#創作大賞感想「Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民」を読んで
おはようございます。
SFはもっぱら映画で楽しむ人でしたが、唯一ずっと読み続けているSF小説があります。「Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民」です。
作者PJさんの才能については、沢山の方々が感想記事を書いておられますから、是非その良文をご覧いただくとして。
私が特筆したいのは、PJさん独自のスタイルがあること。
SF特有の壮大な世界や登場人物の複雑な背景を、優しい&易しい文章で表現されています。
SFに限らずですが、設定の理解や登場人物の多さに辟易しているのに文章自体が難解だと、読者の層が厚くなることはないでしょう。
ひとりひとりの文章体験や好みにもよりますが、PJさんの作品なら小中学生のSFファンが増えるだろうと感じました。穏やかな場面、和やかな会話が多いからです。
登場人物には不自由な環境が設定されているのに、従来のSF映画などにありがちな苦しみや争いを軸にした描写が延々と展開されることはありません。
SFが苦手なかたは、PJさんの作品を読めばSFにも血の通った物語があることに驚かれるのでは。
運命に翻弄される登場人物達に、生き抜いて!と応援せずにはいられないのです。
例えば、このユーリさん。わけあって、お名前を変えなくてはならないのです。数奇な運命に翻弄されながらも、それを受け入れていくユーリさんに自分自身を重ねて読む読者もいるのではないかと想像しています。このエピソードは泣けました。
また、先日からアンジョー・スナーという14歳の天才少女の存在が、物語を更に盛り上げています。
今、PJさんのアカウントで毎日17:00に公開されている10章は、スナーさん目線で語られています。好奇心や不安に揺れているのがひしひしと伝わってきます。読むたびスナーがんばれー!の思いを強くしています。
私が好きな登場人物について軽く触れましたが、リンク先の本編をご覧いただくと分かりますように、非常に美しいイラストと曲がまた素晴らしいのです。作者のPJさんが生み出す登場人物達の心理描写を見事に際立たせています。
どの時代に生きても、どの星に暮らしていても、感情だけは揺るがないものとして描かれている点が私にとってはとても新鮮です。SFは異質であることこそが価値だという既存の考え方自体を壊してくれる作品です。
地球や人類の未来が見えない中でも、日々の食事や見える景色を楽しむ様子が丁寧に書かれているところも、この作品の魅力になっています。
SFは、こんなに感情小説なんだ。
そう思いました。
読み進めていくと、読者である私にも様々な感情が瞬間瞬間こうして誕生しています。
今後の「Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民」も楽しみにしています。
こちらが全話を読むことができるPJさんのマガジンです。ぜひ皆様も宇宙へ未来へ思いを馳せてみてください。
【PJ様】
創作大賞感想文を書きますねとコメント欄でお話させていただいてから、かれこれ二週間以上が経過しております。大変お待たせしてしまいまして申し訳ございません。
PJさんが、感想文ではなく応援文を書かれておられる意味が少しわかったような気がしました。
これからも「Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民』を楽しみにしております。どうかお身体に気をつけて執筆を続けてください。応援しております。
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