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美味しいお米

お米づくりを始めて、
今年で3年目になります。

隣の集落で、
耕作放棄地となった田畑を借り、
地元有志で農業法人をつくり、
もちろん有機、無農薬で
みんなで協力し合いながら
やっています。

3年前に声をかけてもらい、
先輩たちの助言を聞きながら、
1年、2年、
とうとう今年で3年目になりました。

3枚で、合わせて八畝くらい
借りてやっています。

去年、猪に崩された畦を
4月始めに盛り直すところから
苗床作り、畦塗り、代掻き、田植え、
そして除草作業。

本日8/10、
最後の草取りを終えました。

先輩の助言では、
出穂は盆過ぎくらいになるから、
盆までは草取りして大丈夫だよ。
とのことだったので。

しかし・・・
他にも何組か
田んぼ借りてる人いるんだけど、
ほんと、僕、毎日田んぼ行ってて。

自分、マメだなぁ〜
っていうか、
ヒマ人かなぁ?

そうでもないけど、

よくやるよなぁ〜

と、思います。

みんな、他にも
いろいろ仕事とか
忙しいでしょう。

僕は、とりあえず、
田んぼやってると、
忙しく働いて、
苦労して頑張っている
大義名分を得ているような
おなぐさみもあります。

でも、
やっぱり、
好きみたい。

気持ちいいし、
無心になれるし。
いろんなこと
忘れられるし。

こうすれば「正解」ってのもないし、
猪や鹿や大雨や、
頑張れば必ず結果が出るってわけじゃない
自然の現実の中で、
出来ることをしている無力感も
いい。

3つの田んぼに生える、
取り除きたい雑草の種類、
増える時期もそれぞれ違うのが
面白いなぁ。と思いつつ、
名前やデータの情報は
ぼんやりと、身体がただ、
なんとなく感知してる。

「こうすると、
何がどうなって、
こうなるよ」

そんな博識な情報提供者タイプの人から
ぼんやりと情報を得つつ、
毎日通って、
感じるままに手足を動かす。

今年は
梅雨の末期の集中豪雨で、
農道が崩れたり、
水路が崩れたり。

いろいろあったけど、
なんとか復旧して、
でも、田んぼに砂利や木屑が
大量に流れ込んだので、
ギリギリまで
除草、というか、
土をかき混ぜてました。

山際にみんなで毎年繕っていた
防獣柵も
みごとに崩れ、
猪も鹿も入り放題なので、
なんとか出穂から収穫まで
猪に荒らされないように、
田んぼを臭くしなければ、
なんとか防げるんじゃないかと、
思慮しながら、
ギリギリまで毎日、
独り、田んぼに通っていました。

ま、好きなのと、
暇、というか、
ついつい優先させてしまう自分には
いろいろな想いが乗ってるな。

そう思いながら、
田んぼで祓っています。

*************

3年前、
千葉から認知症やら、パーキンソンやら
いろいろ患って、
二人で暮らすのは難しくなった両親を、
こちらの大分の田舎へ連れてきました。

介護、子育て、
かなりのエネルギーが必用でした。

これに「仕事」で
世間の40代は、
責任のあるポストなんかに
ついていたりするんだから、
無茶な社会だよな。

と想いました。

僕には
幸か不幸か、
「仕事」というワードが
ほとんど存在していなかった。

そこに
「何で飯食ってるの?」

「米作って飯食ってるの」

と言える、
「仕事」がやってきたので、
だいぶ、そこに逃げ道を作れた感が
あります。

夜明け前から早朝にかけて
家を抜け出し、
廃校の小学校とかに行って、
即興でウクレレを弾く
「ウクレレスケッチ」と名付け
動画を撮ることと

田んぼへ行く。

独りになれる時間・・・。

*************

3年が経ち、
両親も施設へ入り、
子ども達もずいぶん大きくなって、
コロナの規制もなくなって。

僕の音楽を必要とされる
「仕事」は
相変わらずですが、
奥さんのパン屋が忙しくなったり、
PTAとか、地域の出事とか。

いろいろ駆り出される機会は増えました。

*************

みんな、
こんなに田んぼで草取りなんてしていません。

しなくても、
米は育つみたいです。

みんな、
他にもいろいろ仕事が
忙しいみたいです。

ただ、きっと、
僕には、
去年の収穫が
「これが成功体験かぁ・・・」
と呼べるものだったんだと想います。

コンバイン袋で19。
8畝の田んぼでは
相当採れたみたい。
そう言ってもらえました。

そして、
1年以上のお米が、
今、蓄えられている。

カネとか、「評価」を
全く気にしなくていい次元での
成功体験。

よく、
「うまくいっているイメージをする」
「成功体験を思い出してチャレンジする」
とかのアドバイスを聞くと、
なかなか
僕の人生で、それを
「成功体験」と呼べる経験が
出てこないんです。

行きたかった場所へは行けず、
結果、ここに流れ着いた。

まぁ、見方を変えれば
まんざらでもないか・・・

そんくらいな感じです。

*************

昨日の晩ごはんで、
娘の茶碗に残したご飯を
何も付けずに
そのまま「処理」する感じで
口の中に入れたら、

昼間にかき混ぜていた
田んぼの匂いを感じたんです。

泥をかき混ぜ、田んぼを這い回る。
時々、ドブ臭い、猪の好きな
滞った感じの「腐敗臭」がしてくる。

かき混ぜる。

匂いが消えてゆく。

心地好くある状態。
何も氣にならない状態。
いろんな命が
混ざり合った匂い。

僕が、
辛い労働として、
田んぼにいたなら、
きっと、
そのご飯の味を
不味く感じたでしょう。

でも、
「美味しいなぁ」

そう感じたから、
今日の
最後の草取りも
有り難く、行わせていただきました。

ただこれを言いたかっただけなのに
長いnoteになってしまった。

*************

品質を良くして、
価値を付けて
値段を上げて
利益を得る。

そんな「市場」の評価で
僕はもう
落ち込みたくないな。

利益って何だろう?

「益」って何だろう?

*************

柵を張ったり、
もっと効率の良いやり方は
たくさんあるけど、
効率悪くとも、
今、出来ることをする。

誰も、何も、
もう奪わないで。

出来るだけ生きて、
適切な時に、
命を終えて、
繋いでいけたらいいな。

そう想います。

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