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サンタさんどこですか?

今年のクリスマスイブ。
金曜日だから昼間は静かだろうと勝手に思ってたけど
どこに行っても人が群れていた。

クリスマスフェアだと言って
クリスマスに縁もない和食居酒屋がなんだかイベントしてる。

【クリスマス】といえば  
なんでもかんでも許されてしまうような 
そんな街の浮かれた空気感がいつになっても好きになれない。

兄弟の末っ子ということもあり、
クリスマスはおもちゃを買ってもらえる日という認識だった。
サンタさんの話が出てくるときには
それは親なんだ!と兄から言われ
驚くこともなく、なるほど〜と思っていた。
だからもちろん、サンタさんへの手紙を書いたことはない。
予算が決まっていて
おもちゃ屋のチラシの中から一生懸命吟味する。
一人7,000円まで。
兄と姉と協力して21,000円で何が買えるか。
クリスマスの前といえば兄弟会議が日課になる。

そんなクリスマスに思い入れも特にない。
大人になれば与える側になる。
面倒な季節だ。

夫には毎年決まった香水をプレゼントする。
今年ももちろんCHANELの香水。
だが、私は知っている。
夫が数日前に資生堂の香水をネットで購入していたこと。
そしてそれを、隠すように持ち歩いていること。

夫は毎年、私には何も買ってくれない。
【住むところを与えているだろう】
亭主関白すぎて最初は抵抗したが、
今は抗うことすら無駄だと理解している。

クリスマスなのに、予定は…ない。
可哀相!などと言われるが、関係ない。
どうでもいい。



スーパーに買い物に行く途中の保育園から
【さんたさーーん。どこーーー】
【わたしは ここにいるよー】と可愛い園児の声が聞こえた。

ふとそちらに目を向ける。
保育園のベランダに一人、大人が立っていた。
まるで、わたしのようだ。
いや、私だったのかも知れない。

サンタさん。あなたは一体どこで何をしているの?
何をしたら、あなたに出会えるの?

よし。今日から1年。いい子に過ごしてみよう。

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