見出し画像

祈り

KDP(Kindle direct publishing)でエッセイ集「祈り」を出版しました。こちらのエッセイも収録されています。またこのエッセイ単発でもご購入いただけます。

父と喧嘩した。かつて子どもだった私がどんな風に傷つき、どんな風に自分の根底に本来あるはずの自信を損なって、どうして人を恐れ信用できなくなっていったのか、よく分かる喧嘩だった。あまりに理不尽で、かつての私があまりに不憫で、たまらなかった。

喧嘩したまま実家を出て帰宅したら、喉が痛いことに気づいて心の中で笑ってしまった。声を出しているときは夢中で気づかなかった。声帯に負担をかけてしまったな、と自分の体に申し訳ない気持ちになった。

ここから先は

3,543字

¥ 150

いただいたサポート費はよい文章を書くために使わせていただきます!