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20240423 ただ歩くのではなくて

「歩く」という行為にこれほど心惹かれるのはなんでだろう、と思うけれどもこれまでの創作でも結構「歩く」ということにこだわり続けてきているような気がする。

▼演劇のワークショップ(あるいはオーディションなど)で結構よくあるのが「今日起きてからこの会場までどうやって来たかを教えてください」というもので、言葉でひと通り説明した上でそこに「起きる」「ドアを開ける」「電車に乗る」といった身振りをつけていくとちょっとした一人芝居ができ上がったりする。
(思えば就職活動でも似たような質問がある気がする)

▼『若き日の詩人たちの肖像』を読んでいても、彼らが東京の街をよく歩くのが強く印象に残った。自分もよく知るような東京の街を彼らもまたたくさん歩いていた。社会について、芸術について、たくさんのことを話しながらかつての若者たちが歩き回っていたことに、すこしのシンパシーを感じた。

▼これもまた演劇のワークショップなどのあるあるとして「ランダムウォーク」というのがあったりする。空間の中をランダムに歩くというただそれだけなのだけれども、そこに「速度」を足したり「すれ違う時にハイタッチ」などのルールを足したりしてバリエーションを増やしていったりする。結構いろんな現場でよくやるエクササイズだと思う。

▼「歩く」ということは誰にでもできるから、舞台の上をただ歩いたってそれは表現にならない。「歩く」という行為そのものを抜き出して、磨いて、観る人にとって何かしらの発見をもたらせるようなものにできないかと稽古でも色々と試していたりする。

▼ただ「歩く」ということをためつすがめつしながら、その細部に無限のディティールを求めていく。舞台の上に立つ以上楽に歩くなんていうことは出来はしない。ひとつひとつの動作を意識化におさめながら、どこまでも「歩く」という行為そのものを細分化していく。そんなことをしている。

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