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カタールW杯 日本対スペイン

カタールに入り、三日目遂にスペイン戦を迎えました。試合はハリファ国際スタジアムにて現地時間22時キックオフ。
この日は朝から気持ちを作り、昼過ぎには日本で調達した、袴とハチマキ、日の丸を身に纏いまずは市場(スーク・ワキーフ)に向かいました。

この時はまだ自分たちがこの日の主役になるなんて知る由もありませんでした。

まず、スーク・ワキーフに降り立った私たち。
街の中心地に行くやいなや大量の外国人に囲まれます。会う人会う人写真を撮ってくれと言われます。そこに国籍や人種の壁はありません。ワールドカップはその空間にいる全員が友達なのです。
この写真はスペイン人と写真を撮っていたら、初戦の相手であるドイツも映り込んできたという写真です。ちなみにモロッコとチュニジアも映り込んでいます。いろんな人が映り込んできたこの写真は、ワールドカップの空気感が伝わる良い写真だと思います。

スーク・ワキーフ

写真を撮っていると、また他の人が囲んできて写真を撮ってくれと言ってくる。誇張ではなく本当に歩けないほど、写真を要求されました。
その後一段落し、夜ご飯を食べました。料理名はわからないけど適当に頼んだら鶏肉とご飯がきました。現地の料理は基本こんな感じ。ご飯の上に鶏肉がのってたり、カレーのルーのような食べ物が多かったです。そして大体美味しい。

スーク・ワキーフで食べた夜ご飯

エネルギーをチャージした私たちはその後、スタジアムへ向かいます。22時キックオフで最寄駅に着いたのは18時30分くらい。絶対に勝つと意気込んでたので開門前につきました。ちょっと早すぎる。笑
今思えば、ドイツとスペインを撃破したこのスタジアムは我が日本のホーム、聖地と言っても過言ではないです。このスタジアム迫力があって、めちゃくちゃかっこいい。

ハリファ国際スタジアム

そしてここからがすごかった。スーク・ワキーフでなんかめちゃくちゃ今日写真撮られるなと思ってた私たちですが、スタジアムに着くと今までの比ではなく「日本!?写真撮って!」と声をかけられまくります。以下の写真は厳選したものです。

アジアの大応援団
スペイン人からも写真撮ってと言われます

ちなみに一枚たりともこちらから「写真を撮ろう」と声をかけたものではないです。ハチマキをする外国人や日本のユニフォームを身につける外国人を見るとどれだけ日本が応援されているかわかると思います。ユニフォームは1枚1万円はするので本当に応援してないとなかなか手が出ないものです。
このような感じで開門してからスタジアムの中に入るまでの約2時間、ひたすら声をかけられ写真を撮りました。写真を撮っていると通りかかった人が人だかりを作り、入れ替わりで私たちと写真を撮るという形です。あまりの人気ぶりに(SPのいない)アイドルにでもなった気分でした。
写真を撮る際、ユニフォームを着ている人に話を聞くと、香港やフィリピン、タイといった割と日本に近い東アジアの諸国からヨルダンやイラク、サウジアラビアなどの西アジアの国の人まで様々でした。アジアの人が多い一方で、欧州系の人でユニフォームを着てくれている人も多くて嬉しかったです。
そして入場。スタジアム前で日本サポーターに囲まれていたため「日本のサポーター結構多いなあ」という印象を持ちながらいざ席に座ると、自分たちの周りがスペインサポーターだらけでビビりました。席は一応日本応援席側の少しはずれたところ、コーナーの上辺りでした。

客席

しかし、隣のヨルダン人に声をかけると「俺は日本応援してるよ、だって日本はアジアの希望だもの」と言ってました。これは嬉しい。
いざ話してみると、横のヨルダン人も前のスリランカ人の家族も後ろのインド人も斜め前のブブゼラ吹きまくるロシア人みたいな人も日本グッズを身につけていないだけでみんな日本を応援していました。
なんだ、日本サポーターめっちゃいるじゃん!

自前の太鼓を叩いて日本を全力応援してくれたインド人たち

そして試合開始。
一点ビハインドで試合が進むも、後半開始間も無く日本の電光石火が炸裂しスペインから二点を奪い日本が逆転!
そこからは会場中がスペインのボール回しにブーイングをし、日本のチャントを口ずさみ、リズムに合わせて手を叩く。日本サポーターはもちろん、会場が日本を応援する、まるで日本のホームかのような雰囲気に包まれていました。試合終了間際は日本の勝利を待ちわびる観客が総立ちし日本を後押ししていました。日本人としてこんな嬉しい光景はないです。
スペインの猛攻を耐え凌ぎ、試合終了のホイッスルが鳴り響きまさか、まさかの日本が勝利。1位通過を決めます。

