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母を亡くして

突然、母が10月に他界した。
お風呂の中から、元気に「おかえり」と言った母
15分後には
呼吸は停止していた

結婚し、家庭をもってからも
ずっと父母と一緒に暮らしてきた私。
築いた家庭の事情により
フルタイムで働かざるを得なかった私に代わって
息子二人を育ててくれた。
保育園の送り迎えから始まって
高校、塾の送り迎え
そして
生活のすべて。

息子二人は巣立ち

85歳を過ぎ
急激に老いてしまった父母


私は二人姉妹の妹
幼いころから利発な姉と比べられてきた
そう、大人になってからも。
だからずっと生き心地が悪かった。

誰かが私のことを足が速いね
と褒めれば
母は決まって、「姉の方が速かったんだよ。走り方も・・・」
と言った。
私が教員になったとき
母は納得がいかないように
「姉の方が教員になると思った。お姉ちゃんは小さいころから・・・」
と言った。

私は姉と違って、友だちづくりが下手だと言われた。
あまり話さない私が
珍しく仕事の話をしたときでさえ
「姉の仕事はたいへんだ。でもよくがんばってる・・・」と
必ず話に水を差した。

すごい姉に対して
私は何一ついいところが見つけられなかった。


それなのにどうして
私なんかと同居したのか
最初からそれは疑問だった。
私と同居して楽しい生活なんて思い描けなかっただろうに。

年老いてカラダも心も弱くなっていく母に

労わる言葉さえ、かけることはできなかった

それでも
このまま母が亡くなるようなことがあったら
私は生きていけるだろうか・・・
半年くらい前から
胸を締めつけられるほどの不安で
夜半に目を覚ます日が続いていた。


あれは虫の知らせだったのか

お互い苦しい気持ちで生きてきた

やっと
母は、そこから解き放された

私は

母を亡くして

悲しいとか
寂しいとか
そんなことより

ますます自分が嫌いになった

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