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文明を地べたから眺める

昨日、3枚借りているうちの
1枚、2回目の除草作業が終わり、

今日の朝、大雨警報が出ていることを知り、
慌てて出がけに
田んぼの水路の元に仕切りをして、
(田んぼが増水する可能性あるし、
砂が入り込んでしまうため)

数分の作業でびしょ濡れになりつつ、
博多に向けて出発しました。

友達の友達が、
博多でライブするためのメンバーとして
タイコ叩ける人が欲しいとの
紹介をいただき、
初対面で前日リハして、
明日本番という、
集中のリハを、
午前午後の数時間を
博多のスタジオで過ごしました。

夜は独り自由に、
久しぶりに天神でタイコ叩こう!
と、ワクワクしていたんだけど、
今日はこの梅雨末期特有の
数分おきにやってくる
集中豪雨の日でした。

タイコは諦め、
傘をさしながら、ウクレレだけ持って
天神の街をうろつく。

「どこか気持ち好く歌えそうな軒下ないかなぁ・・・」
とSNSにつぶやいたら、
大名シティガーデンという場所を
コメントで勧めてくれる人がいたので
行ってみると、
あ〜ここがなんか噂で聞いたことがある
「博多が日本のシリコンバレーになっている」
と言われていたところかぁ、と
知らしめられる場所でした。

廃校になった小学校の教室を、
ベンチャーだとか、スタートアップだとか、
リノベーションしたオフィスが並び、
(最近よく聞く横文字。だけど
自分で発音してみると白々しい(笑))
人工芝の向こう岸には
天竜人の棲む処(?)「リッツ・カールトンホテル」。

ロックフェラー感漂う、
クリーンな空間をうろつく「不審者」でした。
隅々物色する僕を
防犯カメラはとらえているんだろうな・・・
などとビクビクしながら、
演るなら・・・ここしかないよな。
という場所を、3往復目に決め、

勇気を出して、ウクレレケースを開いて、見せ金の小銭を投げ入れ、明日の未来を語らう若者たちの邪魔にならないよう、ちょっとでも心地好い空間になってもらえたらとの願いを込めて歌う。

歌い出してすぐに、
歌っている途中に
「Can you sing English song?」
と、友好的に話しかけられる。

今、歌ってるっつーのに・・・

「Sorry I can't. But I can play instulmental song.
For example "Beatls"」
と言って、
「in my life」を弾く。

喜ぶ気配が伝わってくる。
「OK. Keeping play」とかなんとか言って、
向こうでのおしゃべりに戻っていった。

ケースの小銭は
少し増えていた。

*************

雑草も生えなそうな、
人工芝で埋め尽くされた
大名シティガーデン。

しばらく気持ち良く歌わせてもらえていたが、
しばらくすると警備員が来て、
歌わせてもらえないことを
告げられた。

「やっぱりね〜」
と素直に天竜人の敷地から
撤退する僕は今、
「ワンピース」を図書館で借りて
熱心に読み進めている読者です。
チャルロス家をルフィがぶん殴ったシーンは
痛快だったなぁ
ははは・・・

時計は22:30近く。

雨はやみ、
僕も街も、少し足取りが軽い。

閉店後のゴミ集積所を漁る
猫背の男性。

ベンチで寝てる異臭の人。

虚空に悪態をつきながら歩く人。

僕は落ち着きを取り戻し、
馴染みの警固公園、
しかも誰も歌っていない、
夜も更けた
静かな警固公園で歌う。

誰も聴いてくれなくとも、
気持ち好く
しばらく歌っていたが、
ある程度の時間になると、
あっちの「シリコンバレー」からは
除外されそうな若者たちが、
やはり、唄の途中で
覆い被せるような大きな声で
「ねぇ、三線の花、歌ってよ」
ときたもんだ!

笑顔を振りまきながら
「いつか終わる命がここで
ぼくら共にいる。
なくなった人は今
どこにいるんだろ
残った僕らは
ここで生きていく。

ここで生きていく・・・」

と歌いきる。
歌生かす。

そして若者に、
「歌える?
歌うんなら伴奏は出来るよ」
などと、
どうでもいいやりとりして、
3人組の一人が
「ちょっとしょんべん」
と言って、みんな立ち去った。

*************

パトカーが徐行しながら
通り過ぎた。

人気が減ってきた。
どうせ誰も聴いてくれない・・・

自ら唄う。
詩のチカラの
有効期限が
体力と共に終わりを告げようとしている。

最後に

「みんなが幸せでありますように」と、

「しあわせなみち」を
歌って帰ることにする。

*************

「歌わさせてもらっています」と、
謙譲語で感謝を伝える若い人に
若い頃から抵抗がありました。

反面、
そのくらい感謝して、
有り難い現実が、
今ここ在らせてくれる人々がいることを
感謝しないと、
有り難い現実は
現れてくれないんだろうな。

なんて想ったりもしていました。

歌わさせてもらってた人達は、
今も歌っているのかな?
歌わせてもらえてるのかな?

こんな場末の路上から
知る由もないことを考えます。

20代の時から
「雑草 また生える
抜いても抜いても生えてくる」

と歌っていた僕。
自らの意思で決めて、唄っていました。

唄ってきました。

僕にとって「大切」と想える詩が、
多くの人にも「大切」にしてもらえる
環境が整った時、
きっと
「歌わせてもらえてる。ありがとう」
と言えるんだろうな。

そうなる前に、
そう言ってしまえば、
現実はやっぱ、やってくるから、
そんな、出来てる人たちは、
そう成っていくんだろうな・・・。

場末の路上で想う僕・・・
好きでやってるんだろうな。

ちょっとずつ
変えていこう。

歌わせてもらえなくても
憲法に「表現の自由」が
保証されていることを知って、
「有り難いなぁ」と
先人たちに感謝しています。

さらに猥雑な
「親不孝通り」の交番の裏の公園で
最後に
先ほど書いた
「雑草 また生える」
の曲を録音しました。

撮り終えたら、
また豪雨がやってきて、
車中泊のつもりが、
ホテルに泊まれることになった現実を、
「有り難いことだなぁ」と
儚くも味わおうと思います。

*************

やばい!
勢いでnoteを書いたら、
遅くなってしまった。

明日もタイコのサポートメンバーとしての
本番があるんだから!

おやすみなさい。

うたが、音が、言葉が、 もし心に響いてくれたなら サポートいただけたら嬉しいです。