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#9.10.11 ゲームを仕上げよう【地域ボードゲームをつくろう!】

ラスト3回分の「地域ボードゲームをつくろう!」ガイダンスまとめです。このプロジェクトは、愛知県の名古屋大学博物館でボランティアをする大学生たちが地元に根差した「地域ボードゲーム」の開発に挑戦していきます。

ガイダンスのようす(学生が作っているカード)

前回の記事に書いた通り、この終盤講座は学生さんとの話し合いが中心になっているので、前半より講義部分が薄くなっているため複数回をまとめています。過去の内容をふくめ、本講座はこちらのマガジンにまとめています。

主催:愛知建築士会 名古屋名南支部
協力:MusaForum(名古屋大学博物館 学生スタッフ団体
協力:いたばしの地域ボードゲーム会

以下にスライドの一部を抜粋しつつ、実施したガイダンス内容をまとめていきます。


1. 第9回 ルール完成と実制作へ

第8回までをふまえ、実際のコンポーネントのデザインが始まりつつあるタイミングでの講座です。この時点でキービジュアルが作れるならば早めに作って広報に生かしてほしいと考え、キービジュアルについて話題を提供しました。

キービジュアルをつくろう

キービジュアルは、コンテンツの顔となるもの。メインビジュアルと呼ぶ場合も。
キービジュアルにあわせて宣伝ツールをつくると、作品の印象がまとまりやすい。

キービジュアルがあるかないかで宣伝のしやすさが大きく変わります。なので早めにほしいのですが、そのためには作品の方向性や世界観がバシッと決まらないと作りづらい部分もあります。コンセプトを最初に作り込むことはやはり大切です。

結果、この時点では学生側もルールの調整や見直しがまだまだ大変で、キービジュアルを作り込むところまでは手が届かなかったようです。この辺りはは遠隔のガイダンスで、現場の進捗をしっかりつかめない立場の難しさを特に感じました。

地図をつかったデザインの事例紹介
カードデザインの事例紹介

コンポーネントの制作に役立てばと思い、いくつかのデザイン事例を紹介しました。カードのデザインなんかは見ているだけでも楽しくなりますね。


進捗状況の確認と話し合い

これまでのタスクと今後に残っているタスクの全体像を提示

後半は各チームのゲーム制作状況を聞いて、内容について話しあっていきました。

チーム:め〜いっぱい

め〜いっぱいのチームは、第8回から第9回ガイダンスまでの間で、ゲームルールの大きな変更があったようです。第8回の話し合いをふまえて、スゴロクのような移動パートを省略し、東海地方のお土産を使って「役」をつくるカードゲームに変更しました。

学生がつくっているカードゲーム。イラストもチーム内の学生が担当、とても可愛い

ルール変更にともなって、カードを中心とした制作物に関するスケジュール感や作り方についてもこまかく話し合いました。

コイントスで成功するカードの強奪行為が、もりあがりポイントの1つ

また、学生らの過去のテストプレイを通じて、どんなふうにブラッシュアップしていったかをくわしく教えてもらい、最新のルール的でどんな展開と穴がありそうか話し合いました。

相手のカードを奪うことができる「なごやかコイン」がこのゲームの特徴です。カードの奪うのに「名古屋以外のお土産を名古屋名物にしてしまう(名古屋化)」と「和やか」をかけてあるのがとてもユニークです。

め〜いっぱいチームのゲーム名は「名古屋で土産売っとるって聞いたがや おみゃあの店、見せてみゃあ〜」です。名古屋土産に対する熱い眼差しと、本当に名古屋産か?という疑惑の目がまざった楽しいタイトルですね。


チーム:TTB(東海トラベルバス)

地図上をめぐりながらお客さんを集めていくTTBのゲームも、実際の制作状況とものづくりの進め方を話し合い、確認しました。
TTBはゲームルールが固まり始めたばかりで、実制作はまだまだこれからという段階でしたが、改めてコンポーネントの種類数とそれぞれの計画を検討しました。

