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笑顔で決勝戦に臨むアスリートを見て、ハッとした。

オリンピックの閉会式が終わった。開催まで、とても長かった今回のオリンピック。
私にとって特に印象的だったのは、女子ボクシングで金メダルを取った入江選手の、試合前の笑顔である。

オリンピックの、しかも決勝戦ともなるとプレッシャーは素人が想像できるものではないだろう。その直前の選手の心理状態は、ほとんどが張り詰めたものだと思う。テレビで見られるのは、試合前に集中している選手の、集中モードに入った、近寄りがたくちょっと怖いような表情。
しかしボクシングの入江選手は、楽しそうな笑顔でリズムを取りながら入場してきた。

私はその様子を見て「ハッ」とした。これから最高に緊張する決勝なのに、楽しそうにしている。

「楽しんでいいんだ」と思った。


私は長いこと多くのお客様と接する仕事をしている。色々なお客様と接することで、学びがある。またお客様に満足していただけると、次も更に頑張ろうという気持になる。
チームで仕事をするので、私の持つチームのチームワークが良ければお客様に伝わり、お客様からお褒めのフィードバックがあると、チーム全体のモチベーションが上がる。やりがいのある仕事だと思っている。

とはいえ、仕事が始まる前には、過去のネガティブな経験を思い出して、緊張する。
責任者として、多数の難しいお客様と対応した経験から、仕事が始まる前は、そのシーンを想像してしまい、「今日はどんなお客様がいらっしゃるのだろう」と思うと表情が厳しくなるのだ。

お客様と対面で接する機会のある人ならご理解いただけると思うが、例えば多数のお客様がいる場で、一人のお客様からクレームを言われた時、周囲の視線や反応も気になってしまう。
周囲というのは他のお客様だけでなく、チームの後輩も含まれる。私がどう対応するのか、が見られている。

こちらに不手際がある場合はもちろん謝罪するが、その様子を見た他のお客様から、「あのやり方は・・・」といった別のクレームをいただくこともある。
そんな、負の経験が、仕事の前にはアタマをよぎる。

仕事は「する」もので「楽しむ」ものではない、と思ってきた。
私が子供だった40年前なら、決勝戦の笑顔での入場は、「緊張感が足りない」と言う人がいただろう。

ただ、チームで仕事をしていると、コアとなる人やムードメーカーが楽しんで仕事をしている姿は、周囲にも良い影響を与えていて、それが波及していくような感覚がある。

嫌なことがあったり、壁に突き当たると、なぜこの仕事をしているのか、と自分に問うだろう。でも別の道を選択しなかったということは、好きだからに違いない。

入江選手を見習って、とびきり楽しく仕事をしてみようかな。

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