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企業は従業員の高齢化問題を放置してはいけない

先日、社外取締役をさせていただいている会社の創業記念式典に参加してきました。経営者の発表の中で、20代の従業員比率が47%まで高まったという話がありました。
総務省の労働力調査を元に若い世代の労働力の占める割合を計算すると、15歳~34歳の割合が2022年12月末で24.5%となっていることから、いかに高いかが分かります。

この会社では元々30代・40代の中間層が少なく、従業員の高齢化が長期的な課題となっていました。中途で中間層を大量に採用するという考えもありましたが、ミッションやビジョン、理念を大切にするという方針もあり新卒採用に長年力を入れてきました。
新卒は教育の手間も掛かりますし、戦力になるまでの期間は収益的な負担も大きいので、中小企業では新卒採用を避ける傾向があります。しかしこの会社では財務的な余力もあったことから未来投資として新卒の採用を継続して行ってきました。結果的にベテラン中心だった組織が現在は若手中心の組織となりました。業績的には既に若手が全体を牽引する立場となってきており、生産性も向上しています。

国家単位での将来性や成長性を見る上で国民の平均年齢が挙げられることが多いのですが、それは会社でも同じです。これまで色んな会社を見てきましたが、人口構造的な問題もあり高齢化が進んでいる会社がとても多いです。
従業員の高齢化は短期的な収益を考えるとベテランが中心になるためメリットもありますが、長期的には労働力不足・ノウハウ承継という意味で大きなデメリットになります。

現在の世の中では若い人材を増やすということは非常にハードルが高く、10年単位での取り組みが必要です。
新卒を採用するということもこれだけ若者が少なくなってくると、応募してもらうだけでも相当大変ですし、新社会人の育成もノウハウがあります。既存のベテラン社員に若手を教育するという意識を持ってもらうこともそんなに簡単なことではありません。手間の掛かる新卒を避けて20代後半~30代前半の中途を採用しようとしても、そこは他社も同じことを考えるので完全にレッドオーシャンと化しており、優秀な社員を見極めて入社してもらうのは本当に大変です。
岸田首相も異次元の少子化対策を打ち出していますが、会社の若返りを図るのはそれと同じくらいの覚悟が必要です。しかし、長期的な会社の成長を考えた場合、目を背けてはいけないテーマだと思います。


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