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ひきこもり

千葉の実家に帰り、
お隣のおばちゃんと話していると、
よく遊んでいた同級生が
「ひきこもり」になっている
と聞いて、ショックだった。

彼は
どちらかというと
「いじめられっ子」だった。

僕が音楽を始めるきっかけになった
いじめられっ子だったK君とは
また違う人です。

*******

こちらのS君も、
かなり印象的な人物で、
僕自身、けっこう大切な1曲に
登場している人物です。

彼は、
どちらかというと
嫌な奴だった。

転校生だった彼は、
小学生の時は
すぐに知ったかぶりをするし、
平気で見えすいた嘘をつく。

だから嫌われていた。

でも、
僕らは共に子どもだった。

それぞれ学び合いながら
一緒に成長していたのだ。

彼はきっと、
僕のことを嫌っていたのだと、
感じるような行動が多かった。

でも本当はそんなことはなく
彼の性質だったんだと
理解している。

******

強い、クラスのリーダー的な同級生の
側にいるのを好んでいた。

で、ちょいちょい
僕がそのポジションにいたから
気に食わなかったのだろう。

僕は弱いくせに、
いじめられ、いじられキャラのくせに
クラスの1軍にも
ちょろちょろ顔を出していた。

彼にとって、
僕はザコキャラのくせに、
「そこで1軍の席に座ってるんじゃね〜よ!」
という圧を感じていた。

中学生活のある日、
・・・僕も悪かったと思う。

何の拍子かわからないが、
みんなで彼に罵声を浴びせていた。
そこで、僕も同じように
日頃の鬱憤と共に
罵声を浴びせた。

そしたら彼、S君は
他の奴らからの罵声は享受してたみたいだが、
僕にバカにされるのは
耐えられなかったみたいで、
僕にだけ
殴りかかってきたのだ。

僕も
「お前になんて負けね〜よ」
という意気込みと
ビビリが半々。

応戦の構えをしたのだが、
僕の後ろから、
喧嘩の強いMくんが、
「弱い奴ばかり狙ってんじゃね〜よ」と、
S君をばこ〜んとやってしまったのだ。

それをスッキリとした気分で
眺めていた僕は
・・・情けなかった。

その後、
そんな僕を守ってくれたM君にから
イライラしていた流れで
僕も前歯を折られているから・・・
いや〜混沌とした中学校生活でした。

*******

そんな、
混沌とした
ヤンキー文化末期の
荒れた中学校。

良かったな。
と想うのが、
そんな、
なんだかんだありながらも、
みんな、バカで、幼いから、
それぞれの場所に
それぞれの受け皿があった。
ってこと。

こんなS君も、
徐々に、
ヤンキーグループの仲間に
昇格していく。

僕は、
小学校までは仲良く対等な気分だったけど、
だんだんと、度を超えてグレてゆく
友達には
ついていけなくなった。

「見限った」わけではなく、
喧嘩も弱いし、
根性がないコンプレックスの方が強かった。

S君は、そんなヤンキーグループに
入っていった。

******

要は、
あの時代は、
ダメなやつも、
「不良」という
生き方のポジションがあったのだ。

混沌としていた。

故に「有機的」で「多様」だった。

******
******

そんなんだったS君が、
今、現代の「ひきこもり」
という罠にハマっている。

僭越ながら、
あの頃の彼を憶えている僕が、
あの日々の延長線上に
彼の人生があるとすれば、
彼の「今」は想像できる。

会って、
僕が何かアドバイスしたところで、
あの頃と同じ
彼のプライドを傷つけるだけになるだろう。

「お前に言われたくね〜よ」って。

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そして、
現代の「ひきこもり」
と呼ばれる現象について考える。

「ひきこもり」は
「闇」なのか?「病み」なのか?

その「ヤミ」は
誰のものなのか?

本人のものなのか?
人それぞれなのか?
「社会」のものなのか?

