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おからパウダーはグルテンフリーとダイエットの強い味方!?

おからを粉末にしたおからパウダー。グルテンフリーなのはもちろんのこと、ダイエット効果もあるといわれています。またネット上で、栄養価が高いとの情報もありました。そこで今回は、おからパウダーについて調べてみました。おからパウダーの原料は、大豆から豆乳を作ったときの搾りかすである「おから」です。おからパウダーがグルテンフリーとダイエットの強い味方なら、なぜ「おから」には注目が集まらないんでしょう?

おからは大豆の搾りかすで廃棄物扱い

おからパウダーについて説明する前に、原料の「おから」について説明しましょう。水につけて軟らかくした大豆をミキサーで細かく粉砕し、加熱すると白濁してきます。これを布で搾って得られた液体が、豆乳です。そして布の内側に残る搾りかすが、おからです。ちなみに「おから」という名前は、「殻(から)」に「お」をつけたのが語源だそうです。
みなさんご存じだとは思いますか、搾るときに使う布の種類によって、豆乳の性質が変わります。目が比較的粗い「木綿」の布で搾った豆乳から作られた豆腐がもめん豆腐、目が細かい「絹」の布で搾った豆乳から作られた豆腐が絹こし豆腐です。

ところでおからについて、意外なことがわかりました。2011年に日本豆腐協会が農林水産省へ提出した資料によると、おからの65%は飼料として、25%肥料として使われており、食用になっているのはわずか1%だそうです。飼料にしているものは、乾燥や発酵したうえで販売しているようですが、ほとんど利益が出ていないようです。また10%程度が、処理費用を支払ったうえで廃棄物として引き取ってもらっているそうです。要するに、おからは量はたくさんあるものの、用途がないものと言えます。

おからは栄養価が高い?

おからは栄養価が高いといわれていますが本当なのでしょうか。日本食品標準成分表2020年版(八訂)には「おから(生)」と「おから(乾燥)」の栄養成分が掲載されています。数値は可食部100gあたりの値です。比較のために、木綿豆腐、豆乳、納豆、枝豆(ゆで)、きな粉(黄大豆/全粒大豆)も載せました。

おからの栄養成分

意外なことに、おから(生)は木綿豆腐とカロリーはほとんど同じで、たんぱく質、脂質も豊富に含まれていることがわかりました。特筆すべき点は、不溶性食物繊維が多く含まれることです。大豆の搾りかすなので、当然といえば当然なのですが、おからにダイエット効果があるといっている人たちは、おそらくこれを根拠にしているのだと思います。ただ、ダイエットの場合は、何かをおからで置き換えなければならないのですが、いったい何を置き換えるのか、わかりませんでした。

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またネットで、おからには、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB2が豊富に含まれるという記事があったので、調べてみましたが、いずれも木綿豆腐の方が多く含まれていることがわかりました。
おからは、豆腐と変わらない栄養価があるので、栄養価が低いとは言えないのですが、他の大豆食品より栄養価が高いとまでは言い切れないと思います。

おからパウダーの値段はきな粉より高い!

おからは水分が多くそのままの状態では長期保存ができないため、乾燥し、細かく粉砕した「おからパウダー」が発売されています。栄養価が高く、グルテンフリーで、ダイエット効果もあるといわれていますが、実際どうなのでしょうか。まず、栄養価から見ていきましょう。

先ほどの表を見てください。おからパウダー(おから(乾燥))はのカロリーは333kcal/100gあり、たんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよく含んでいます。また不溶性食物繊維を多く含んでおり、なんと重量の42%が不溶性食物繊維です。
栄養価が高い、低いは何かと比較しなければ評価できないので、同じ大豆が原料のきな粉と比較しました。ちなみにきな粉は、炒った大豆の皮をむいて粉砕したものです。きな粉よりおからパウダーに多く含まれている成分は食物繊維とカルシウムですその他の栄養成分は、きな粉の方が多く含まれていました。きな粉とおからパウダーのどちらが栄養価が高いか、というと、きな粉の方が高い、ということになります。

一方、おからパウダーの値段はどうでしょうか。原料の大豆が外国産か国産か、どの程度細かく粉砕しているか、パッケージの内容量によって違いがあるのですが、100gあたり90~230円くらいでした。これに対してきな粉の値段は100gあたり100円前後です。おからパウダーときな粉を比べると、値段はほぼ同じか、おからパウダーの方が2倍ほど高いようです。

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きな粉は、大豆を炒って、皮をむいてから粉にしたもの、おからパウダーは使い道がないおからを乾燥して粉にしたものです。確かに水分量の多いおからを乾燥するためには多くのエネルギーが必要ですが、それにしても、おからパウダーの値段は高いと思います。

おからパウダーを使うメリットはない

おからパウダーを使うメリットって何でしょうか。もしあるとすれば、手軽に食物繊維が摂れるということでしょう。おからパウダーを製造・販売している大手食品メーカーのウェブサイトを見ると、そのように書いてあります。

・パウダーなのでいろんなお料理に使えます。ふりかけたり、混ぜるだけで手軽に食物繊維が摂れます。
・食物繊維や大豆たんぱく質など、大豆の栄養を豊富に含んでいます。きめ細やかでクリーミーな食感が特徴です。そのままかけたり、料理にまぜたり、毎日色々な料理に手軽にご使用できます。

でも、食物繊維を摂るだけの目的で、わざわざ高い粉末を買う必要があるのでしょうか。

一方、おからパウダーを取り上げたネット記事には、明らかにおかしなことが書いてあります。例えば、

『おからパウダーの不溶性食物繊維は、余分な脂肪を吸着して便と一緒に体外に排出してくれます。』
→ 脂肪を吸着するのは、水溶性食物繊維

『大豆と乳由来の良質なたんぱく質は、筋肉を増やし基礎代謝をアップ。』
→ たんぱく質を摂りたいのなら、きな粉の方がよい。

『豊富な大豆イソフラボンが若々しさを保つことにもつながりますね。健康的にきれいにやせられるんです。』
→ 大豆イソフラボンは含まれているが、大豆製品ならすべて含まれている。

要するに、おからパウダーのメリットを、大豆のメリットですり替えてしまっています。このようなトリックは、健康食品の紹介をする際、よく使われるので注意しましょう。
さらにおからパウダーを、スプーンに2~3杯摂るとよい、と書いてありますが、それを摂ったところで、何のダイエット効果もありません

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いかがでしたか。
おからパウダーのよさを信じて使っていた方には申し訳ありませんが、トータルで考えると、きな粉の方が栄養的に優れていますし、コストパフォーマンスもよいと思います。確かにグルテンフリーの食材ではありますが、小麦粉を代替できるわけではないので、強い味方というのは言い過ぎでしょう。またダイエット効果については、ないとは言いませんが、きわめて疑問です。

まとめ

・大豆から豆乳を作った搾りかすであるおからは用途がなく、大半は飼料にされている。
・おからを乾燥・粉砕したおからパウダーは、大豆を丸ごと使ったきな粉よりも高い値段で売られている。
・おからパウダーときな粉を比べると、きな粉の方が栄養的に優れている。おからパウダーにははっきりとしたダイエット効果もなく、使うメリットはない。

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