20240722 きけかぼそきこえ
先の舞台の豊川悦司さんがもうとにかく声が小さくて、トヨエツが喋っている間はもうとにかく全身で聞き耳を立てないことにはただでさえ分かりづらい(むつかしい)台詞がさらにわからなくなるので、暑さ対策に配られたうちわを仰ぐことも自然と憚られて、とにかくあの小さい声を聴くのだと客席の集中力が増していくのを感じていた。
▼観客は別に大きい声だから聴いてくれるわけではない。どれだけ大きな声で、明瞭な発声発語を心がけたとしても聞きたくない奴の台詞なんか聞こうはずがない。それと同じことで、それがスターでありさえすればどれほど小さな声だってみんな頑張って聴くのである。
▼舞台を観ていて何度か経験があるのだけれど、なんだか頑張って喋っているのだけれどとにかく周波数というか私の耳と相性が悪い人の声がマジで聞き取れない、ということがたまに起こる。演技がどうとかいうことではなくて単に声の質や、音域の問題なのだろうけど本当にもうお手上げレベルで聴き取れない、ということがたまにある。
▼逆に、トヨエツではないけれど舞台上で極端に声が小さい人はこれはもう見どころがある、と思っている節もある。私が舞台で好きなのは「声が大きい人、白目を剥いている人、痙攣している人」で、そういう人が舞台上に出てくるだけで基本的には評点が極端に甘くなる。そこへきて「声が小さいやつ」の登場である。
▼あまつさえ舞台の上に現れて、それで声が小さいというのはもう基本設定からしてどうかしている。鍛えられてないとかでなく、その声の小ささが根源的であればあるほど私は興奮してしまう。「なんなんだあいつは…?」という疑問符がもうずっと浮かんで頭から離れなくなる。わざわざ舞台に出てきて声が小さいって、なんなの、という気持である。
▼そうして「声が小さい、小さすぎる!!」といって演出家を七転八倒させる俳優は、いい俳優だと思う。舞台において声は大きい方がいいとは思うが同時に、小さければ小さいほどいいのだとも思う。なぜなら声は基本的に「出せば出る」からである。出せるものを全力で出しているうちはまだ青二才といってよく、どれほど小さな声で観客を惹きつけつつ全編を乗り切れるのか、という計算を、これからはしていかなければならないのではないかと考えている。
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平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co. 第8回公演
戸山公園野外演劇祭参加作品
『若き日の詩人たちの肖像』
2024年 5月17日(金)ー19日(日)
各日18時30分開演(17時45分受付開始・開場)
※雨天決行
於:戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
https://g.co/kgs/Ksc4VNJ
【チケット】
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02czx9t72zj31.html
【公演詳細】
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