もうあきらめない!がまんしない!図解アサーション入門
今回は「アサーション」をテーマに記事にしてみました。皆さん、コミュニケーションで「大切なことをしっかり伝えあう自己表現」って素敵だと思いませんか?日本語にはない「アサーション」という言葉。アサーションとは、アメリカで生まれた「自分も相手も大切にする自己表現」という意味をもつコミュニケーションの考え方と方法のことをいいます。・・・表紙のメガホン持ったオジサンとは「正反対」のイメージです。
アサーションは、自己表現を見直したい人、対人関係を改善したい人に役立つだけではなく、人々との関わりの中で一人ひとりが自分らしさを活かすことにつながり、グループや組織の活性化につながるといわれています。こんな素敵な「アサーション」を6コマでサクッとマスターしてみましょう!
1.アサーションとは・・・手段としての「イラスト」もありかも
日頃のコミュニケーションで「困った」経験はありませんか?例えば、自分が頼みごとをしたとき相手から断られると、不愉快になったり、強引に押し付けたくなったりしませんか。あるいは逆に、頼みたいことが言えなかったり、人から頼まれごとをしたとき、自分ができない状況にあっても、引き受けてしまったりしませんか?
後で説明しますが、本来なら「頼むべきこと」を子供や部下相手に、自分の思い通りに動かそうとすることを「攻撃的自己表現」といい、逆に「頼んでいいこと」を頼まなかったり、断ってもいい場合に引き受けたりしまったりする言動を「非主張的自己表現」といいます。
アサーションは、そのいずれでもなく、頼みごとがあるときは「頼みたい」と伝え、相手から引き受けられない返事が返ってくることもあり得ると考える自己表現です。ひょっとしたら、手段としてイラストで伝えることもアリかもしれません。
2.3つのタイプの自己表現
まず、アサーションでない自己表現から説明しましょう。
〇攻撃的自己表現(アグレッシブ)
発言傾向・・・「ちゃんとやってよ」「あなたは〇〇だから」等
自分の考えや気持ちを伝えることはできるのですが、自分の言い分を一方的に通そうとして、言い分を相手に押し付けたり、言いっ放しにしたりすることです。 → ”I am OK, You are not OK.”
〇非主張的自己表現(ノン・アサーティブ)
発言傾向・・・「どうせ私は」「しょうがない」等
自分の考えや気持ちを言わず、言いたくても自分を抑え、結果として相手の言うことを聞き入れてしまうことです。非主張的な人は、相手にとっては都合よく頼りにされ、排除もされないのですが、それを続けていると、引き換えに心理的なストレスを負い、メンタル不調に陥っていくこともあります。 → ”You are OK, I am not OK,”
それでは、アサーション、つまりアサーティブな自己表現とは、どんな表現なのでしょうか。それは「攻撃的自己表現」と「非主張的自己表現」の黄金率ともいえる自己表現です。 → ”You are OK, I am OK,”
自分の考えや気持ちなどを後回しにしたり、ごまかしたりせず自分ではっきりさせ、それを伝えた方が自分も相手も大切にしていることになるかどうかを判断し、そう思ったら、正直に相手に分りやすく伝えてみようとすることです。
伝えるには、下図③のプロセスを自分の中でたどることができるようになることが重要です。特にStep.1で、奥に隠れている本当の気持ち。つらい感情ほど気付きにくいといわれています。
3.アサーションに必要な自己信頼
ところで、アメリカで生まれた「アサーション」という言葉。概して日本人は「相手を大切にしなさい」とは言われるけども、「自分も大切にしていい」とはあまり言われてこなかったということでした。しかし自分を大切にしても良いとなると、一方的に自己主張し、自分の権利だけを言いつのる人も出てきます。
そこで注意したのは「生意気とアサーションは同じでない!」ということです。そこでポイントとなるのが「自己信頼」になってきます。
自己信頼とは、簡単に言うと自信のことです。自分をある程度頼りにすることができるようになること、自分を当てにできることが自信です。自信(自己信頼)は、自分ができることは実行し、できないことを認めて助けを得ることから培われます。自分の思いを正直に、素直に表現したとき、それにきちんと反応してくれる人が必要だということになるでしょう。
下図④において、自己信頼がある場合(上段)、自分が「助けがほしい」「相談したい」ことを認めているため、「自立的な行動」につながります。他方で、自己信頼が無い場合(下段)、素直に自分の気持ちを表現できないため、嫌味やいじめにつながる可能性が出てきます。
4.言語・非言語レベルのアサーション(実践編①)
これまで説明してきましたアサーション。実践するために必要になってくるのが、アサーションのスキルです。例えば、子供が「ママ」と呼びかけるようになるために、あるいは新入社員が職場で電話の応対が出来るようになるために、話し方を練習する必要があります。そのようにアサーションにも話し方(言語)、ふるまい(非言語)のスキルの訓練が必要になってきます。
上図⑤のように、言葉と態度が一致しない場合は以下の問題が生じる可能性が出てきます。
・自分の本心が伝わらない
・相手が混乱し不安になる
・問題の解決につながらない
・人間関係が悪化する
5.言語・非言語レベルのアサーション(実践編②)
そして、アサーションの具体的場面に対する心構えがある程度できましたら、どのような表現が適切なのかが知りたくなるでしょう。コミュニケーションは経験を通じて学んでいくものなので、小さな積み重ねがものを言います。特に、ためらうような場面は避けないで、少しでもいいかたの準備をして、その結果を受け止めていくことが大切です。
なんと言って良いか戸惑うとき、葛藤が起こりそうでそれに備えて心の準備をしたいとき、とっさの反応に困ったときなど、一連のセリフ作り「DESC法」が助けになります。
「DESC法」とは、英語のD・E・S・Cのステップを踏んで自分の表現を作っていく方法で、北米でアサーションの訓練をしているバウアー夫妻が開発したものです。
D:Describe:自分が対応しようとしている状況や、相手の行動を描写する
E:Express, Explain, Empathize:自分の感情を表現・説明する。
S:Specify:相手に望む行動、妥協案、解決策などの特定の提案をする
C:Chose:提案に対する肯定的・否定的結果を想像し、その結果に対する選択肢を示す。
次の図⑥で、具体例を図解してみました。
D:Describe・・・今週は深夜まで働いて、今日はとても疲れています。
E:Express, Explain, Empathize・・・毎週恒例のドライブを今日は億劫に感じています。
S:Specify・・・今週の買い物は、必要最低限にして近所で済ませたいのだけど、どうでしょう?
C:Chose・・・来週行きませんか?もし、どうしてもショッピングセンターで買い物があるなら、ネットで買い物にチャレンジしてみませんか?
「DESC法」は、客観性と主観性を活かしながら、人のありのままのありようを交換し、互いを大切にする思いを伝えあうことを助けます。そして「DESC法」は練習するほどに、必要なポイントは自然に出てくるようになります。アサーティブな表現をしている人のセリフにはいつの間にか「DESC」が入っていることも気が付くでしょう。
※参考図書
平木典子『マンガでやさしくわかるアサーション』日本能率マネジメントセンター、2022年7月
<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>
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