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道具概念のUI、会話概念のUI

前回の記事でOOUI(Object Oriented UI)は道具概念のUI、IUI(Inductive UI)は会話概念のUIと言えることを述べました。
本記事では、道具概念のUI、会話概念のUIとはどのようなものか解説します。

理想のイメージ

まずは、理想のイメージを考えてみましょう。
(理想のイメージを考えることについて。理想のイメージは極端なものになりますので、現実とは少しズレが生じてしまうこともあります。しかし、極端な例を考えることは概念を捉えやすくなる利点がありますので、おすすめの思考方法です)

道具概念のUIの理想は「身体の延長」です。
鉛筆を使っている時のことを思い出してみてください。あなたの意識は文字や絵などの書いている対象だけに集中し、鉛筆は姿を消しているようです。鉛筆というUIは透明な「道具」として身体の延長になっている状態といえます。
(身体の延長について。あなたが手を使う時、手は意識されているでしょうか。その感覚が身体の延長です)

会話概念のUIの理想は「素敵な店員さん」です。
素敵な店員さんと話している時のことを思い出してみてください。あなたの行動のサポートや、あなたが本当にやりたいことへ導いてくれたりします。あなたと素敵な店員さんとの間には「会話」がUIとしてあります。
(正確には、会話ではなくコミュニケーションと言いたい所ですが、コミュニケーションは余りに広い概念のため、会話をその代表として取り上げています)

道具概念・会話概念のUIの違い

これらには様々な違いがありますが、重要なものを2点挙げておきます。

違い1:進行の仕方

1点目は進行の仕方です。

道具概念のUI
自らが内容を読み解き、自らの使いたいように操作を進行させます。自分自身でUIを噛み砕いていくようなイメージです。あえて会話に例えるのであれば、独り言です。

会話概念のUI
会話のようなやりとりをもって操作を進行させます。自分のやりたいこととUIの考え方をすり合わせていくようなイメージです。

正確に言えば、どちらも操作し進めるのは自分なのですが、自分だけで進めていくのか、会話のようなやりとりで進めていくのか、そこに大きな違いがあります。

違い2:ユーザースキル

2点目はユーザーに要求されるスキルです。

道具概念のUI
高いスキルが要求されます。ユーザーがUIを自由自在に使いこなすことが想定されているからです。「道具」としての機能がUIに直接的に表現されるため、慣れないうちは苦戦することが想定されます。しかし、少しづつ使い慣れることで、道具は身体に馴染み、UIは透明化し身体の延長となっていくはずです。
(機能が非常に限定された道具概念のUIもあります。その場合は、高いスキルは要求されないことが多いと思います。)

会話概念のUI
高いスキルは要求されません。ユーザーがUIに不慣れであることや明確な目的をもっていないことを想定してデザインしているからです。この世界で慣れ親しんだ「会話」の構造を模しているため、うまくデザインされていれば、そのユーザーにとってどんなに新しいUIでも一定の使いやすさを提供できるはずです。
(「会話」だけでなく「道具」も慣れ親しんだものであると確かに言えますが、道具は自由度が高く使い方がそれぞれであることや道具の使い方を新しいUIで同様に表現することが難しいことが問題となります)

今回は道具概念、会話概念のUIを紹介しました。
次回は具体例を用いてこれらのUI概念の詳細を紹介していきたいと思います。文字だけの抽象的な話ではわかりにくくても、具体例を見ると「なるほどなぁ」と思っていただけると思います。お楽しみに。

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