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会話概念のUIが必要な時代へ

前回は道具概念のUIと会話概念のUIを紹介しました。この記事では、それぞれのUIを具体的に紹介します。

道具概念

原始的な道具を使用するシーンを想像してください。馴染んだ道具を手にすれば、道具を意識することなく使用できます。いわゆる、道具が身体の延長となっている状態です。
GUIでは、道具の機能が直接的に配置されているものになります。文や絵をかく道具では、キャンバスに鉛筆やペンや消しゴムなどの書く機能が配されます。
(この例では、機能=道具メタファーになっていますが、必ずしも道具メタファーになっている必要はありません。書く機能=鉛筆というメタファーは成り立ちますが、更新機能を道具メタファーにすることは困難です。そのため、キャンバスに更新機能が配置されていても、意識することない道具的な使い方であれば、道具概念と言えるのです)

道具概念

会話概念

会話(他者とのコミュニケーション)を手段として何かを実施する、実施してもらうシーンを想像してください。会話のコストは必ずかかりますが、自分はその行為に不慣れで詳細まで知らずとも実施できるというものです。(熟練したパートナーを想定すればそうでないかもしれないですが)
GUIでは、説明的であり、操作が限定されているものが代表的です。自由に文字や絵をかくことと道具概念は相容れないので、サインをするというGUIを考えてみます。説明に従って自身で実行するパターンでは「サインをします。このエリア内でドラッグして、サインをしてください」と書いてある。または「サインをする」を選択し、サインのためのモードに入って操作する。などが考えられます。コンピュータに代わってもらうという方法もあります。その場合も「サインをする」を選択することが基本となるでしょう。
サインをすることに熟達している必要はありません、GUIと会話のようにコミュニケーションしながら操作を進めるイメージです。

会話概念

会話概念のUIが必要な時代ではないか

この例に見えるように、前の記事で述べた進行の違い、想定するユーザースキルがまったく違います。ここから、一つの結論を想定できると思います。
道具概念がUIの理想の一つであることはある程度間違いないでしょう。私たちのできることが自然に拡張されるのですから。しかし、会話概念も同じくUIの理想として生き残るはずです。誰もが自分で熟達してやりたい、やれる、のではないですから。

UIを学んでいくと、道具論によく行き着きます。しかし、往々にして、一つの視点からのみだと、行き詰まることがあります。そこで私は「会話概念のUI」を提示してみました。それは一般にモードやウィザード型とも言われるのに近いかもしれませんが、自然な会話であることに着目すればネガティヴなイメージは払拭されるのではないでしょうか。

AIの台頭が著しいこれからの時代に向けて、誰もが会話のようにつかえるようなUI、真剣に考えてみても良いのではないでしょうか?

今回は詳細まで検討する前での記事になってしまいました。今後も、会話概念のUIについて検討し発信していきます。

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