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超少子高齢化と教育 - 地方の未来をオンラインで照らす

 一般社団法人CAP高等学院の代表理事をしています佐藤裕幸です。CAP高等学院は広域性通信制高校である鹿島山北高等学校と提携しているサポート校で、高校卒業に必要な単位を所属する生徒さんに最適な形で取得をしてもらうためにサポートをする一方、時間割がないオンライン上の学校にすることで、生徒さんの情熱と才能を解き放ち、自分の在り方を考えてもらっています。

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 今回は、日本の地方で進行する超少子高齢化が地域の教育に及ぼす影響、超少子化によってもたらされている地方小規模校のメリットとデメリット、そしてこれらの課題をどのように解決できるかについて深掘りしていきます。


超少子高齢化の現状と地方教育への影響

 日本各地の地方は、若い世代の減少と高齢者人口の増加に直面しています。私が現在、移住・定住相談支援のサポーターをしている川俣町にも同様のことが言えます。この動向は、学校の生徒数の減少や学校統合の増加につながり、地方の教育環境に大きな影響を与えています。特に、教育資源の不足や教育機会の不均等が課題として浮き彫りになっています。

教育資源の不足

 生徒数の減少により、地方の学校では教育資源の不足が深刻化しています。教育資源とは、教育的に活用できる環境資源であり、人的資源・物的資源・財政的資源が挙げられる。生徒数の減少による学校統合の波が、教師の配置に影響を与え、また昨今の教員の成り手不足から起こる教材の更新、教育プログラムの充実が困難になり、生徒に対する教育の質が落ちる恐れがあります。

教育機会の不均等

 また、地方と都市部の間で教育機会に格差が生じています。先進的な教育プログラムや特別な教育機会は、GIGAスクール構想などでICTの利活用が飛躍的に進んだとは言え、主に都市部に集中しているため、地方の子どもたちはこれらの機会を享受しているとは言い難い状況が相変わらず続いています。

地方の学校に見る小規模校について考える

小規模校のメリット

 小規模校には、密接なコミュニティの形成や個別指導の充実など、大きなメリットがあります。生徒一人ひとりに対する注意が行き届き、学習の質が高まることが期待できます。現在移住・定住のサポートをしている中で、少ない子どもたちになされている支援は結構手厚いとも考えられます。

小規模校のデメリット

 しかし、小規模校には、いじめや人間関係の問題が長期化しやすい、教育内容の多様性に欠ける、特定の学習スタイルに偏るリスクなどのデメリットが存在します。実際、移住・定住サポートをしている川俣町は全ての小学校・中学校が一つに統合されたので、小中学合わせて9年間同じメンバーと過ごしていることになります。何か一つ大きな問題が生じると、人間関係に深く影響が出ることは想像しやすいことです。

オンライン活用という選択肢

 これらの課題を克服するために、今改めてオンライン活用を提案したいと思います。以下にその利点を書いていきます。

  • 多様な教育機会の提供:オンライン教育を通じて、地方の生徒も都市部の生徒と同じ教育機会を享受できます。例えば、東京や大阪などの大都市に限らず、全国には高度な授業を提供できる教員が数多く存在します。これらの授業がオンラインを通じて地方の児童・生徒にも開かれるわけです。これにより、教育の質が向上し、学ぶ意欲の促進が期待できるのはもちろん、自分に合う授業を見つけることも可能になりますし、教員不足という最近深刻な課題として捉えられていることも解消できるわけです。

  • 先進的な学習スタイルの導入:テクノロジーを活用した革新的な教育方法を取り入れることで、生徒の学習体験が豊かになります。たとえば、VR(仮想現実)を使った実践的な科学実験や、AI(人工知能)を活用した個別指導により、生徒がこれまで経験したことのないさまざまな学びになります。これは、テクノロジーという生徒が未来社会に適応するための重要なスキルを身につける機会を提供することにも繋がります。

  • 社会的な繋がりの拡大:オンライン活用では、日本全国のみならず世界各地の生徒との交流が可能です。例えば、海外の生徒とオンラインでつながることで外国語を学ぶことができるだけでなく、共に学ぶことによる異文化理解が深まります。これは僕が運営しているCAP高等学院の生徒たちの話になりますが、フィリピンの高校生と、日本語とタガログ語の表現の仕方や日本とフィリピンの文化の違いなどを英語を共通の言語にしながら、ディスカッションしました。また、CAP高等学院に所属しながら、カナダのセカンダリースクールに2年間留学することを決意し、昨年9月からカナダで充実した生活を送っています。実際、これにより、地方の生徒も多様な背景を持つ人々との交流を通じて、広い視野を育むことができ、選択肢の幅も広がっていきます。

  • 安心で柔軟な学習環境:文部科学省が2023年10月3日に公表した2022年度の小中学校の不登校者数は299,048人となり、過去最多を更新しました。児童・生徒にとって安心・安全な場所づくりはとても重要な課題ですが、オンラインを活用することによって、学校に行くことができなくても、自宅で安心して学べることに加え、自分のペースで学習できる柔軟性があります。これは不登校になっている児童・生徒に限らず、先日北陸で発生した地震などのような大きな災害時にも、安心・安全な学びの場と機会を提供することになります。これもまた僕が運営するCAP高等学院の話にはなりますが、生徒が自分のスケジュールに合わせて学び、他の活動や家庭の事情に左右されずに学ぶことができます。これは、生徒の精神的な安定に寄与し、学習効果を高めます。

CAP高等学院の生徒から送られてきたカナダの風景

僕の最終目標にもつながる

 完全オンラインで通信制高校サポート校・CAP高等学院を運営している僕が、オンライン活用について書くと、もしかすると「なんだ、宣伝か!」と思うかもしれません。もちろん、この記事を読んで、CAP高等学院に興味を持ってもらえたとしたら、それはそれでとてもありがたいことです。
 しかし、僕が本当に願っていることは、「すべての学校でオンライン等をフル活用し、公的な場で多様な児童・生徒の学びを保障する」ことです。もっと言えば、
「CAP高等学院のようなサポート校がなくなっても児童・生徒の学びが担保されること」
を望んでいます。
 地方の超少子高齢化という現代の課題を背景に、教育環境の変革が求められています。
 コロナウイルス感染拡大による行動制限もなくなり、直接会うことの大切さも改めて実感しています。その一方で、コロナ以前よりも情報等の格差は広がっています。だからこそ、改めてオンライン活用について真剣に考えてみてはいかがでしょうか?



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