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教室内で活性化した議論を進めるには 〜付箋利用のすすめ

クラスを1年間担任をしていると、生徒たちが意見やアイデアを出し合って物事を決めていく場面はたびたび発生すると思います。たとえば、学園祭の出し物決めや遠足のアクティビティを決めたり、イベントごとに遭遇します。

担任としては、それらを活発な議論の場にしたりすることで生徒たちのディベート力も向上できたり、なによりクラスの一体感が作れそうで、腕の見せ所です。
ただこういった場面では、一部の生徒ばかりに偏りがちになったり、大きな声に引っ張られてしまう傾向もあり、担任としてはどこまで介入してどこからを生徒たちの自主性に任せるのか、判断が難しいところです。

そんな悩ましい場面で、できるだけ多くの生徒を巻き込んで議論を活性化できるコツのひとつを紹介したいと思います。

言葉と人を分離させる

上記で述べているような、「一部の人ばかりに偏りがちになる」「大きな声に引っ張られてしまう」という状況には共通点があります。
そうです、「人」が主体になっているんです。
どちらも「誰が言ったコメントなのか」が重要視されてしまうんですね。

そこで、いかに「言葉と人を分離させることができるか」が鍵になってきます。

そんな場面で使うのが、ビジネスの場でもよく使う「付箋」です。
付箋によって「誰が発信した」痕跡を極力消し、言葉と人を物理的に分離させたいと思います。

では、どうやって付箋を使った議論を進めていくのがよいのか。
注意すべき点について、以下にまとめてみようと思います。

名前を書かない

言葉と人を分離させるって言っているのでそりゃそうでしょと思うものですが、学校で提出物を求められるとどうしても名前を書いて提示してしまうもの。
意見や提案に名前を書いてしまったら、結局は「人」にひっぱられてしまう可能性があります。
ですので、匿名で行います。

また、同じ理由から、付箋の色は統一したほうがいいです。
色によって人が特定されてしまいますからね。ただし、付箋の色に意味を持たせてブレストしたりする場合は別ですね。たとえば、「”黄色はアイデア”、”ピンクは事実”を書きましょう」とかです。

何枚でも書いていい

一人に1枚の付箋を渡して書いてもらう、ということではなくて、束を渡して何枚でも書いてもらってもいいってことにします。
複数枚の提示ができることで、言葉の付箋が多くなり、言葉からだんだんと人の匂いが消えていきます。そうなると、純粋に「言葉」のみに集中して眺めることができるようになります。

大きい文字で書いてもらう

小さな付箋に小さい文字で何行にも渡る文章を書いてもらうことは、できる限りやめてもらいます。どうするかというと、文字は大きく書くこととします。
文字を大きく書こうとすると、どうしてもスペースの限界を感じるので自ずとシンプルな言葉になっていきます。
最終的に付箋を黒板に貼って引いて眺めたりするので、小さな文字で書かれているより大きくシンプルな方がまとめやすくなります。
また、長い文章だとどうしても個性が出てしまいがちなので、言葉と人を分離させる点でも都合がいいですね。

始める前にルールを伝える

最後に伝えたいのは、この取り組みを始める前の大前提。
「ルール」と言ってしまうと堅苦しいので、「お願いがあります」とか柔らかめなトーンで伝えたいところです。
上記に挙げた3点(ちなみに、それぞれのやる理由は伝える必要なし)に加え、今回この過程で決めたいことを明確に提示してあげましょう。また、あくまでも議論を進める過程であるため、多数決を採るための投票ではないということも伝えてあげたいです。
そうすることで、少数意見のようなアイデアも提示しやすくなるためです。

まとめ

付箋を使ったクラス全体の議論の活性化の仕掛け、いかがでしょうか。
言葉と人を切り離すことで、言葉を発しても安全で安心であるという雰囲気を生徒たちに感じてもらうことが重要です。
また、多数決ではないので、少数意見だったとしても何かのアイデアと一緒に融合したりとか、議論のアクセントになるようなアイデアも拾いやすく、生徒たちにとっても「自分たち皆んなで考えて決めた」達成感と充実感のある議論ができるのではと思います。

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