見出し画像

地方開業のススメ〜税理士事務所の開業場所の選び方で顧客単価が3倍になった方法〜

税理士事務所を開業する場合、場所選びはとても重要になります。

なぜなら、今でこそ全国対応の税理士事務所もありますが、基本的には税理士事務所は地域密着型の業務であり、電車や車で数十分圏内で行ける事務所と顧問契約する方が多いのが現状です。

やはり顧客心理として、何かあったときは会いに行けるというのは安心感に繋がると思います。

そういう理由もあり、開業場所はとても大事になります。

私の体験談から、事務所を戦略的に設置することにより、顧客単価が3倍以上に上昇した理由をご紹介します。

事務所場所に悩んでいる方はご覧ください。

開業場所の選定

画像3

私は開業直前まで東京で働いていました。

開業したいと考えたとき、場所は確定していなかったのですが、少なくとも開業場所は東京ではないことは決めていました。

その理由として

・東京は顧問単価の価格破壊が起こりやすそう
・開業当初のコストが東京は高い
・将来プライベートで東京に住む意味がない

というところでした。

ご存知の通り、東京は圧倒的に税理士の数が多く、競争が激しいです。

顧問料無料の事務所も出てきているほどで、経営として成り立つかは微妙ですが、価格破壊が起こりやすそうだと考えました。

もちろん大規模な会社が多いのも東京のため、将来的に大口の顧問先が獲得できるのも東京だと思います。

軌道にのって将来的に東京にも事務所を作るのもアリだと思いますが、初めの開業は東京じゃないなと思いました。

また、開業当初は事務所を借りるコストをなるべく減らしたい所ですが、東京は家賃や生活費がとてもかかります。

家賃は1LDKで当時12万円ほどでしたし、食費も地方より月2万円ほど東京は高かったと思います。

雇用する場合も地方よりも人件費が東京は高いので、この点からも東京での開業は敬遠しました。

また、私は熊本出身のため、東京で一生暮らすというイメージが湧きませんでした。(開業したら、コロコロ場所を移転するとクライアントに迷惑ですので、開業したらその場所に一生住むと思います)

親や友人も地元にいますし、数少ない東京にいる友人たちも熊本に帰りたがっていたことから、自分も東京にこのまま住んでいると将来帰りたくなるんだろうと思いました。

その時点で開業場所は東京以外の場所となるのですが、やはり将来的に子育てや親の近くにいることが良いと考えたことから、地元の九州にしようと思いました。

地元は熊本なので、熊本で開業するのが通常なのですが、なぜ熊本にしなかったかというと

・以前の勤務先とのしがらみ
・将来的な経済発展可能性
・起業支援をしたい

という理由です

税理士業界は良くも悪くも業界のしがらみがあります。(地方ほどしがらみが強いです)

税理士という資格の権威性や安定性を確保してくださった先輩方には感謝していますが、地元の場合は先輩方に気を遣って営業がやりにくくなるのではないかと予想しました。

以前の勤務先がある熊本はそういう意味で、営業のしづらさなど制限がかかる可能性を考えました。

思いっきりやりたいことが出来ないのであれば開業する意味が半減してしまいます。

また、熊本は人口が増えているわけではなく、会社の数や事業を行う人の数も将来的に減る可能性があると思い、税理士業務の市場として厳しくなると予想しました。

そして、起業支援をしたいという想いから税理士事務所を開業しましたので、熊本の起業する人の少なさは、どうしてもやりたい事との違いが出てきてしまい、いずれ経営が難しいと感じる場面がでてくる可能性があると考えました。

これらを解決する場所として福岡が最も適しているのではと考えました。

・福岡は人口が増え続けていること
・天神ビックバンなど経済活性化をしている
・福岡市で起業支援を行なっている

これらの理由と九州であることから福岡に開業場所を決めました。

地方開業のススメとしては、地方は地方でも田舎すぎない地方がオススメです。

このようにして開業場所は決まりましたが、直前までは東京で働いていましたので、開業前の営業活動は特にできませんでした。

ホームページやブログを軽く事前に作ったくらいで、特に人と会ったりはしませんでしたので、スタートダッシュとしては弱かったかもしれません。

名刺〇〇枚配り切ったみたいなよく聞く武勇伝は私には全くありません(笑)