グループリーグ最終結果


日本がスペインに善戦し、勝った時の会場の盛り上がり方。心の底から日本の勝利を喜ぶ外国人。帰り道、世界中の様々な人からかけられる「おめでとう、にっぽん!」という祝福の声。
「日本ってめちゃくちゃ応援してもらってんだな、愛されてるんだな」と身を持って感じ、涙がこみ上げそうになりました。

帰りのメトロ

スペインを撃破した衝撃は街中に轟きます。翌日も街の主役は日本です。
その日はもちろんのこと、翌日もドーハの街のどこにいても祝福の声は止みません。みんな笑顔で声をかけてくれます。中には、スマホで日本語に変換して祝福してくれる人もいました。「おめでとう」の後には「次の試合も頑張ってください」と画面に映してくれました。こういう一つ一つの祝福や思いやりが胸を一杯に、心を豊かにしてくれます。

メトロの中でわざわざ日本語に翻訳して祝福してくれました

今回のワールドカップでは6試合を観戦し、様々な国の試合を見ました。
その上で贔屓目なしに日本の試合の会場の雰囲気は他の国の試合とは違った雰囲気を醸し出していると感じました。
というのも、どの国の試合も、試合を行う二国のサポーターと第三者的に観戦に来たサポーターといった具合にサポーターが別れてる感じがしました。一言で言うならば、部外者感。ある国を応援していても所詮違う国籍の人間という感じ(と言ってもみんなフレンドリーでめちゃくちゃ楽しいですが)。受け入れられていないというかなんというか。
一方で日本の試合は温かい雰囲気だったように思えます。これは日本のことを応援してくれる外国人サポーターと彼らを心から歓迎する日本人の双方が作り上げた雰囲気かもしれません。

テレビでドイツ戦やコスタリカ戦を見た時、日本の歌声大きいし、スタンドは結構青く染まってて、日本人結構詰めかけているんだなと思っていました。しかし、いい意味で現実は違いました。会場内で日本を応援する半数かそれ以上は外国人でした。これは現地に行ってない方からするとかなり意外で、にわかに信じがたいと思います。私自身、外国人が日本を応援する姿はあまり想像していませんでした。

というのも日本人は日本に対して、人口減少や政治の混迷、物価高で生活が以前より困窮してるのに賃金が上がらないなどのネガティブな印象を持っている人が多いと思います。また、社会全体としてどんよりとした日本に対するネガティブな雰囲気が蔓延し、日本を過小評価し卑下しているような気がします。
実際、私も日本は大好きだけど、世界から見た日本はそんなに大した国ではない。今や胸を張って世界に誇れる国ではないのではないかと考えていました。

しかし今回、カタールで世界中の人と話し、日本に対する客観的な視点を得ることができました。
「日本は世界に愛され、あらゆる側面でリスペクトされている素晴らしい国」だと気付かされたのです。読者にはこの事実を伝えたいです。

フードコートでナルトとワンピースの好きなキャラを力説するお父さん。
ワンピースの好きなキャラクターを羅列する人。(複数人)
地下鉄で「心臓を捧げよ」と進撃の巨人のセリフを片言の日本語で連呼する人。
デスノートが大好きなお兄さん。
スーパーで「俺、柔道の黒帯なんだよ。いっぽん!!」と話しかけてきてくれるおじさん。
「日本に行くのが夢なんだ、日本に行けることになったら連絡するから電話番号教えてくれ」というガーナ人のセキュリティの兄ちゃん。
「日本にもう10回くらい行ってるよ、北海道も東京も熊本も沖縄も行ったんだ」という韓国人の大学生。
「年末、にせこにスキーしに行くんだ」という試合で席が隣だったオーストラリア人の大学生。
勉強中の日本語で話しかけてきてくれるタイ人。
ハチマキを指差して「それ頂戴!」と言ってくるアルゼンチン人。
日本の試合後に日本人に混ざりゴミ拾いをする外国人たち。

世界中のいろんな人が、日本の文化、アニメ、観光地、日本人の振る舞いなど何かに興味や尊敬の念を持ち、日本を好きでいてくれています。
日本人としてこれ以上ない幸せだと思います。

私はカタールという遠く離れた異国の地で、日本という国がいかに愛されているかをいろんな場面で実感しました。
これは紛れもなく、今まで日本人が世界のどこかで人に優しくしたり、日本文化を広めたり、日本人として誇らしい振る舞いをしたことに起因していると思います。

私は今後も日本に誇りを持ち、日本が愛され尊敬されるような国であるために尽力しなければいけないという使命感を覚えました。大それたことを言いましたが、身近なことから始めようと思います。
例えば、駅で困っている外国人を見てみぬ振りをせずに声をかけて助けてあげる。(簡単なようで難しい)

一人ひとりの気遣いや優しさが日本の評価を上げ、日本のファンを増やし、誇り高い国であり続けることに繋がると思います。

今回カタールに足を運び、「世界のなかの日本」を知るいい経験が出来ました。





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