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靴を隠されて、傘を盗まれて、雨はもう上がっているから、風が少し冷たく感じたよ。

5日間のツアーを終えて
家に帰ると、前日、
2年生の息子が
小学校でお昼休みの後、
上靴が見つからず、
午後の授業をつぶして、
みんなで上靴探しをしたという。

複式クラス、3年生の男の子が見つけた場所は、
先の時間に先生がそこを見ようとした時、
「そこには絶対ないよ」と言う、
とある子がいて、
先生はそこを探さなかったそうだ。

最近、汚い言葉を
嬉しそうに使ってみている姿が
少し氣になっていた。

「クソガキが!」
「フルボッコにしてやる」etc…

昔から、当たりの強い
元気な子は苦手な息子です。

工作、折り紙、編み物、
今はYoutube。
インドアな性質の男の子です。

誰とでもうまくやれるタイプじゃないよね。

僕と、僕が好きになるような奥さんとの
間に生まれた子だ。

1年生の「幼児」から「児童」へ移ろう頃、
高学年の女の子に
マスクしてないで元気にしているから
「キモい」
と言われ、
始めて「傷つく」という
よくわからない感情と出会った彼だ。

僕は・・・
1年前の秋の運動会、
外はマスク関係ねーだろ?と、
言わずの主張で
誰もがマスクをする中、
マスクをしないで
過剰な自意識と自分に言い聞かせながら
大人ひとり、元氣に振る舞ってみせた。

そんな親の子です。

自由にのびのび振る舞うと、
どうも「キモい」と認識する人が
人類には一定数いるらしい。

何人か、
仲良しの子もいるし、
やり込められてしまう子もいるようだ。

何人かって言っても
全校生徒30数人の
誰もの顔も名前も覚えられるような
小さな学校だけど。

*************

子どもは環境を選べない。

本当はそんな世界ではないってことを
いつでも伝える覚悟はある。

「学校」なんていう
閉じた世界は
外に出てみれば異常だ。

プラトンの「洞窟の寓話」みたいだ。

でも、だからこそ、
玉石混合。合う人、合わない人、
いろんなタイプの人種と出逢える場所だ。

本人がそこに立つ意志があるなら、
その出逢う、様々な感情を知って、
学んで欲しい。

「上靴を隠された事件」の翌日、
僕は妻からその話を聞いて
息子と対峙した。

元気だった。

いつもの
「おもちゃテレビ(youtube)見ていい?」
「え?おもち食べたい?」
「ちがう。おもちゃテレビ!」

いつもの他愛ない冗談を交わし、
しばらく、ずっと、youtubeを見ている。

お風呂に入るのも、
明日の学校の準備も、
いつもより聞き分けがいい。
「洗うもの出して」
「はい」だって。

学校みたいな返事。

しばらくして、
いつも放置しているyoutube鑑賞に
一緒に割り込んで入った。

「へ〜そうなんだね」
「あ、これ何でだかわかる?
お父さんは知ってるよ〜」

ウザい父ですね(笑)

すると、
まだまだ小2の息子が、
思春期の中学生みたいに
「うるさい。あっち行って!」
「暑苦しい!」
とか、拒否しはじめて。

そして、
突然大声で泣き始めた。

お父さんを罵りながら。
全部お父さんのせいにして。

「やっと泣いたか」

と、微笑ましく見ているつもりだったが、
なんか、わかったつもりの
他人事の大人目線に感じて、
僕も泣き出した。

「お父さんのこと嫌いなの?
〇〇(息子の名)は〇〇のこと嫌いなの?
お父さんは〇〇のこと好きだよ。
〇〇がお父さんのこと嫌いになったら、
〇〇は〇〇のこと嫌いになっちゃうんだよ」

この真意がいつ伝わるかわからないけど、
僕も息子に負けじと号泣してやった。

パソコンを強制的に取り上げると、
布団にくるまって寝てしまった。

*************

翌朝、
ちゃんと起きて、
ちゃんと学校へ行った。

「おはよう」
の挨拶も言ってくれない
集団登校の上級生の後ろを
一生懸命追いかけながら。

*************

Youtube見っぱなし問題は
今のどの家庭にもあるだろうな、と想う。

我が家は、我々夫婦は、
「しつけ」とか、「ルール」とかが嫌いだ。

子どもは最初、何でも知っていて、
社会の摂理が、大人が徐々に
忘れさせていくもの
だと想っている。

だから、心配しながらも、
子どもに想う存分、
好きなことをしてもらおうと想っている。

テレビを規制することより、
「見ていい?」と
許しを乞うような態度が問題に感じている。

何でそんな態度になっちゃったのか・・・

ただ、翌日、
息子はお風呂の中、お風呂から出た後も、
チョけたり、くだらないことで大爆笑したり、
お尻振って踊ってた。

僕も負けじとそのレベルではしゃいだ。

ちんちんにシールを貼って喜んでいた。

ふ〜

そろそろお役御免。と
近所の家に集積されている
グリーンコープの野菜たちを取りに
外へ出る。

お隣にも
3歳くらいの子どもがいる。

「ドゥドゥドゥドゥ・・・」と、
子どもをお風呂に入れながら、
一緒にはしゃぐお父さんの声が聞こえる。

*************

ありがたいな。
本当に有り難い。

忘れていたことを
思い出させてくれる。

普段我慢しているハジけた態度も
子どもをダシに
キモい大人にならないで済む。

でも、そんな
心と身体に鎧をまとっていくことが
大人になる、なんてことだったら、
とっとと脱いだ方が
世のため人のためだろう。

忘れていたことを
思い出したなら、
もう忘れないようにしたい。

有り難い現実を
有り易い現実に変えていきたい。

変えていこうと想う。

だから僕は忘れないように、
いつでも想い出せるように、
詩を描き、
人生の所々に
しおりをはさむのです。


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