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20240424 遊びをせんとや

一つの作品の中でいくつもの演技体(異なる演技の手法、質感)を織り込んで、俳優の身体で「遊び」としての演技を編み上げていく。いつも自分たちの演劇をつくりながら考えているのはそんなことだ。

▼普通ならだいたい一つの作品に対してワンアイディアでやり通すものだし、全体を通じて一つの演技体を徹底することではじめて見えてくるものもあるのだと思うけれども、節操なくいろんな演技の手法を試してみたくなってしまうような衝動が私にはある。

▼舞台上で声を出すにしても、(たとえば)大雑把にアングラと呼ばれるような人間の原始的なエネルギーを感じさせるような質感と、平田オリザさんの青年団以降の現代口語的な静謐な喋り方が、時に一人の俳優の中では共存しうると思うからだ。

▼「この人、どの作品で見ても変わらない、同じような演技をしているな」という俳優さんがたとえばテレビドラマや映画だったらいると思う。それはそれで味があっていいと思うしテレビや映画は基本的にはリアリズムを旨としてカメラに収められるものだから一貫性が大切だろうと思う。

▼かたやこちらは演劇である。演劇で、舞台の上でしかできないことをやっていたい。なるべくリアリズムから遠く遠おく、離れていたい。脈絡や一貫性という罠からいかに距離をとるかということばかり考えている。演技というものをよりよく遊び、自分自身という俳優を対象化しながらふざけられる者がいい俳優だと、すくなくとも今の時点では考えている。

▼とはいえなんでもやりたい放題適当にやっていたらそれはただの無軌道な野放しになってしまうから、すべての根拠はテクストにある。そこに書かれている言葉が俳優の演技を触発する。どこまでもどこまでもよく読むこと。そしてそれをよく言葉として発すること。小学校の国語の授業とそこまで大きく変わらない。シンプルなことをどれほどの熱量で徹底してやりきることができるか、ただそれだけである。

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