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再エネ業界における24/7マッチングという考え方について

私は現在エネルギー業界において、新規事業企画業務を行っているのですが、最近再生可能エネルギー業界で出始めてきたキーワードとして”24/7マッチング”というものがあります。

24/7というのは24時間365日という意味です。

電気は発電と消費が同時に同量発生する

これについて説明するためにまずは電気の性質について説明したいと思います。電気は基本的には蓄電池等を使わないと溜めることができずに、発電と同時に消費を行う必要があるものになります。つまり発電した電力量とその時間及び消費した電力量と時間が一致している必要があります。
これがどちらかに偏りが出てしまうと停電につながってしまうために、東京電力等の電力会社はそうならないために、消費に合わせて発電する量を調整しています。

場合によっては、発電側の調整がそのキャパシティーを超えそうになることもあり、その場合は先日発生したような節電のお願いに繋がったりもします。

電力業界における24/7マッチングというのは発電と消費が同時同量24時間365日発生する、という意味で使われています。

ただこれだけだと、今までの電力需給マネジメントと何ら変わりないものです。

カーボンニュートラルについて

次に最近色々な企業や政府が宣言をし始めているカーボンニュートラルについて説明します。

カーボンニュートラルとはその名の通り、Co2排出量が、排出量と削減量を足し合わせて0になるという意味です。つまり実質Co2を排出していない状況になります。

Co2排出量算定の基準はGHGプロトコルというものがあり、こちらが国際的なものになっていますが、Scope1,2,3と3つあります。
Scope1は工場での排出等の自社で排出しているCo2について、Scope2は他社が産出したCo2排出を伴う電力を使用することにより間接的な排出について、Scope3は自社の製品を製造される過程で排出されるCo2についての基準になります。

今回の話は電力に係るCo2排出になるので、Scope2に係るものということになります。

Sope2におけるカーボンニュートラルを達成する手段はいくつかありますが、一番わかりやすいのは再生可能エネルギーの発電所と電力を消費する例えば工場を直接電線で繋いで、工場で消費する電力は全てその発電所からの電気で賄うという方法です。
この方法はわかりやすいですが、一方で達成は困難と言って良いものになります。
先ほど説明した通り、電気は発電と消費が同時同量で発生する必要があるものになります、つまり工場で消費する電力と同量の電力を発電し続けている必要があるということです。
一方で、再生可能エネルギーは太陽光や風力等の自然からのエネルギーを電力に変換するものが主になり、発電量は日によってバラバラになるもにです。従って、再生可能エネルギー発電所と工場を直接繋ぐ方法では、工場の消費量を全て安定的に賄うのはほぼ不可能であるため、足りない分については、電力会社から電力を購入する必要があります。

ではどのように企業はカーボンニュートラルを達成しようとしているかというと現在主流となっているのが、”証書”の購入です。
証書は再生可能エネルギーで電気が発電されたことの証明書で、電気の価値とCo2排出が0である価値いわゆる環境価値が分割され、環境価値のみが化体したものになります。

この証書は電力量であるkwhで表され、企業が購入するとその購入量分の電力についてはカーボンニュートラルであることが対外的に言えるようになります。
つまり上の例でいうと、再エネ発電所からの電気では足りない分については電力会社から購入する必要があり、その電気は化石燃料由来だっとすると、その電力分の証書を購入すれば、実際は化石燃料由来にした電気を使っているが、証書によってそれが帳消しされ、カーボンニュートラルである、と言えるようになるわけです。

ただ、この方法はグリーンウォッシュとも呼ばれ、お金で解決されていると外部から見られることもあり、あまり評価が高い方法ではありません。

再エネの24/7マッチング

そこで、最近出てきているのが本題となる24/7マッチングになります。つまり再エネ発電所の発電と消費の同時同量を24時間365日目指すということになります。

この達成はかなり困難なものであるため、現状は全く一般的ではありませんが、企業でいうとGoogleやMicrosoft、国際団体だと、国際連盟やEnergyTag, Energy Web Foundation(ブロックチェーン関連の団体)等がこういった取り組みに現時点で与しています。

方法としては、全て電線を工場等に直結する方法はやはり現実的ではないため、一部は電力会社から電力を購入しますが、その電力をシステム的にトラッキングを行い、再エネ発電の発生と消費の発生が同時同量になるように管理するというものがあります。

以前ご紹介したブロックチェーン技術を使った方法も取られています。

まとめ

以上が再エネにおける24/7マッチングについての説明となります。現状では、世間に認知されていない概念かと思いますが、Google等の世界的企業や国際連盟がこのような取り組みを推進し始めているので、いずれ世間に浸透する考え方になるのではと考えております。

本日は以上になります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

エネルギー業界において、カーボンニュートラル・ブロックチェーン等をテーマに新規事業企画・推進を行なっている筆者が、カーボンニュートラルやブロックチェーンについての最新動向・実現場での動き・新規事業企画業務について等を公開しております。
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