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20240531 役者らよ、おおきくなれ(5m級に)。

先日チェルフィッチュの岡田利規さんたちによる映像演劇についての講演会にいってきた。
https://prj-kyodo-enpaku.w.waseda.jp/activity/2024_0529.html
岡田さんといえば白水社の岸田國士戯曲賞の選評もなかなか話題なので併せて読むと今演劇がどういう課題と直面しているかがよくわかるかもしれない。

▼テーマが「映像演劇」ということでいろいろとおもしろい話はあって、演技が映像に取り込まれた時点で俳優のパフォーマンスは永遠を獲得する、とか、俳優の演技を編集なしで撮影し映像として流すことによってすこしの演劇性がそこに担保される、とか、映像を映す支持体そのものを見せる、という工夫であるとか、イリュージョンと異化が絶えず起こる拮抗関係について、あるいは一番の演劇性は「観客が客席で観客を演じていることに他ならない」など、聴いていて結構スリリングではあった。

▼演劇の”演劇性”ということに関して、「生身の俳優が目の前で演技をする」という根底の部分から揺らがされることはなかなかない経験ではあって、一人の俳優としては「じゃあ映像ではない生身の俳優はどうしたらいいのだろう」ということをつらつらと考えながら話を聴いていた。

▼「リアリズム」というものに対する根本的な疑義、というか、感情でも造詣でもありとあらゆる形でリアルを追及しようとしたとしても、たとえば人工知能がたどり着いているような「不気味の谷」まで、演劇は決してたどり着けないという岡田さんの話もおもしろかった。だから演劇は演劇にしかできないやり方で、嘘をつかなければならない。

▼たとえ嘘でも、それでもおもしろがれるかどうか、が大切なのだということもまた話されていた。演劇がつける嘘とはなんなのだろう。たとえば映像を映す支持体の質感や隙間、映像そのものの画素の粗さ、それらに匹敵するような嘘を、生身で等身大の俳優はつけるのだろうか。

▼ひとまず「役者がデカかったらみんなハッピーなんです。役者が5mくらいあれば、もっとたくさんの人が演劇を観られるようになる。」と、岡田さんが仰っていたので、ひとまず「大きくなる」ということも俳優にとっての選択肢の一つではあるようだった。あるいは半透明になったりちょっと地面から浮いていたり、映像演劇から学べるところを学びつつ、これから新たな演劇性を駆動していかなければならない。

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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02czx9t72zj31.html
【公演詳細】
https://hiraoyogihonten.com/2024/02/24/hiraoyogi8th_info/

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