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病院で生活できる社会性

半年ぶりに、弟がお世話になっていた社会福祉法人に野暮用で伺った。
亡くなったということがまだ実感としてなく、グループホームでのんきに今でも生活しているんじゃないかと思ってしまうことがある。

弟がいない世界に、まだ慣れないんだよね。

弟は、ある日突然、病院に入院する事になった。
幸いだったのが、病院での生活に順応してくれたことだった。

この時、グループホームで生活する、という選択をして良かったと思った。

ある日突然、体調が悪くなって入院。
いきなり大部屋で、知らない他の患者さんとの共同生活。
お医者様の回診、看護師さんの定期巡回。
病院食、リハビリ訓練。
そして、検査や手術。

どれもこれも、健常者の私でも不安なことだらけだ。
夜もひとり、朝もひとり。

伝えたいことが言えないもどかしさ。
なされるがまま、文句も言えないので看護師さんによっては
悲しいほどの手抜き対応でもじっと耐えていた。

元々、私とは比較にならないほどの温厚で我慢強い性格だったのが幸いだった。

入院当日、先生から「パニックを起こしたりしますか?」と聞かれた。
後に分かったのだけど、ダウン症の障害者が入院するなんて経験は病院だってそうあることではないらしい。医療関係者だって、障害者が突然入院となれば
どう対応したらいいのか慣れていないというのは普通のことのようだった。

「医療行為に対して、反抗するようなところがない」ため
特に問題もなく医療行為を受けることができた。
弟が持っていた社会性のおかげで、適切であろう医療行為が受けられた。(と信じたい)
物言わぬ患者は、私の知らないところで看護師からテキトーな待遇を受けていたことも多々あった。それは、障害者だからではなく、ものが言えない患者全般に言えることなのかもしれないけど。

グループホームでの生活は「いいかんじ」と言っていたけど、本心は知るよしもない。でも、突然の入院生活に順応できたのは、グループホームでの生活があったことも影響しているように思った。

身内をグループホームで生活させることに迷うことがあると思います。
病院という規律のある集団生活に順応できるようになっていれば
本人も家族も医療行為を受ける際に、違うことで悩むことが少なくなるように思います。そのための準備と考ることもできるのでは、と思います。

障害者家族の住まいについて、どうしようか考えているご家族の参考になればと思います。


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