TTBは、ルールブックを見ながら必要物やその作り方を話し合った

制作物のなかでも、カードを印刷するなどで外部企業を利用する場合は、スケジュールの検討は早めに進めないと危険です。
そのカードの大きさ、ロット数、種類数などによって印刷会社にデータ入稿するデッドラインが決まってしまいます。これは全体スケジュールに大きく関与するため、作ろうとしている内容と現実的な時期についてくわしく話し合いました。

だれでも簡単に3Dプリンターでコマをつくるための例として、Tinkercadの操作を紹介

また、コマの作成を考えた場合、学生たちは幸いに3Dプリンターを使える環境にありました。でも、データ準備に不安が残るということだったので、その場でTinkercadの使い方を紹介しました。


2.第10回と第11回の実制作

ゲーム会までおよそ1か月と迫った第10回と第11回のガイダンス。いずれも実制作に基づいたサポートを行いました。

小部数(5部)でカード印刷できる「グラフィック」を例に作業を具体的に説明


カード印刷に関わるノウハウ

今回の地域ボードゲームの制作は、名古屋大学博物館が支援してくれているため、ゲームボード用のパネルや大判印刷が可能で、3Dプリンターなども使用可能な環境が整っています。内部制作できる環境があるってことは多少の失敗もやり直せるし、近くに機材の使い方を教えてくれる人もいるはず。

そこで僕が支援するべきは、外部に印刷発注する予定のカード作成でした。この時期にはガイダンス以外の時間でも、ときどき役立ちそうな情報をスラック上で共有していました。その中でも実際に気をつけなければならないポイントとして、カード制作に関わるポイントを確認しました。

印刷会社に入稿するとしても、コンビニなどで両面印刷して自分たちでカットするとしても、理解しておいた方がいいポイントを押さえ、説明しました。実際の資料PDFは、記事末尾の参考欄につけておきます。

印刷用のデータを用意するのに理解しておく必要がある「塗り足し」について確認
両面印刷を使ってカードを作る場合に失敗しないためのポイント3つまとめ

印刷を外部発注して綺麗に仕上げるならば、最速でも使用日の2週間くらい前にはデータが完成しないと困難です。それぞれの状況を聞きながら、印刷の準備、あるいは手作りカードの準備を検討し、話し合いました。

とくにラストの第11回は、12月1日、印刷するならばデータ入稿のデッドライン数日前という状況でした。
TTBチームはデザインが仕上がっていない内容が多く、なかなか厳しいかと思われましたが……ここからモーレツながんばりを見せ、なんとイラストつきで印刷入稿まで間に合わせてくれました。

印刷入稿直前に完成したTTBのカード例、全58種類でこうしたイラストが入っている

結果、両チームともイベント直前になりましたが、ゲーム内容にもビジュアルにも地域の魅力がいっぱい詰まった地域ボードゲームが仕上がりました!ものすごい頑張りを発揮してくれて、本当にありがとう。

ボードゲーム会当日の話題は次の投稿にあずけます。


チラシと告知

少し時間が遡りますが、カードのイラストやビジュアルがまだあまりできていない段階で、告知用のチラシなどが必要となったので、今回は僕の方で準備させてもらいました。

イラストはAIに描いてもらいパワポで仕上げました

チラシはあまり語ることもないのですが、この時点ではゲームのビジュアル素材が乏しかったので、AIのイラストに挑戦しました。
迫力あるイラストが出てきたのはいいけど、随所の指などがおかしかったので修正に1〜2時間。テキストとあわせパワポで組み上げて、トータル5時間くらい。昔と比べるとすごい効率的だなーと時代の進歩を感じました。


(参考)使用したスライドなど

ガイダンス当日に使用したスライド全体です。
▼全編スライド(#9)

▼全編スライド(#10-11)


▼PDFによる提供資料

板橋区内に、レーザーカッターや3Dプリンターを使って何かを作ったり届けたりしています。また、そうした道具を使える人を増やしたいという思いで、講座などもちょいちょい開催しています。サポートいただけた場合は、こうした機材費や会場費などに利用させていただきます。