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髪と髭


はじめに

 男性にとって、髪や髭(ひげ)の悩みは尽きることがありません。年齢を重ねるにつれて毛髪が薄くなり、ひげを生やすには毎日の手入れが欠かせません。口ひげや顎ひげはかっこよいのですが、その手間も相当です。さらに、髪の量に関係なく増える白髪も気になります。正直に言えば、私の髪はかなり少なくなってきました(笑)。父や祖父から受け継いだDNAのせいなのでしょうか。そう考えると、なんとも仕方がありませんね。

毛髪とDNAの関係

 そこで、髭や髪の毛とDNAの関係について調査してみました。非常に興味深い結果が見つかりました。ラテンアメリカ諸国(ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー)からの6,630人のボランティアのDNAおよび毛髪サンプルを用いた研究が発表されています。

研究結果はこちら

 この研究では、16個の遺伝子が髪や眉毛、髭の形質に関わることが確認され、そのうち10個の遺伝的変異が関係することが発見されました。

 さらに、アジア人に着目すると、EDAR遺伝子が関与しているとされています[1]。ここで重要なのは、ヨーロッパ人とアジア人の遺伝子の差によって毛髪の断面積が異なるという事実です。

白髪

 白髪については、メラニン色素の生成に関与するインターフェロン調節因子4遺伝子(IRF4遺伝子)が関連しています。遺伝子が正常な場合は、茶色や黒になりますが、異常があるとグレーヘア、白髪になるらしいのです[2]。
IRF4遺伝子については、下記のリンクが詳しいです。

詳しくはこちら

AGA(男性型脱毛症)

 AGAは、AR/EDA2R遺伝子が関与していると言われています。AR遺伝子はX染色体にあるため、母親の父(祖父)から受け継がれます。常染色体の3q26[5]や20p11上にも疾患関連遺伝子の存在が知られているため、父方の脱毛が息子の脱毛に関連することも知られています。

EDA2R遺伝子情報 (ヒトのゲノム・データベース)

を読んでみたのですが、EDA2R遺伝子がAGAに関係すると書かれています。
アンドロゲンレセプター遺伝子のCAG※及びGGCのリピート数が少ないと悪玉男性ホルモンの量が多くなる[3]との発表もあります。反対にそのリピート数には関係ないとの研究もあります。
 現段階でまだ十分な解明が進んでいないようです。遺伝子がどのように発現するのか(酵素の生成に関係するのか)、さらには他の要因との関連性についても多くの研究が必要とされています。この分野にはまだ多くの謎が残されており、さらなる研究が期待されます。

※DNA塩基 C=シトシン、G=グアニン、A=アデニン、T=チミン

おわりに

 毛髪や髭の悩みについて理解が深まる一方で、引き続き研究が必要な分野であることがわかりました。
 これからもAGAと白髪に関する遺伝子とその遺伝子によるタンパク質発現の仕組みの解析が進み、安全に治療が可能になることを期待します。
 AGA治療については、[6]が詳しいのでご参考まで。医療機関にかかる必要がありますし、自分は薬の副作用が怖いため治療をしていません。

参考資料


[1]遺伝子・ゲノムから見るヒトの多様性 tits_19_7_72 (jst.go.jp)
[2]白髪に遺伝が関係しているのは本当?遺伝子と白髪の関係について - 白髪ペディア (shiragapedia.com)
[3]【医師が教える】論文を解説! 薄毛・ハゲが遺伝のせいだけではない決定的根拠とは | AGAタイムス Powered by 医療法人則由会 AGAヘアクリニック(ヘアクリ) (agahairclinic.or.jp)
[4]男性型脱毛症 - Wikipedia
[5]Genome-wide scan and fine-mapping linkage study of androgenetic alopecia reveals a locus on chromosome 3q26. - Abstract - Europe PMC
[6]AGA治療薬の効果と副作用|全7種類の特徴と薄毛を改善する選び方 - CUSTOMLIFE(カスタムライフ) (customlife-media.jp)



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