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新年のパリで、衝撃を受けた2つの話

新年からパリに買付けに行っていて、帰ってからも怒涛の日々が過ぎ、気付けば2月になってしまいました。世の話題は新型コロナで持ちきりです。マスクを高額でさばいている転売ヤーに何らかの天罰神罰仏罰がありますように。

個人的には毎年恒例になっている新年のパリ買付け、今年は1月2日から11日まで行っておりました。

「冬のパリ寒いのでは?」と言われるのですが、ここ数年は11〜13度くらいで日本とそれほど変わらない印象です。ただセーヌ川沿いと北の方は底冷えがして気分と機嫌が悪くなることがありますのでご注意を。

まず今年のトピックとしては、やはりスト&デモでしょう。
(注・2月4日現在、メトロのストは解消されほぼ通常運行されているようです)

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こんな感じで出入り口が封鎖されていました。単にビニールテープでバツの字にしてるだけのとこもあり、結構雑な感じ。

パリのメトロは14路線あるのですが、そのうち2路線だけは自動運転なので終日運行。それ以外は基本的に朝の6時半〜9時半、夕方16時半〜19時半という時間帯しか動いていませんでした。通勤時間まで止めると市民の反感がストライキ側に向かっちゃいますからね。いやむしろいちいち止めたり動かしたりする方が大変じゃないのか。

なので、動いてる時間は超混雑。ラッシュ時の山手線をイメージして頂くといいでしょう。でみんな機嫌が悪い。パーソナルスペース近いの好きじゃない人たちですからしょうがないですが、タクシーだと料金がかかり過ぎる場所などはこの時間にメトロで行っていました。

当然、パリ市民も観光客も日中はタクシーを使うので、今回出会った運転手さんはみんなご機嫌。歌まで歌ったりして。風が吹けば桶屋が〜を地で行く様子でしたね。

まぁストくらいならよかったのですが、ちょうどデモにも遭遇してしまって。しかも泊まってるホテルのすぐ裏。

その時間帯は不在だったのでよかったのですが、次の朝に現場へ行ってみると、、

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郵便局やスタバが無残なことに。。人間とは思えないアイアンマンのようにガタイの良い警察官が規制線を張っていた意味が分かりました。特にスタバはフランスに税金を納めていないらしく、デモが起こるたびにこんなことになってしまうのだとか。スタッフのためにもぜひ納めて頂きたい。

なんでこんなに強硬な対立姿勢なの?と現地で聞いたところ、、

昔、鉄道関係の仕事は危険を伴う激務だったので、年金の支払いが早いなど優遇されていた。でも現代では他の仕事と比べて優遇するほどではないので、年金の支払いを他の職種並みにしましょう、と改革案を出したことに反発しているんだよ(パリ在住者・談)

とのこと。
内容を冷静に聞けば政府の言い分は間違ってないように聞こえます。

でも、今働いている人は以前のベースでの人生設計をしてるわけで、急に変えられたら「約束ちゃうやんけ!」となりますよね。イメージ的に関西弁で翻訳してみましたが、その怒りも理解できます。

”黄色いベスト運動”をはじめとした不満も色々あるだろうし、それが年金問題をきっかけとして噴出したということなのでしょうが、ここまでやってしまうことが凄いですよね。今の日本ではちょっと考えられない。

やはり、個人の権利を守るということに関しては凄いパワーの出る人たちなのだなと。フランス人的には「俺らを代表して戦ってくれてるんだ!」と応援する空気だったというのですから、国民の中にもそういう気持ちが根付いているのでしょうね。

そしてもうひとつ、今回衝撃を受けた出会いがありまして。

ルーブル美術館近くに、パレ・ロワイヤルという場所があります。

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名前の通り昔は王宮だったパレロワイヤルは、この石柱のオブジェに観光客が乗って写真を撮るでおなじみの場所。ここは中央が公園になっていて、それを囲むように回廊があります。現在はそこに色々な店舗が入っているのですが、あるショップでちょっと衝撃を受けまして。

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ガブリエレ・ゲッパートというショップ。
パレロワイヤルには毎年来るのですが、今までこのショップはスルーしていたようでした。今年はなぜか気になって入ってみたのですが、、

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(写真はご本人のインスタより)
店主はこんな感じのカッコいいお姉さま。夏木マリさんばりの写真そのままでした。

また態度も切れ味鋭く「NO PHOTO!」とにべも無い感じで緊張感が走る店内。でもクリエイションが本当に素敵で、シンプルなTシャツやパーカーもデザインだけでなく素材へのこだわりも感じられて、ひとりで勝手に感動していたんです。

すると、それを感じ取ってくれたのか急に距離感が変わってきて

「一切セールはしてないの。私の作品はアートだと思っているから」
「このアイテムたちは、ロンドンにも東京にもニューヨークにも無い。パリにしか無いから価値があるのよ」
「昔、ヨウジヤマモトで4年間働いていたことがあってね、、」

と色々な哲学を語ってくれました。 

いや重ねてカッコいい!!

 
確かにヨウジに通ずるシンプルを極めたデザインと素材への気遣いが感じられるし、ポリシーが貫き通されたクリエイションから自信が溢れ出しています。

そして何より、それでビジネスもしっかり成立させている。
パレロワイヤルなんて相当賃料も高いでしょうから、趣味で出来るようなレベルではないはず。それが素晴らしいことだなと思って。
 

正直、クリエイターや個人事業主はこうでなくちゃダメだと。
 

自分に絶対の自信があって、それを支える経験と実績があり、強気で行ってもみんなが納得・賛同するだけの実力がなきゃいけない。

いろんな考え方があっていろんな仕事の仕方があっていいのですが、僕はこうありたいと思った。そしてそういう気骨のあるクリエイターが活躍できる土壌がまだパリにあって、そこで出会えたことが嬉しかったのです。

売っているのは決して安いものではありません。
でもその心意気にお金を出して、パーカーを買いました。ファンになったし、おこがましいですけど応援したいと思って。着心地も最高で、さっそく愛用しています。

ポリシーの貫かれたものにはその人の魂が宿る。
これは本気で思っているのですが、改めてそういうアイテムを探したいし、無形のサービスを提供するときも忘れてはならないなと改めて。

フルアイテムは無いようにですが、サイトを載せておきます。ガブリエレさんのクリエイションに、ぜひ触れてみてください。

https://instagram.com/gabriellegeppert?igshid=nfn64pif57pq

 
そんなわけで、今回はいつもより大きめの衝撃を受けることが出来たパリ旅でした。

やはりフランスの人は、個人のパーソナリティーに対する関心と集中力が凄いし、とてつもないパワーを発揮する。僕も少しはフランスの血を入れて仕事に取り組んでいきたいなと。そういえば曽祖父がフランス人だったような…記憶はなかった。残念。

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