ゲイリー・スナイダー

昨日衝動買いした詩集『ノー・ネイチャー』。ゲイリー・スナイダーだが、私は自分の無知さを思い知った。彼はアメリカを代表する詩人だそうだ。1955年のポエトリーリーディングに参加したというから、いわゆるビート詩人の一人といえそうだ。

その後は日本やインドを旅し、禅を学んだりと、本当にややこしい男みたいだが、ピュリッツァー賞を受けた『亀の島』という詩集を発表していたりと、なかなかの詩人のようである。『亀の島』は読んでいないのでコメントできないが、ちょっと興味がわいてきている。

立ち読みしてパラパラページをめくったときの第一印象は、サム・シェパードの『モーテル・クロニクル』に近かった。ああいう、対象と距離を置きつつ、しかし離れすぎることなく自己の意識を掘り下げながら対象と対話するかのような詩。私はそういう詩は大好きで、今回見つけたスナイダーの詩も、そういう空気をまとっていた。だから、これは読んでみようかなと思ったのである。

彼の詩は、まるで優れたアウトドアライターが書いたような冒険心と探求心に満ちているが、それ以上に、対象に生と死を感じているような、虚無感がある。そこにかなり惹かれた。
強引なコメントだが、かなりブルースを感じる。この詩集から。

それにしても思潮社さんの詩集は組版が素晴らしい。ブックカバーのデザインは思潮社さんにしては普通の書物に近いオーソドックスなデザインだが、組版はやっぱり個性がある。というか、つまり本格的な西洋の組版を日本語組版に昇華させているのだ。
思潮社さんの組版思想は、ほんとうに一貫性があって尊敬している。

この詩集は、部屋で読むのがいいのか、野外で読むのがいいのか、どうだろう。もしかしたら、山小屋とかテントで読むのもいいかもしれない。それにしては少しサイズが大きいか。

Nori
2009.01.18
www.hiratagraphics.com