*******

働かないで、
実家に引きこもっている。

では、
働いていれば問題ないのか?

多くの職場を行き来して、
アパートに帰って、
カップラーメン啜りながら
テレビを見る老人。

カップラーメン啜りながら
ネットを眺める中年、青年。

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立ち話をしていた
隣のおばちゃんも、
ご本人のことなのか、
誰のことなのかわからないが、
「定年になって、
有り余る1日を
どうやって過ごそうか悩む」
と言っていた。

そして、
僕の両親は、
定年後は、
趣味を作って、
グランドゴルフだの、
合唱グループだの、
地域の行事に参加して
立派だった。
という。

与えられた選択肢の範囲の「自由」だ。

健康を維持するために
課せられた課題だ。

********

僕に、
他の人の人生での
彼らの信じる「価値」は
測れない。

今、住んでいる地元の消防団での
「飲み」の席での話題も
街の経済基盤を支えるダイハツの
関連会社に勤める人は、
そういうコミュニティ由来の話をする。

1日の大半を、
その工場で過ごしているんだから、
もっともなことだと想う。

*******

彼の生活環境が
僕にとっての生活環境になっていたら・・・
「辛い人生」だと
僕は判断して、
辞めます。

車にも興味なく、
ダイハツにも興味なく、
ただ、何かして
「働かなければならない」
という、社会の風潮に
屈服して・・・
屈服したように感じながら
苦痛の対価の賃金で、
家賃を支払い、
光熱費を払い、
車を維持し、
ガソリン買って、
食品買って、
毎日を暮らしていく。

安定した暮らし。

いつまで安定?

実家で、両親の庇護の元
今後、10年かそこらの安定した未来と比べ
どのくらい
その企業に勤める未来が
安定しているのだろう?

*******

彼らが
「これでいい」
と想っているなら、
それでいい。
と想う。

僕の生き方だって
決して褒められたもんじゃないから。

褒められるために生きているわけじゃないから。

********

僕の未来だって暗いです。

今のゲームルールで生きてたら
暗いです。

********

なおちゃんは立派よ。
家庭も持って、
子どもも育てて、
お金も
無いなら無いなりに
生きれる場所で暮らしてるんでしょ?

・・・と言われても。

*******

僕は
ひきこもりはしない。

田畑があるし、
薪も確保しなくてはならないし、
PTAはあるし、
音楽を続けたいし。

「田畑」と言っても
家庭菜園。「農家」になる気はない。

薪を集め、切り、割り、
たまに石油ファンヒーターを使うと、
「あ〜石油って、なんて楽なんだろう」
ちょっとした賃金労働して、
お金使って、灯油を買った方が
全然効率的だ。

老人になったら、
そっちの「文明社会」に感謝するのが
必然なのかな?
なんて想ってしまう。

*******

貯蓄をしなくては!
という思考に
必然的に誘導される。

その「貯蓄」の価値の底が
ごっそり抜け落ちる未来も
想像できる。

******

僕は
僕の「想いの限り」までしか想えない。

だから「想い」を
分かち合い、響かせ合いながら、
「お互いさま」で生きていくしかない。

「僕」に都合のいい社会を
創っていきたい。

いや、もしかしたら
この確定しきれない未来を感じる社会を
「僕」が創ってきたのかもしれない。

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あの集団リンチのような
罵声の暴力に加担したことは
僕自身にも深く刻まれている。

僕はそれを
憶えている事によって
僕自身が癒すべき「傷」とした。

S君や、みんなも
それぞれ、自分の胸に手を当てて、
「正直な気持ち」に触れ、
それをガイドに
成すべきことを
自分で創り出してほしい。

ナビゲーターは魂だ

ナビゲーター/ ブルーハーツ

鳴らせば響く。
響きあえると
僕は信じています。

ほら、「現実」が
答えを、
応えを見せてくれています。


うたが、音が、言葉が、 もし心に響いてくれたなら サポートいただけたら嬉しいです。