプトが、クライアントや受講生に対して一貫したメッセージを伝える基盤となっています。

「構成要素(Components)」では、私の多様なバックグラウンドがそれぞれ独自の「違い」を生み出す要素となっていることを認識しました。これらの経験が互いに結びつき、他社にはない独特のサービス提供を可能にしています。

「クリティカル・コア(Critical Core)」として、私の場合はAIの倫理的かつ効果的な活用が挙げられます。この核となる能力が、様々なプロジェクトや講座の一貫性を保ち、ビジネスの方向性を決定づけています。

最後に「一貫性(Consistency)」については、AIの進化と人間の創造性の融合という一貫したテーマが、私のビジネス展開全体を貫いていることを改めて認識しました。この一貫性が、長期的な信頼関係の構築とブランド価値の向上につながっています。

楠木氏が指摘する「ストーリーは動画である」という考えは、私のビジネス展開の過程そのものを表しているように感じます。一つ一つの経験や決断が、時間の流れの中で互いに影響し合い、全体として一つの大きな流れを作り出しています。例えば、Facebookを活用した集客方法の開発から、AIを活用したマーケティング戦略の構築へと、時代の変化に合わせてストーリーを進化させてきました。

本書で強調されている「違いをつくって、つなげる」という戦略の本質は、私の起業後の経験とも深く結びついています。初めは仕事が取れず苦戦しましたが、徐々に自分の強みを見出し、それを独自の方法でつなげていくことで、ビジネスが軌道に乗り始めました。

5Cの枠組みを通じて自身のビジネスを分析することで、これまで直感的に行ってきた戦略立案をより体系的に捉え直すことができました。例えば、Facebookの集客メソッドから始まり、現在のAI活用戦略に至るまでの私のビジネス展開は、まさに楠木氏の言う「動画としてのストーリー」そのものだったのです。

さらに、この5Cの考え方は、今後の事業展開にも大きな示唆を与えてくれました。特に、BtoBで新しい価値を見出す活動を増やそうとしている現在、この枠組みを意識しながら戦略を練ることで、より強固で説得力のあるビジネスモデルを構築できると確信しています。

また、本書は私に、ビジネスの成功は単なる利益の追求ではなく、社会に対して独自の価値を提供し続けることだという気づきも与えてくれました。AIの発展が加速する中で、人間の創造性とAIの能力をいかに調和させ、社会に貢献できるかを常に考え続けることの重要性を再認識しました。

「ストーリーとしての競争戦略」は、経営戦略の理論書でありながら、読者の想像力を刺激し、自身のビジネスストーリーを紡ぎ出すインスピレーション を与えてくれます。それは単なる成功事例の模倣ではなく、各々が独自の文脈の中で戦略を構築することの重要性を説いているのです。5Cという具体的な枠組みを提供しつつ、読者の想像力を刺激する点で、本書は他の経営戦略書とは一線を画しています。この本は、ビジネスパーソンとして常に傍らに置き、折に触れて読み返したい一冊となりました。

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