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「お客様」の子供達を量産してしまう教育

森信三『修身教授録』致知出版社 第34講 国民教育の眼目

日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)より

これを見て驚愕したことを今も鮮明に覚えている。
自分を大人だとは思わず、社会の一員とも思ってはおらず、国者社会を変えられるとも思わず・・・
一言で言って、他人事のお客様状態にしてしまったのである。
これが教育の成果だとするならば、この世代を育ててきた教師として大変な責任を感じたのであった。

ですから、現在の学校教育は、まるで麻酔薬で眠りに陥っている人間に、相手構わず、やたらに食物を食わせようとしているようなものです。

P237

まさにその通りで、学習への目的意識や相手意識をもたせることなく授業をしてきた私、教師たちの責任の一端があると言ってよいだろう。

すなわち国民教育者としての真の自覚は、何よりもまず我が国現下の国情について、深刻に憂えるところから来るのです。人間も、単に個人的な名利を求める動機から出る熱心さは、たいてい限度のあるものです。

P239

工藤勇一さんの本を読み、当事者意識を持たせる教育改革には本当に心を打たれた。
いい授業をしてもらうことが当たり前になると、先生の授業の仕方が悪いと文句を言い、対応が悪いと学校を責める。
学校は過剰にサービスをしすぎてしまったのだ。
その過剰サービスによって、子供からも保護者からも当事者意識を奪ってきたのだ。

https://booklive.jp/product/index/title_id/1150694/vol_no/001


私は、当事者意識を持たせた教育を行おうと、志を持って学校改革に臨み続ける全国の先生方に強い連帯の意を持っている。

いじめ対応、授業、教師が行う校務、全てお客様にしていないか?子供達や保護者に当事者意識をもってもらうようなものになっているのか?
このような視点をもつ必要性を強く感じている。

先日、教育実習生の授業の研究授業の指導に行ってきた。
スライドにまとめた内容を読み上げ、雑談をまじえ、生徒たちは先生が用意した穴埋めプリントにキーワードを書き込んでいく。
これで授業が終了した。

協議の際、私はなぜ教師になりたいと思ったのか聞いた。
どのような教師になりたいのかも。
その言葉からは、決して自立性を損なうような教育信念は聞かれなかった。
しかし授業は、学びの目的意識も、相手意識も何もない状況になっていたのであった。

今回のあなたの授業は、君が理想とする子供達を育てる授業になっていたかな?と聞くと、自身の今日の授業はよかった、と話していた彼の表情が変わった。
そこから学びの目的意識や相手意識などに基づいたコメントをした。

私が憂えているのは、そのような志を持った学生たちなのに、実際に授業をする際には、このような形になってしまうことをまざまざと見せつけられたことであった。
何が原因なのだろうか?
大学の授業、高校までの授業経験、はたまた実習先の先生たち・・・
様々あろうが、このような視点は学生たちの願いを叶えるためにも、しっかりと伝えつつ、共に授業という営みを通して日本を変えられるような大学教育を行いたいなと思い、実習校からの帰路についた。

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