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成り行きの未来を想像する

先日、ある会社で5ヵ年の経営改革計画の最終年度を迎えました。5年前に立てた目標には届かず、最終年度には大きな外部環境の変化があり失速したため経営者はあまりスッキリしない最後になってしまったと嘆いていました。

私は役員メンバーに質問しました。
「もし仮に、5年前に改革計画をスタートさせず、成り行きで進んでいた未来があったらどんな5年後(現在)になっていたと思いますか?」
ある役員から、「売上は現在の6割くらいで大きな赤字になっていたと思います。」というコメントがありました。
実はこの会社は特定の取引先以外の売上がほとんどなく、その取引先に自社の命運を握られるような状況が続いていました。年々取引条件が厳しくなり、業績も徐々に悪化していました。組織としても一社専属に近い状況だったため改革には大きなエネルギーが必要でしたが、営業部隊を設置し現在では主力取引先以外の売上構成が4割にまで増加しました。コロナ禍などの影響で主力取引先の売上が大幅に減少するなど5年前に想定していなかったこともありましたが、新規開拓を進めていたこともあり深刻な影響には至りませんでした。
確かに数字的には目標未達であり、諸手を挙げて喜べる状況ではありません。しかし私は勇気を持ってこの改革計画を実行したことは変化に身を投じた現場社員も含めて評価に値することだと伝えました。
人生にも経営にはタラレバはありません。何かの意思決定(変わらないということも含め)をし、その結果があるだけです。しかし、変化しなかった未来、成り行きの未来をイメージすることで違う見方ができるものです。

経営計画を作る際に、このまま何の改革も取り組みも行わなかった際に会社はどうなってしまうのか?ということを考えてもらうことがあります。会社に大きな問題がある場合はもちろん良くない未来を想像します。ある意味、そうならないようにどうすべきかを考え、手を打つ必要があります。
前述の企業においても、5年前に成り行きの未来を考えてもらい、だからこそ改革を進めるという意思決定をしました。短期的な未来だけでなく中長期的な未来を描くことで問題の深刻さを理解してもらうことができます。個人も会社も同じです。

先を見越して、そうならないように早い段階で手を打つ。これこそが中長期のリスクマネジメントの基本です。

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