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逐条イラスト図解!原価計算基準

 今回から不定期に『逐条イラスト図解!原価計算基準』をお届け予定です。場合により打ち切りもあるかも・・・。とにかく、新領域にチャレンジ続けたいと考えています。新領域は「原価計算」になります。

1.制度会計と制度としての原価計算

 いきなり教科書的な内容ですが、企業が株主や債権者等の企業外部の利害関係者に財務情報を提供することを「財務会計」といい、そのうち金融商品取引法(金商法)、会社法そして法人税法などの法律に基づいて実施される会計が「制度会計」です。
 他方、原価計算の結果は、売上原価や販管費、在庫数値に反映されますので「原価計算は財務会計のサブシステム」ということができます。(林總『原価計算の基本』日本実業出版社、12ページ参照)・・・ちょっと関係性のイメージを付けて頂くために下図①のイラスト図解しました。

図①:企業会計と原価計算の関係。「原価計算は財務会計のサブシステム」です。

 ところでテーマ「逐条(ちくじょう)」とはどういう意味でしょうか?GOO辞書によりますと”法律・規約などの箇条を一つ一つ順に取り上げること。”とされています。なぜ規定を順に取り上げる試みをするのでしょうか?そこで「原価計算基準」の性格について次で見てみましょう。

2.伝統的原価計算は古くさい?-What

 例えば税法や会社法・・・これらビジネスに関係する法律は民法と比べて圧倒的に改正頻度は多いです。原価計算基準というと法律でない側面もあり、改正頻度もとても多いイメージがあるかもしれません。
 ところが制定以来60年以上経った現在まで、「一語たりとも加筆修正されていない」とは驚きです。我が国の原価計算制度の行動規範。聖書が古くならないように、行動規範も古くならないのかもしれませんよね。
 ちなみに「規範」とは行動や判断の基準なので、企業が一言一句守るべきルールとは別で「本質を理解して弾力的に適用することが重要」である旨が原価計算基準の前文で記載されています。ゆえに『原価計算基準』を網羅的に見て頂くことで、「しっかり勉強した満足感」をお届けできればと考えています。

 いきなりですが、サンプル的に「原価計算基準」の原文をご紹介します。

原価計算には、各種の異なる目的が与えられるが、主たる目的は、次のとおりである。
(一)  企業の出資者、債権者、経営者等のために、過去の一定期間における損益ならびに期末における財政状態を財務諸表に表示するために必要な真実の原価を集計すること。
(二)  価格計算に必要な原価資料を提供すること。
(三)  経営管理者の各階層に対して、原価管理に必要な原価資料を提供すること。ここに原価管理とは、原価の標準を設定してこれを指示し、原価の実際の発生額を計算記録し、これを標準と比較して、その差異の原因を分析し、これに関する資料を経営管理者に報告し、原価能率を増進する措置を講ずることをいう。
(四)  予算の編成ならびに予算統制のために必要な原価資料を提供すること。ここに予算とは、予算期間における企業の各業務分野の具体的な計画を貨幣的に表示し、これを総合編成したものをいい、予算期間における企業の利益目標を指示し、各業務分野の諸活動を調整し、企業全般にわたる総合的管理の要具となるものである。予算は、業務執行に関する総合的な期間計画であるが、予算編成の過程は、たとえば製品組合せの決定、部品を自製するか外注するかの決定等個々の選択的事項に関する意思決定を含むことは、いうまでもない。
(五)  経営の基本計画を設定するに当たり、これに必要な原価情報を提供すること。ここに基本計画とは、経済の動態的変化に適応して、経営の給付目的たる製品、経営立地、生産設備等経営構造に関する基本的事項について、経営意思を決定し、経営構造を合理的に組成することをいい、随時的に行なわれる決定である。

原価計算基準「一 原価計算の目的」

 簿記検定の最高峰(タイトル)は「日商簿記検定1級」と言われますが、実はもう一つのタイトルがあります。これが「全経簿記検定上級」。この全経簿記検定上級の一科目「原価計算」の対策で、原価計算基準が論述で出題されることもありますが、「原価計算の目的は?」との問いに対して、上記の「一 原価計算の目的」を記述することになるんですね。
 ポイントをおさえて、①(ざ)財務諸表作成のため、②(か)価格計算のため、③(げ)原価管理のため、④(よ)予算管理のため、⑤(け)経営の基本計画のため、と頭文字をとって「ざ・か・げ・よ・け」でとりあえず暗記された方もいらっしゃるかもしれません。

 では逐条解説をどのように行っていくのでしょうか?次で解説します。

3.逐条イラスト図解で分かりやすく-How

 原価計算を網羅的に見ていくには逐条(ちくじょう)解説していくのが読者の満足感を得られやすいと考えています。しかもイラスト図解で。これこそ”法律・規約などの箇条を一つ一つ順に取り上げること。”を教科書的にしてしまうと、読者の方も嘔吐(!?)してしまうので、実務経験のコラムとイラストを交えて楽しく解説できればと考えています。
 例えば、下図②の労務費のコストや、下図③の設備費の管理を分りやすく説明するイメージです。

図②:労務費のコスト算出には労務費の費用管理(分子)に生産管理(分母)も考慮します。
図③:設備部門では「変動費=エネルギー費」と「固定費=減価償却費、修繕費」があります。

4.『逐条イラスト図解!原価計算』の章立て

 原価計算基準の逐条解説となれば、骨子(案)はほぼ決まっているようなもの。次のようになります。(カッコ内は基準番号です。)

0.目的・制度 (基準1、2、6)
1.費目別計算 (基準9、10、37、38、39)
 1-1.材料費 (基準11、14)
 1-2.労務費 (基準12、14)
 1-3.経費  (基準13)
2.部門別計算 (基準15、16、17、18)
3.製品別計算 (基準19)
 3-1.個別原価計算 (基準31~36)
 3-2.総合原価計算 (基準20~29)
 3-3.標準原価計算 (基準40~47)
4.直接原価計算 (基準30)

『逐条イラスト図解!原価計算』の骨子案

5.実務経験のコラムとイラストを交えて楽しく!(ご参考:4記事例の紹介)

 逐条解説を教科書的にしてしまうと、読者の方も嘔吐してしまうので、実務経験のコラムとイラストを交えて楽しく解説できればと考えています。原価計算に関する過去の4つの記事がありますので、ご参考までにご紹介します。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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