祈り
父と喧嘩した。かつて子どもだった私がどんな風に傷つき、どんな風に自分の根底に本来あるはずの自信を損なって、どうして人を恐れ信用できなくなっていったのか、よく分かる喧嘩だった。あまりに理不尽で、かつての私があまりに不憫で、たまらなかった。
喧嘩したまま実家を出て帰宅したら、喉が痛いことに気づいて心の中で笑ってしまった。声を出しているときは夢中で気づかなかった。声帯に負担をかけてしまったな、と自分の体に申し訳ない気持ちになった。
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