最近、友人と話をしていた時に、「幸せになりたいね」という話題になりました。

そもそも幸せとは何?
どんな時に幸せを感じるの?

- ドラえもんがどら焼きを食べる時?
- 恋人と手を繋いだ時?
- 仲間と甲子園で優勝した時?
- 十年以上会っていない家族と再会した時?
- 大学に合格した時?
- 自分の夢を叶えた時?

幸せは、人によってそれぞれの定義がありますよね。

実は、私は大学時代に、
「自分の人生が虚しい」、「生きがいを感じられない」、「とにかく平凡な毎日過ごしていて、人生の意味が分からない」、「刺激がない」、「幸せじゃない」と思ったことがありました。

そこで私は、自分のことをもっと理解し、幸せになりたいと思い、心理学の勉強を始めました。
そうして出会ったのが、アメリカの心理学者マズローです。彼は「モチベーションの理論」を提唱し、この理論は、人の欲求の面から、人々はどのような原因・要素でモチベーションを得られるか(動機づけられるか)を解析しました。欲求が満たされることと人の幸せには密接な関連性があります。

1. 幸せを見つけるモデルその1:マズローの五段階欲求モデル

マズローは、人間の欲求を5つの段階に分けました。人間は、生きている間にこの5つの欲求を満せば、モチベーションを得られます。その5つの欲求とは:

- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 愛と所属の欲求
- 承認欲求
- 自己実現欲求

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簡単に説明すると、ご飯さえ食べられない人は恐らく、他のことを考える余裕もないでしょう。もちろん、夢、志や目標を持って行動している人の中には、生理的な欲求をあまり重視していない人もいますが......

次に、「安全の欲求」は、身の安全、経済的な安定性、健康とウェルネスを示しています。例えば、戦争が起こっている国では、身の安全も分からない時には、幸福感や満足感を得ることは難しくなるでしょう。

また、「愛と所属の欲求(社会的欲求)」は、人間関係を重視しています。人間は、友情、家族、恋愛、職場、団体などの中で、人との関係を築き、維持し、人に愛されたい、グループに承認されたいという欲求を持っています。特に日本では、コミュニティーに受け入れられることは、かなり重視されています。

そして、「承認欲求」です。この欲求は、「愛と所属の欲求」と違って、人に尊重され、自分の存在価値が他の人に認められ、この世の中に貢献できることを強く求めます。

最後に、「自己実現の欲求」です。「自己実現」とは、自己を正確に認識した上で、自分の潜在的な能力を発揮し、価値ある自己を実現することです。この部分は、マズローの5段階モデルのトップに当たります。しかし、自己実現の内容は人それぞれ異なります。例えば、アインシュタインのような科学者になって、重要な理論を発見する。野口英世のような研究者になり、重要な科学研究に力を尽くす。クリストファー・ノーランのような監督になり、世の中人の心に響く作品を創る。マーティン・ルーサー・キングのような提唱者になり、人権のために熱く戦う。親になり、幸せな家庭を築くために努力する。清掃業者になり、綺麗な街を保つために働く。兵士になり、国の安全を守る。他にもきっと様々な自己実現があるでしょう。 

自分の世界観、考え方、自己実現の定義によって、選択も異なってきます。ですから、きちんと自分の心の奥底の声に耳を傾け、自己実現するための将来像を磨くことが大切になると思います。

「人間の需要は理解したけれども、自己実現するには、具体的にどうすればいいの?」と思う人も少なくないと思います。特に、自分の将来(進学、就活、転職活動など)について悩んでいる人は、自分が抱えている課題にどこから手を付ければ良いか分からないかもしれません。

そこで、もう一つのモデルを紹介します。

2. 幸せを見つけるモデルその2:いきがいモデル

皆さんは、生きがいという言葉を聞いたことがあるでしょう。

実は、日本で長らく生活していたスペイン出身の起業家で、元ソフトウェア・エンジニアのエクトル。ガルシア(Hector Garcia)とスペインの自己啓発本のベストセラー作家フランセスク・ミラージェス(Francesc Miralles) は、「生きがい」という言葉を新しく定義しました。

彼らは生きがいを、

「好きなこと」
「得意なこと」
「世界に求められること(必要とされること)」
「報酬を得られること」

と定義付けました。

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この4つの要素が重なった時、あなたは自分の生きがいを見つけることでしょう。

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2つの円が重なる場合は(私見ですが)、
1) 好きなこと+得意なこと= 人生は楽しいが、経済的に苦しい、社会的にインパクトがない

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2) 好きなこと+報酬を得られること= 基本的に満足だが、自分の無能感を感じる、社会的にインパクトがない

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3) 得意なこと+報酬を得られること= 生活的に問題はないが、自分のやっていることに興味がない、社会的にインパクトがない

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4) 得意なこと+世界に求められること= 自分がやっていることは上手にできていて、社会的にインパクトを与えているが、仕事に興味がなく、生活ができない

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5) 好きなこと+世界に求められること自分がやっていることは楽しく、社会的にインパクトを与えているが、自分の無能感を感じる

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6) 報酬を得られること + 世界に求められること生活的に問題はなく、社会的にインパクトを与えているが、自分の無能感を感じていて、仕事に興味がない

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しかし、3つの円が重なった場合は、何が起こるでしょう?

7)「好きなこと」と「得意なこと」と「報酬を得られること」の3つの円が重なると、自分のやりたいことが見つかるはずです。しかし、自分のやっていることは世の中に必要とされているものではないので、無駄に感じてしまうかもしれません。

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8)「好きなこと」が「得意なこと」や「世界に求められること」の3つの円が重なると、とても幸せで充実した気分になりますが、生活を維持するための経済的な安定性が必要となります。

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9)「得意なこと」が「世界に求められること」や「報酬を得られること」の3つの円が重なると、居心地の良さを感じますが、自分の好きなことではないので、虚しさを感じてしまうかもしれません。

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最後に、

10)「自分の好きなこと」が「世界に求められること」や「報酬を得られること」の3つの円が重なると、自分の得意なことをやっていないので、ワクワクしたり、満足したりすることはできますが、不安になるかもしれません。

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従って、自己実現のために何をすべきかを決めるときに、先程紹介したモデルを参考にすると、自分の立ち位置が分かり、何が足りないのか、何を改善すれば自分の生きがいを見つけて幸せになれるのかが分かるようになります。

References 

Maslow, A. H. (1943). A theory of human motivation. Psychological Review, 50(4), 370–396. https://doi.org/10.1037/h0054346
García, H., Miralles, F., & Cleary, H. (2017). Ikigai: the Japanese secret to a long and happy life. New York: Penguin Books.