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消費税・法人税の概要:大人も読みたい!中学生からの租税教育③

 今回は、シリーズ『大人も読みたい!中学生からの租税教育』第3弾。”国税四法”の残り、消費税と法人税をご紹介します。企業の経理部門で税務調査を対応された方は経験あるかもしれませんが、法人税の申告で否認されてしまうと、場合により消費税も連動して否認されてしまう・・・。消費税と法人税は複雑に絡み合っている訳ですね。カバー写真の2羽の首が絡み合っており、消費税と法人税の絡み具合を連想しましたので、表紙カバーにさせて頂きました。では消費税・法人税の内容を見て参りましょう。

前回まで所得税・相続税を見てきましたので、今回は消費税・法人税を見て行きます。

 簡単に前回までの振り返りをします。日本では50種類もの税金があり、一挙に攻略するのが難しい・・・そこで、主な税金である”国税四法”を優先的に見て参りました。

”国税四法”から攻略するのはおススメ。

 で、”国税四法”と呼ばれる4つの税目について整理してみましょう。納税者の皆さんを支援させて頂くのが税理士の仕事。その税理士のお客さんは、”個人”と”法人”の2種類に区分され、今回は”法人にかかる税金”である消費税・法人税を見て行きます。

消費税・法人税は”法人にかかる税金”に区分されます。

 ”法人にかかる税金”である消費税と法人税。他の所得税、相続税と比べて簿記の知識が必要になるケースが多いです。税の考え方を理解するのにも簿記の知識が必要ですが、税額を計算する仕組みを抑えるには、簿記一巡の仕組みがベースになるからです。
 社会人の方にとって簿記はビジネスの公用語。どのような就職先でも、お金のやり取りはついてくるので、学生の方も出来るだけ早く簿記を勉強されることをおススメします。

簿記は500年以上前から存在しています。

 消費税・法人税の税額を計算する仕組みを抑えるには、簿記一巡の仕組みがベースになります。そこで簿記一巡の仕組みを見て行きましょう。
 まず取引発生。売上や仕入取引を計上したり、更には固定資産の減価償却など、現金の収支を伴わないものも幅広く含まれます。この取引の状況を日々仕訳に起こし、”仕訳帳”に記帳します。
 この仕訳帳について、決算期になりますと、売上高などの勘定科目ごとにまとめた元帳である”総勘定元帳”に転記。総勘定元帳から、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)といった決算書を作成し、税務申告書などに添付されます。

簿記一巡の流れ。

 簿記一巡の流れを見ましたら、法人税、消費税の税額の計算について、それぞれ見て行きましょう。
 上段の法人税。損益計算書(P/L)といった決算書をベースに作成します。P/Lで計算された利益が法人税の所得に相当しますが、利益と所得は必ずしも一致しません。例えば交際費のように、簿記では費用計上されているものでも、法人税上は費用(厳密には損金と言います)に認められない科目があり、調整されるからです。ちなみにこの調整が、別表四と呼ばれる税務書類で計算され、この別表四が”税務上のP/L”と呼ばれることもあります。別表四で計算された所得に税率を掛け、法人税額が計算されることになります。
 下段の消費税。こちらは総勘定元帳から作成します。課税売上課税仕入れとありますが、それぞれ消費税が課税される取引を指し、実際に課税された消費税額を総勘定元帳から取ってくる訳です。大雑把に言いますと、総勘定元帳の預り消費税合計から仮払消費税を差し引いて、消費税納付額を計算されることになります。

法人税と消費税の計算の仕組み。

 以上、法人税・消費税の計算の仕組みを見てきましたが、これで”国税四法”の概要を”ざっくり”見てきました。細かい説明はさておき、何となくイメージがつかめれば十分かなぁと感じています。
 シリーズ『大人も読みたい!中学生からの租税教育』は①から始まり、今回③で基本部分はいったん終了になります。後は中学生の社会科のテキストなどで出てくる個別論点を説明していく形で予定しています。”税を切り口に社会が分かる”ことが当シリーズの趣旨。不定期にnoteを更新していきますので、引き続き宜しくお願い申し上げます。

今回で”基本コース”は完了しました。

 次回予告です。中学生の社会科のテキストに立ち返ると、日本国憲法の学習が重要に。そもそも税法も法律の一部で、最高法規にあたるのが日本国憲法だからですよね。次回は”法律の世界”を覗いていきましょう。

次回は”法律の世界”を見て行きましょう。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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