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グルテンフリーだとビールは飲めない?(3/3)

こんにちは。
グルテンフリーだとビールは飲めない? の最終回です。
最初に結論から。グルテンフリーでも、ビールは飲めます!!

あなたのグルテンフリーは何のため?

あなたは何のためにグルテンフリーをしているのですか。小麦アレルギーやセリアック病などの病気のため、お医者さんから小麦除去食やグルテンフリー食を指示されているのですか。それとも、からだの不調から解放されるために、グルテンフリー生活を選択されたのでしようか。あるいは健康・ダイエットのために、グルテンフリーにチャレンジしておられるのでしょうか。
それによって、あなたが取るべき選択肢は異なります。

疑問女性

医師から食事指導を受けている場合は、指示に従う

お医者さんから食事指導を受けている場合は、それに従ってください。小麦アレルギーやセリアック病の場合、摂取してもよいものとダメなものについて、細かい指示がありますので、必ずそれに従ってください。また高血圧、糖尿病、脂質異常症のために、飲酒を制限されている場合は、グルテンが含まれる、含まれないに関わらず、その指示に従うべきです。グルテンの影響が出る前に、アルコールや糖質が原因で、健康を損なうことになります。
なお、最近流行りの「なかったことにする」系のサプリや健康食品の摂取は、無意味です。サプリや健康食品は、効果・効能が不確かなので、医薬品になっていない、ということを忘れないでください。

不調から解放されるのが目的なら多少は大丈夫

グルテンが原因でさまざまな不調が起きることがわかってきました。またその症状は、多くの場合、摂取したグルテンの量に依存します。

このシリーズの1回目で紹介したオーストラリアの研究では、大麦を使ったビールで最高645ppmのグルテンが含まれているという報告を紹介しましたが、大麦を原料とするビール(グルテン除去ビールを除く)38種類のグルテン濃度の平均値は125ppm中央値は1.32ppmでした¹⁾。大麦を原料としたふつうのビールを500ml飲んだとしても、摂取するグルテンの量は最大で323mg、平均値で63mg、中央値で0.7mgということになります。食パン1枚に含まれるグルテンの量が4gなので、平均値から計算すると、瓶ビール(633ml)を50本飲んで初めて、食パン1枚と同じ量のグルテンを摂ったことになるわけです。

ビールに含まれるグルテン

どうですか。ふつうに飲む程度の量なら、ビールを飲んでも大丈夫なこと、わかっていただけましたか。職場の飲み会で、ビールで乾杯、という機会もあると思います。そのとき、ビールにはグルテンが入っているから、わたしは飲めない、なんて思わないでください。ビール1杯飲んだところで、摂取するグルテンの量はわずかです。

ダイエットや日頃の健康維持のために、グルテンフリーを選択するという人も増えています。別の記事で書きましたが、グルテンフリーは結果的にダイエットになります。この場合は、お酒に入っているグルテンよりも、糖質の方が問題です。お酒にグルテンが入っていたとしてもわずかなので、気にする必要は全くありません。

ビール乾杯

グルテンフリービールを飲みたいなら、のどごし生!

でも、わたしはストイックにグルテンフリーをやっていきたい、といわれる方は、グルテンフリービールを買うしかありません。前回の記事で、海外にはさまざまな種類のグルテンフリービールがあることをご紹介しました。日本からネット通販で買おうとすると、値段が高いし、そもそもどんな味かもわからない・・・。

そんな方にお勧めなのが、キリンビールから発売されている「のどごし生」です。のどごし生は、その他の醸造酒(発泡性)① という分類になっており、ビールではありません。メーカーは新ジャンルという名前で、売り出しています。原材料は、ホップ、糖類、大豆たんぱく、酵母エキスで、グルテンを含むものは全く使われていません。味は限りなくビールに近いと個人的には思います。

のどごし

ただ気を付けてほしいのは、同じキリンビールから発売されている「のどごしZERO」「のどごし<超爽快>」は、グルテンフリーではないことです。このあたりの内容は、ウェブサイトに詳しくまとめているので、気になる方は見てください。

グルテンが入っているお酒、入っていないお酒

最後にいろいろなお酒について、発酵原料(でんぷんや糖質)と蒸留の有無、グルテンの有無を整理しておきましょう。お酒は加熱してアルコール分を蒸発・濃縮した蒸留酒と、それ以外の醸造酒に分けられます。蒸留酒は、原材料にグルテンが入っていても、最終製品には残りにくくなります。ただし焼酎のように単式蒸留で蒸留され、かつアルコール度数が低い場合は、もとの醸造酒の風味(=成分)が残っていますので、麦焼酎は原料由来のグルテンが残っている可能性が高いと考えたほうがよいでしょう。一方、ウイスキー、ウォッカ、ジンについては、原料のグルテンは蒸留によって除去されており、グルテンフリーであるといわれています²⁾。

お酒の酒類とグルテン

なお、お酒の種類はひじょうにたくさんあり、この表に当てはまらないものもあります。またワインのように、原料にグルテン含有穀物を使用していないものでも、熟成のために樽を密封する際に小麦ペーストを使用しているケースもあります。

いかがでしたか。
お酒とグルテンの関係、わかっていただけましたか。
グルテンフリーの食生活をしていると、グルテンが入っているかどうかに意識が向きがちですが、それよりも、自分の体にどんな影響があるかの方が問題です。今回の記事を参考にしていただき、楽しく、健やかな毎日を送ってください。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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参考文献
1) Gregory J Tanner et. al., Measuring hordein (gluten) in beer--a comparison of ELISA and mass spectrometry, PLoS One 8 (2) e56452 (2013)
2) https://www.beyondceliac.org/gluten-free-diet/is-it-gluten-free/liquor/

まとめ

・医師から食事指導をされている人は、それに従う。
・不調の解消が目的のグルテンフリーの場合、ビールに含まれているグルテンは問題にならない量。
・ダイエットが目的のグルテンフリーの場合は、お酒に入っているグルテンより、糖質に注意を払うべき。


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