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原酒の担保融資でジャパニーズ・ウイスキーの更なる発展を支援

金融機関が熟成中のウイスキー原酒を担保に融資をする記事がありました。

いわゆる動産担保融資(ABL)ですね。
なぜウイスキーなのかというとウイスキー製造は非常に多くの運転資金が必要になります。ご存じの通りウイスキーは何年ものあいだ樽に入れて熟成させます。熟成期間中は一切お金が入ってきません。原材料を仕入れて醸造・蒸留という作業を行いますが、原材料費も人件費も設備費用も先行投資です。3年熟成させるのであれば、現金が入ってくるので樽に詰めてから早くても3年後です。経営的には非常にリスクが高く、気軽に始められるビジネスではありません。近年クラフトビール(地ビール)が各地で販売されていますが、地ウイスキーというものは見かけません。ビールは鮮度が重要なのですぐに出荷・販売し現金が入ってきますが、ウイスキーはそうはいきません。それは製造設備や技術的なことだけでなく、資金的な負担も要因となっています。
大手お酒メーカーの在庫水準を表す棚卸資産回転期間を見てもウイスキーの販売比率が高いサントリーの数字が高いことが分かります。

似たようなところではいわゆるパルメザンチーズであるパルミジャーノ・レッジャーノに対しての融資があります。パルミジャーノ・レッジャーノ出荷まで18~36カ月長期熟成が必要でウイスキー同様、多額の運転資金が必要です。そこでイタリアのパルマでは熟成中のパルミジャーノ・レッジャーノを担保として、銀行が融資をしてくれるという制度があります。パルミジャーノ・レッジャーノはイタリアチーズの王様としてチーズ界の頂点に君臨し、世界的にも安定して需要があるため価値が下がることはまずありません。しかも熟成期間が長いほど価値が高まるので担保として預かっている間も価値が高まるため、銀行としても安心して担保として受け入れることができるという訳です。パルマ地方の銀行はチーズを保管するための倉庫を沢山保有しています。

ウイスキーの原酒を担保に融資をするということは、銀行としてもジャパニーズ・ウイスキーの価値が安定していると考えているからでしょう。現在ジャパニーズ・ウイスキーは世界的にも評価が高まっています。このような融資制度がジャパニーズ・ウイスキー業界の更なる発展に寄与すると良いですね。


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