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20240503 自立していること、元気であること。

日数だけ見ると本番まであと二週間だけれど、本番の週の月曜日には現地に入って設営をするので稽古場で過ごすのはあと10日ほどである。本番前の最後の日曜日は予備日としてとってあり、積み込みをしたり一応各自髪を切ったり買い物をしたりコンディショニングをしたりできるようにしてある。余裕をもったスケジュールが肝要なのだと、若い頃のいくつかの失敗を経て思う。

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02czx9t72zj31.html
【公演詳細】
https://hiraoyogihonten.com/2024/02/24/hiraoyogi8th_info/

▼文庫で700ページを超える自伝的な長編小説を60分の時間の中で再構築する。物語の筋や内容をすべて伝えるのではなくて、俳優が演劇として堀田善衞さんの言葉をいかにその場所で発語し、響かせることができるかを考えている。もともと作品を知っている方が観に来てくれるのはもちろん嬉しいし、上演を通じて『若き日の詩人たちの肖像』という作品を読んでみたいと思ってもらえたらいいなと素朴に思う。

▼テクストの選択も、基本的には個々の俳優が俳優として気になるところ、発語してみたいところ、シーンにしてみたいところを選んでもってきて、それを一つずつ検証しながら演劇としてつくりなおしている。いわゆる「小説の舞台化」というのではなくて、もっとシンプルに堀田さんの言葉を響かせることを考えている。どちらかというと語りものに近い。

▼堀田善衞さんの作品を上演することを公に発表してみると、堀田さんの著作の熱心なファンの方々から熱烈なご連絡をいただくようなこともあって、やはり偉大な作家さんだったのだなとしみじみ思う。宮崎駿さんも堀田善衞さんの熱心なファンだったということで、「宮崎駿さんにご案内を送ってみては?」というご提案を頂いたりもしたのはちょっとおもしろい体験だった(送るだけ送ってみた)。

▼『若き日の詩人たちの肖像』という作品と組み合う限り、個人の思想や信条の自由と、形の見えない国家権力や全体主義の重苦しい空気感といったことについて絶えず考え続けずにはいられない。そうしてその作品を届けるためのつくり方もまた、いわゆるトップダウンの強権的な劇作家、演出家が主導するような創作ではなにかおかしい気がしたから、私自身「構成・演出」の仕事もするけれど、ひとりの俳優として創作に参加し、出演している。

▼ある程度の方向付けをし、渡す材料さえきちんと粒を揃えれば、俳優があとはそれぞれ工夫して練り上げていってくれる。誰かの指示を待つのではなくて、自分で表現というものを考え、他の俳優も巻き込みながら言葉を空間に立ち上げていってくれる。主体性を備えた自立した元気な個人が状況を打開する。そういう俳優しかうちにはいないから、私は安心して他の俳優たちとスクラムを組んで、鋭いタックルを食らったりしながら稽古場でもみくちゃになっていたりする。けっこう悪くない劇団だと、個人的には思ったりする。

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