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罪×パンデミックな小説「ツミデミック」読書感想

 一穂ミチさんの文章は、とても読みやすい。そして本作においては、「罪」がテーマの1つでつらい描写もあるのだけれど、どこかさらっとしていて、私のページをめくる手が重くなかった。あっという間に、1日で読了した。
 第171回直木賞受賞作の短編集。

 1話目の「違う羽の鳥」、途中までは最高に好奇心が刺激された。不思議で、ちょっぴり怖くて、予想を覆すストーリー展開。オチだけ、ちょっと肩透かしをくらった気がしましたが、それ以外はミステリ的なお話でとても楽しめました。

 5話目の「祝福の歌」では、ラストで泣いてしまいました。人生の中で、「これは大変なことになったな」と思うことが何重にもなって押し寄せるときってあると思う。そんな中にも、自分が愛されていたのだと感じることができる、ほんのわずかな、消えてしまいそうな何かに思いがけず触れる。人生の波にのまれそうになっても、「自分」を客観的に肯定できる瞬間。

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