開業当初は自宅兼事務所

間取り

開業する前は東京だったので、開業場所の福岡には事前に自宅を決めるため、一度2泊ほどで福岡へ行きました。

事前にインターネットで賃貸物件を検索しましたが、自宅兼事務所として利用できる物件はなかなかありませんでした。

理由としては、自宅兼事務所となると入居者以外の人が訪問してくる可能性もあるため、物件オーナーが敬遠しがちです。

そのため、入居希望者が少なくあまり人気のない物件が事務所利用を可能にしていたりします。

なかなか選択肢の無い中でなんとか物件が決まり、家賃も東京と比べて半額近くになったので、地方のメリットをここで早くも感じました。

自宅兼事務所のメリットとデメリット

自宅兼事務所のメリットとしては

・コストが安い、かからない
・移動がない
・育児や介護の両立が可能

という点でしょうか。

やはりコストが安いという理由から自宅兼事務所を考える人が多いと思いますが、移動時間もかからないのはとてもメリットがあります。

東京などは片道1時間が当たり前なので、1日2時間も移動が無いだけで節約でき、別の事に時間を使うことができるのです。

介護や育児など家になるべくいなければならない方は自宅兼事務所は良いでしょう。

対して、自宅兼事務所のデメリットとしては

・仕事とプライベート時間の区別がつきにくい
・来客を呼べない
・自宅住所が公開されてしまう

ことなどがあります。

一つドアを開けると仕事場というのは移動に時間はかかりませんが、やはりその分プライベートとの区別をつけにくく、仕事に気合が入らないことも多くあります。

私は開業当初は顧問先が0件でとてもヒマでしたので、ブログを1記事書いてすぐに妻と外出して遊びに行くなど良くありました。(今でも良くありますが・・・)

また、顧問先との打ち合わせについては開業当初から移動時間を減らすために来所型にしようと考えていましたが、当時は自宅兼事務所のため、来所頂くのが難しく、自宅近くのカフェに来ていただいてました。

カフェは飲み物もあるし、ゆっくり話もできますが、込み入った内容や業績の報告などは難しかったので、とても不便でした。

事務所が欲しいなとすぐに感じるようになりましたが、お金の心配から動けず、悶々としていました。

また、自宅兼事務所で打ち合わせはカフェとなると、クライアントにも足元を見られる可能性があります。

当時は私の今との方針の違いもありますが、月額1万円の顧問料が多く、とても収入として伸びる感じではありませんでした。

あと、税理士は開業すると日本税理士会連合会に名前と事務所所在地が登録され公開されます。

自宅が全国に公開されることは正直リスクがあります。

もし顧問先などと揉めた場合、家族が住んでいる自宅を知られているというのはどうしても立場が弱くなってしまいます。

打ち合わせ場所の確保としてテナント借りたら顧客単価が3倍に!

前述の通り、自宅近くのカフェでは打ち合わせが難しいことなど不満が多かったため、開業から半年ほどしてテナントを借りることにしました。

まだ開業して半年ちょっとでしたので十分に利益が出ている状態ではありませんでしたが、今後も顧問先は増えるだろうという予測もありましたし、場所を確保することで顧問料の値上げを行うことができるだろうと考えました。

エントランス

テナント事務所にはこのような玄関を設けて、まずは来客する方にきちんとした事務所であることを印象付けようと考えました。

中央の受付電話は無くても全然大丈夫なのですが、弁護士事務所のように敷居を高くしたかったため、あえて受付電話を設置しました。

応接室画像

応接室はこのようなしっかりした応接セットを用意しました。

落ち着いてご相談できる場所を確保できました。

看板や事務所の内装、備品を合計して費用は200万円ほどかかりましたので、このテナントを借りるタイミングで銀行から追加融資を受けました。

この事務所にしたことで起こった効果は

・顧問料の値上げに成功(月額1万円→3万円)
・値下げ交渉がなくなる
・もっと高単価の契約も可能になる

ということが起こりました。

タイトル通り、月1万円だった顧問料だったのが、毎月の面談をする契約に変えることができ、月額3万円の顧問先が増加しました。

また、新規のお問合せをいただき商談の時も、しっかりした事務所であるという印象を持ってもらえますので、顧問料の値下げ交渉もなくなりました。

さらに3万円以上の顧問先も獲得でき、月額顧問料が10万円近くの顧問先もでてきました。

自宅兼事務所の不便さを経験すると、テナント事務所の便利さがとても心地よく、羽が生えたようでした。

結びに

自宅兼事務所はコストがかからないのでメリットがありますが、どのような仕事をしたいかにより、どのような事務所にすべきか考えるべきです。

また、開業場所も現在働いている場所しか開業できないわけではなく、私のように過去に全く住んだことも働いたこともない場所での開業もアリなのです。

まずは住みたい場所を考え、その場所が開業に合っているか検討してみましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?