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読書日記「DXの思考法 日本経済復活への最強戦略」

 最近、いろんな場所で耳にする「DX」。デジタル化とは違うのか。コロナで一気に仕事がデジタル化、リモート化したけどそれだけじゃダメなのか。そんな視点で読み進めてみた。
 ボリュームもさほどないのだが、この本、私には正直、少々難解だった。気になった言葉を書き留めた。

監視から双方向へ
・一方的にデータを使ってシミュレーションを行う監視社会ではなくそれを逆転させて双方向にしよう、という考え方。

■ DX力とは垣根を超えてパターンを見出す能力のこと
(DXやデジタル化とはあるロジック=データをいじることではなく対象になる世界をパターンの組み合わせで理解することであり、それを理解せずに取り組んでも成果は出ない)。それは、世間が慣れ切ったものの見方を嫌い、それと格闘してきた芸術家が行ってきたこと(ピカソの「泣く女」)
・会社のトランスフォーメーションのような非連続の課題を、組織が既に持っているツールなどの「型」にはめて検討すると、対処仕切れない課題が出てくる時代だということ。
・目に見えるものから発想するのではなくて、状態の差分で考える発想への転換。そのための抽象化。何かルールを固定してしまうのではなく、パターンを探りそれを組み合わせて解決策を作ろうという発想が大事。

レイヤごとのパラバラにした皇帝を最後は顧客経験へと再統合する。その時、第六感が効いてくる
・OSは不変でもアプリケーションは臨機応変にするように、ソフトウェアが階層構造を持つことで、ハードウェアが色々な動作を並列的に行えるようになる。階層構造かは汎用レイヤーの標準化を促し、水平分業化、オープンアーキテクチャ化(ある目的を達成するために諸々の要素を構造的に組み合わせてシステムとして機能させること)が進化。これにより新たなプレーヤーの参入障壁を下げ、産業全体の多様化、広範化をもたらす。さらにインターネットによりネットワーク性が生まれて一気に拡張する。


★感じたこと
 具体と抽象を行ったり来たりで普段から考えている著者の言葉は、私には少々難解であった。ただ、1つ1つ書かれていることがとても深くて、根本的な話だ。
 DX化については、単に働き方をリモート化すればよい、というものではなく、根本的な考え方の変革が求められている、ということだと思った。ビジネスにおいては、ユーザの課題に個別に対応する(顧客ごとのカスタマイズ)前に、複数のユーザ、そのマーケットに共通の課題は何か、まずは課題の抽象化をすることが重要で、そのうえで具体的な対応策、ソリューションを提供する。そのことこそ多様化する社会でビジネスを成功させるためには、今求められている。
 また、具体から抽象へ、抽象から具体への行き来の考え方、これはクリティカル・シンキングの考え方(思考力)であり、AIよりも人間が得意とするものだと思う。
 それぞれのレイヤごとにバラバラにしてから統合するため、組織能力的にトップから現場まで能力が高い人材によって構成されていないと、組織としては難しくなる。ここでいう能力が高い人材とは、アーキテクチャ認識力=思考力を持つ人材であること。
 日本人は、目に見える形を持った物作りが得意で、モノから発想することも得意。それを緻密に洗練し作り込むのは上手だが、システムや制度といった無形のものを論理的に認識し発想することが苦手な傾向にある。だから、「俯瞰視点」が求められる。具体的なものから抽象的なものへと思考を深められることができる人材がどれだけその組織にいるのか、そこがDXの鍵なのかな、と感じた。


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