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CRO3社の会計情報を徹底分析!(比較エクセル付き)

皆さんこんにちは!
ヘルスケア業界(CRO)で新規事業企画の仕事をしているヒロシズです。

今回は、ヘルスケア業界の中で一定の地位を確立している、医薬品等の開発支援企業であるCROの企業分析記事です!
本気を出してガッツリ書いたため長い記事ですが、時間があるときに少しずつ読んでいただければ嬉しいです。

はじめに:会計知識は、武器になる
私は社会人3年目に、知識が無い状態から会計の勉強を始めました。
そして、会計が理解できると世の中の数字の見え方(鮮明度)が一気に変わりました。
例を挙げると、会計知識を身につけて良かったと思える瞬間はいくつかあります。

・企業分析を数字から紐解けるようになった
・自分に「会計がわかる社員」というタグがついた
・実際に企業分析の仕事が来た

なお、上記に関連した経験は、以下note記事に具体的に書いています。

ただ、会計となると「勉強したいけど、何から手を付けて良いかわからないし、勉強する時間もない。」という方が多いかと思います。

そんな方々のために、これさえ読めば会計知識&実際の分析の様子が把握できるような記事を、今回つくりました!

記事の内容
今回の記事の難易度は、会計を勉強したことがない初心者~ちょっとだけ経験者向けです。
以下、本記事のコンセプト、内容、特徴です。

【コンセプト】
CRO(※)3社のEPS、シミック、リニカルの決算を比較&ヒロシズ目線での解説を通じて、会計が学べる
【内容】
① CRO3社の財務三表(PL、BS、CF)の比較と解説
② 収益性の指標(ROE、ROIC、ROA)の考え方とCRO3社の比較
~なぜこれら指標が存在するのか?~
③ CRO3社の3年分の決算まとめ(分析に使った元データ)の公開(エクセル)
④今後見るべき指標
【本記事の特徴】
・会計用語と実際の企業業績(決算)を繋げて読むことができる
・CROの財務分析に特化している
・本書を読むだけで、CRO3社の数字がまるっと理解できる
・CRO3社3年分の決算の数字をまとめたエクセル付き

(※)CROとはContract Research Organizationのことで、製薬会社の医薬品、医療機器、再生医療等製品などの開発業務を支援する企業のことです。
わかりやすく言うと、治験等を支援する企業です。

なお、EPS、シミック、リニカルを選んだ理由は、3社とも事業構造の毛色は違えど、メイン収益が臨床試験の受託であり、比較分析しやすいと考えたためです。
また、EPSとシミックの最新通期決算は2020年9月期ですが、リニカルは2020年3月期です。
そのため、EPSとシミック、リニカルでは、決算時点でCOVID-19の影響を受けている度合いが異なることをご了承ください。

このnoteを読めば会計情報の基本的な読み方とCROの会計情報がわかる!ように書いています!

本記事の想定読者(社会人、内定者、就活生)

・会計を勉強したことがないが、今後の勉強のキッカケが欲しい
・会計用語の理解から実際の企業分析までを繋げて勉強したい
・ROEやROICといった用語を、丸暗記ではなく背景を抑えた上で知りたい
・忙しくて決算分析をしている時間がないため、概要をサラッと知りたい
・CROの各社の業績に興味がある
・実際に企業分析を自分でやってみたい。そのための素材が欲しい
・就活や今後の入社に向けて、会計の観点から企業分析をしてみたい

それでは、いよいよ本編のスタートです!

① CRO3社の財務三表(PL、BS、CF)の解説

1-1:財務三表とは?

上場している企業は、法律で決算書の作成が義務付けられています。
この決算書は通称、財務諸表と呼ばれており、企業が一定期間(通常は1年)の事業報告のために作成する資料です。
株主や債権者などは、この財務諸表を読むことで、企業の財政状況や経営成績を把握できます。
そして、その財務諸表の中で特に重要と言われているのが、財務三表です。

【財務三表】
損益計算書(PL):一定期間の損益を示す
貸借対照表(BS):企業が保有する財産を示す
キャッシュフロー計算書(CF):一定期間のキャッシュ(現預金など)の流れを示す

企業分析においても、この財務三表の中身を紐解くことが非常に重要です。
次章からは、この財務三表を一つずつ説明します。

なお、財務三表を紹介しているサイトは多数ありますが、私は今回は以下のサイトを参考にしました。
https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/21688/

1-2:CRO3社の財務三表分析:PL編

損益計算書(PL)でわかるのは、「企業はその1年間で、どのような理由(本業/本業以外)でどれだけ儲けているのか?」です。
このPLで利益の大きさや発生理由がわかるため、企業の経営状況が分析できます。

今回は、PLの中でも重要な数字となる、売上高、営業利益率、純利益率を分析します。

売上高:会社が1年間で売り上げた額
営業利益率:売上高のうち、本業で出した利益の割合
純利益率:売上高のうち、様々な費用(営業費用、営業外費用、税金等)を引いて純粋に残った利益の割合

【各社の売上高、営業利益率、純利益率】

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【解説:売上高】
COVID-19の影響が出る前の2019年までは、各社とも売り上げを伸ばしています。
特に2019年度では、シミックとEPSは約5%の増収ですが、リニカルは約24%もの増収です。
この24%の理由には、決算資料(※1)を見ると①「新規案件の獲得」と②LLA(LINICAL Accelovance America)の買収が背景にある模様です。

※1:リニカル 2019年3月期 決算説明会資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2183/ir_material_for_fiscal_ym1/67061/00.pdf

また、2020年度は、EPSとリニカルは減収で、シミックは増収です。
2020年度の決算は、COVID-19の影響を受けて売り上げや利益が減少した企業が多いです。
CRO業界も臨床試験の進捗や新規試験の開始が滞るなど、影響を受けています。
ではなぜシミックは増収なのでしょうか?

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