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ファッションは、褒めなきゃ伸びない

普通、どんな業界でもお客さまもしくは見込み客に対しては、親切丁寧に対応して「ここなら大丈夫かも」と思ってもらえるように努力します。まぁ実際契約したら別の無愛想な人が出てきたり解約には重すぎるペナルティがあったりするわけですが、とりあえず入り口はなるべく広く、入りやすくするのが鉄則です。

ところが、わざわざ入り口を狭めて入りにくくしている業界があります。何を隠そう我がファッション業界です。

先日WEBの記事を見ていたら、まだそういうことをやってるのかという内容がありまして。「こういうファッションは老け見えだ」とか「ダサ見え」とかご丁寧にイケてないイラストを描いて説明して、こうしましょう!みたいなビフォーアフターが載っている。

コメント欄を見ると、僕が企画者だったら真っ暗な部屋で米津玄師のLemonをリピートで聴きたいような言葉が並んでいます。「どうしてこんな雑誌になってしまったのでしょう?」なんて言われたくて企画したんじゃないでしょうに。

だって、クルマ業界で「こんなカスタムはダサい」「こんな人は乗る資格なし」特集なんてしませんよね?アニメ雑誌で「このキャラを選ぶのはセンスない」「この作品を知らない奴はファンの資格ナシ」特集も見たことないし。エヴァだろうが宮崎アニメだろうが東京喰種だろうがどれが好きだっていいじゃない。

要はそういう分断をやっちゃってるんです、ファッション業界は。

「(こっちが勝手に決めた)平均レベルにないアナタ、ヤバいですよ!ダサいままでいいんですか?」という圧がスゴい。お前何様やねんと。どんだけ上から物申してんねんと。東京生まれだけど心は関西人なので許してください。

そんな姿勢だから結構な人が「やっぱり自分はセンスないんだ…そんな厳しくチェックされるの怖いし道のりが長そうだから諦めます…」ってなっちゃうんです!ここは強く言いたい。

ただでさえ下がり気味の業界なのになんでそうなのか。自分たちが啓蒙してやるという傲慢さか。そうは思いたくないけど、事実まだそんな感じがあるんですよね。昔はそういうスタイルで良かったかも知れない。雑誌が唯一の情報源だったから。

でもね、今ってファッションに限らずお客さんの方がジャンルに詳しい時代です。本当にコアな人やアンテナが立ってる人は扱ってる側より精通してたりするから、ファッションに興味がある人は自分でセンスを磨けるのでメディアに頼らなくていいから離れていく。でも本当に困ってる人は敷居が高く感じて入ってこれない。下が育ってないからアパレルは不振なんです。

そもそも時代的に、誰かをサゲて誰かをアゲようというのが合わないんですよ。

好みはあるでしょうが、お笑い第7世代と言われる霜降り明星やEXITが塊で売れたのも従来のサゲアゲの笑いでなく仲の良さや絆を前面に出したからだし、テラスハウスの悲しい事件でも誰かをサゲて満足感を得ることの虚しさが浮き彫りになりました。

スタイリストという仕事をしていると、以前から「厳しいこと言わないんですね?」とよく言われたんですが、個人的にはすごく違和感があって。みんなピーコさんやドン小西さんみたいに辛口で言わなきゃならんのかと。おブス〜!とかあれビフォーアフターのためのTV演出だからね。
 

ファッションは、褒めなきゃ伸びません。

 
もちろん道を極めようとかスゴい結果を出そうとしてる人であれば厳しくされたりハイレベルな要求もされるでしょう。でも最初の段階でダサいとかダメとか言われていい気分になる人は居ませんよね。

なんの意味があるのかな?と思ってもよくよく聞くとその人なりに考えてやったことだったりする。そこは褒めていいじゃないですか。でもそれを表現したいならもっといい方法がありますよ、と提案してあげればいい。

人それぞれの良さを認めて、そこを伸ばしていくようにすれば自然とオリジナリティが出てくるし、何より本人が楽しんで取り組むようになります。

褒められなきゃ楽しくないでしょう。往年のスポ根アニメじゃあるまいし。アタックNO1とかエースを狙えを今リメイクしたらコーチは相当マイルドなキャラになったりして。常に笑顔の宗方コーチも違和感あるけど。

ちなみに「相手のためを思って怒るのはいいこと」みたいな話がありますが、僕は疑問です。怒らずに分かってもらう方が技術が必要だし会話のセンスも要るから。なんでも厳しくすれば、エキセントリックに言えばいいとという話じゃないと思っています。お客さんのクローゼットを見て「まぁこんなもんでしょうね」とか言っちゃうスタイリストも居るようですが。成り代わってお詫びします。

 
自分でお金を出して買って着て、他人にダサいとかこれダメとか言われる筋合いなんてないんです。買ってもらった場合は甘んじて受けましょう。

 
それより、こうしたらもっと素敵になりますよ、次はこれをやってみましょうと前向きにファッションを恐れずに楽しめる文化が広まって欲しいと僕は思う。本来はファッションに携わるメディアが率先してそれをやらなきゃいけないのだけど、そうなってないのが悲しい。

海外のファッション誌とかではそういう企画はほぼ無いんじゃないかな。こんなのはどう?あんなのもあるよ?という前向きな提案型です。まぁ向こうでこれはダサいとかやっても気分悪い!と一蹴されて終わりでしょうけど。

併せて、周りの人や親しい人のファッションも、ちょっとしたことを褒めてあげてほしいのです。今日の靴いい色ですね、でもそのワンピース裾が可愛いねでも何でもいい。何気ないことでいいんです。あなたのそのひと言が、相手のやる気を育てお洒落な人が増える一歩になります。ご家族でもお友達でも、ぜひ明日からやってみてください。
 

道徳の授業で「友達の服を褒めてみよう」という回を作ってくれないかな。子供の教育から変えれば何とかなるんじゃないか。大人向けにはぜひ前向き褒めファッションのススメ的な執筆依頼をお待ちしております。

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