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経理の嫌われモノ 三兄弟!?(経理マンの生態)

 経理関係の人と関わるとき、皆さんはどのような気持ちになりますか?

「 面倒くさいな・・・ 」

 おそらく、このような感情に近いのでは。「経理はお金を生まない」、「とはいえ、無視すると後々面倒」、「細かいところまでネチネチと・・・」等々。その気持ち良く分かります。今回は、経理畑20年の私から見て、更に面倒くさそうな経理3項目(三兄弟)を考えてみました。後でも出てきますが、三兄弟の正体はヒトではなく、経理項目である点、ご了承ください。

 前回の記事『工場経理のリアル』では「経理マンの職場」について紹介してきました。そこで今回は「経理マンの生態」についてご紹介致します。これら2つの記事を併せて、読んで頂けると嬉しいです。

奴ら”三兄弟”との出会い

 今から15年ほど前。経理実務を始めて5年ほど経った時、私は米国で株式上場している会社の株主向けの企業広報(いわゆるIR)に近い立場で仕事をしていました。日本でいう有価証券報告書。米国証券省(SEC)が規定する「フォーム20-F」の作成チームにいました。有価証券報告書にも「脚注」があるように、フォーム20-Fにも「NOTE(いつもお世話になっている”note”とは全くの別物ですよ!)」があります。奴らは、そのNOTEの中に・・・。

 「いきなり横文字を連発しやがって・・・酒が不味くなる。」

 このような声が聞こえてきそうなので、補足させてください。『工場経理のリアル』でもお伝えしました通り、経理マンの仕事は基本チームプレー。決算書数値が出来て、経営陣に報告するまで一丸となって仕事を進めていきます。この後、経営陣から投資家の皆さんに決算発表。で、この後、企業広報に近い経理マン達は何をするのか。日本では「有価証券報告書」の作成に取り掛かる訳ですね。ただし有価証券報告書の大部分は、決算発表までに既に作成済。コピー&ペーストのレベルです。未作成の大部分、これが「脚注」です。

 米国でもほぼ同じ。決算発表の後、日本の有価証券報告書に相当する「フォーム20-F」の発行に向け、未だ手付かずの「NOTE」の作成に着手するわけです。奴らは、そのNOTEの中にいました。決算発表までのチームプレーと打って変わり、各自担当、スタンドプレーでのNOTEの作成に取り掛かります。

奴ら”三兄弟”の正体は?

 三兄弟の共通のコードネーム。名前に「金」が付きます。

税金(長男)、 年金(次男)、 金融商品(三男)

 如何でしょうか? 担当割でこの三兄弟にあたってしまうと、仲間内で「はいっ、ご愁傷さま♡」という感じです。私にも例に漏れず、長男の税金を3年間担当することになります。

 因みに、米国に上場し、フォーム20-Fを作成している会社全てにこの三兄弟が現れるわけではありません。投資家向けの資料を公表する場合、投資家の意思決定に影響を与えるほど金額影響が大きくない項目は、作成しなくてOK(免除)という事になります。しかし、会社の儲けの半分近くを占める長男の税金。彼はなかなか免除させてくれません。では、フォーム20-Fの税金実務をちょっとだけ覗いていきましょう。他の兄弟二人?いろいろ闇が深そうですが、私も良く分からないので別の機会に・・・。

フォーム20-Fでの税金の実務

 通常、会社で使うの税金の実務は、法人税法。「会社の儲け」に対して、課せられる税金ですね。で、この「会社の儲け」。投資家が測る儲け(利益)国税が測る儲け(所得)に若干の差があり、この差の調整のことを税効果会計(ぜいこうかかいけい)、調整の結果、生じた税金の前払のことを繰延税金資産(くりのべぜいきんしさん)と言います。新聞でも、これら単語を見たことはあるのではないでしょうか。これらに関する情報をかき集め、NOTEに記載するわけです。

 厄介なのは、米国の税金の考え方。日本の場合は、税務調査が怖いので真面目に計算し、計算間違えをしないように細心の注意を払うイメージですよね。米国の場合は訴訟社会。税務調査を勝負の世界と考えている? その証拠に当時FIN48という規定ができ、「税務調査に入られたら否認されそうな項目があれば計上しろ」とルール化されていました。日本人の感覚では少し理解に苦しみますよね。また一般的に、日本の税務担当は経理事務の実務者よりの立場に対して、米国の税務担当は予算策定に係る経営者よりの立場という違いも感じています。

 前回(工場経理のリアル)と今回のまとめ

 以上、2回にわたって、前回の『工場経理のリアル』と今回の『経理の嫌われモノ 三兄弟!?』の記事にて、それぞれ経理マンの「職場」と「生態」をお伝えしてきました。如何だったでしょうか?

 『工場経理のリアル』(職場)では、工場現場の過酷な前線で戦う経理マンの人間ドラマ。『経理の嫌われモノ 三兄弟!?』(生態)では、経理マンの行動を支配する資本主義のルールを垣間見たのではないでしょうか。これらを通して、少しでも何か気付きになれば嬉しいです。

 これからも稲垣経営研究所ではnoteを通してマイペースではありますが、「異業種交流」と「将来の飯のタネ」をキーワードに、記事をアウトプットしていこうと思います。その前に一番大切なのはnoteを楽しむこと。これからも引き続き、宜しくお願い申し上げます。

 <以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>


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