お化け屋敷にサンダルは辞めておこう
私が小学生の頃、夏休みになると毎年公民館でお化け屋敷が催された。
お化け屋敷は昼間の10時頃の部と夕方の16時頃の部があった。
昼間の部は、まず柳の木の下で怪談話を聴いてそれから中に入って行く。
小学生の私には怖さがより一層増した。
中に入るとお決まりの障子に女の人の人影が映ったり、血の池の橋を渡り、最後には上から蜘蛛が落ち来ると言う展開だ。
その当時私は、お化けのテレビ番組を見るとトイレやお風呂が怖くて本当はお化け屋敷は苦手だったが、幼馴染みの姉妹との恒例の行事になっていたので断れなかった。
小学4年生の頃、初めて夕方の部に行く事になった。確か低学年は入れなかったと思う。
やはり柳の木の下で怪談話を聴くのは一緒だったが中に入ると、昼の部とは全く異なっていた。
後ろからお化けの格好をした人が追いかけて来て肩などに触れる。
恐ろしいさは昼の部とは比べ物にならない。
4人は縦に連なって並んでいたが、入った瞬間から怖すぎて4人共、気が動転していた。早く前に進めとばかりに後ろの人が押してくる。
そこで4人共ビーチサンダルだったのが災いした。焦って前の人を押すタイミングでビーチサンダルを踏んでしまい、踏まれた人は前に進めない。挙句の果てにサンダルが暗がりで脱げたりもう4人共パニックだ。
ようやく血の池の橋まで来て、出口までもうすぐだと思った矢先、私のビーチサンダルの片方が血の池に落ちていった。
えー!!
小学生の私にとってはもう絶望的だった。
頭が真っ白になった次の瞬間、お化け屋敷中響き渡る大声で泣き叫んだ。
スタッフの方が慌てて出てきて「大丈夫だよ」と優しく声を掛け、サンダルを血の池から拾い上げてくれ事なきを得た。
ビーチサンダルで行った私が悪く、スタッフの方には大変申し訳なかった。
あれから何十年が経つが、今だにお化け屋敷は苦手だ。
でも今度行く機会があるとしたらサンダルでいくのは辞めよう。いい歳のオバさんが泣いた所で周りは引くだけだと思うから…。
本日は長い話にお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。