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【読書感想文】『十三番目の人格ISOLA』から見る「雑学の活かし方」【ネタバレ無し】

どうもこんにちは。
水島ひらいちの八重です。

今日は、初めてnoteの募集タグのお題に沿ったことを書こうかなと思い立ちまして筆を執りました。
水島ひらいちの運営二人は読書が好きな方だと思うのですが、その中でも私(八重)はミステリー小説が大好きです。

特に、貴志祐介さんの書く小説はトリックも優秀で、登場人物の機微も細かく描写されており…何より読みやすい文体でページがサクサク進むんですよね。
貴志さんのことを知ったのは、『青の炎』なんですが、『硝子のハンマー』『鍵のかかった部屋』など本当に面白い。
『青の炎』なんて、ラスト2ページで声が出ました。
小説読んでて「え!!えぇー!?」とか叫んだの初めてです。笑

貴志さんといえば、忘れてはならないのがホラー小説。
まあまあ前ですが、『悪の教典』なんかは映画化で話題になりましたよね。
そんな氏の実質的なデビュー小説、『十三番目の人格ISOLA』を、先日読みました。

ざっくりとあらすじを説明すると、以下です。

加茂由香里は、人の強い感情を読み取ることができるエンパス。
あどけない少女の千尋が持つ多重人格障害に胸を痛める。
やがて十三番目の人格<ISOLA>の出現に、彼女は身も凍る思いがした。
(KADOKAWAより抜粋)

作中に登場するこの「千尋」という女子高生ですが、彼女の一つ一つの人格は名前を持っています。
・一番の理解車であり、理性的な性格の「瞭子」
・無垢な幼い人格の「瞳」
・つらい状況になるとストレスを一身に背負う「忍」
・饒舌だがたまに嘘をつく「陽子」

など。

千尋は家庭の環境により、物心ついた頃に漢和辞典と『雨月物語』しか読むものがありませんでした。
彼女の人格は、この漢和辞典に載っている漢字の意味がそのまま投影されていると説明されています。

そして、ここが一番おもしろいのですが、
彼女の人格の漢字は、その漢字の意味の中で"最も悪い意味"が投影されているといいます。

例えば、彼女の中に「範子」という人格がいるのですが、

<範>
形声。車と、音符笵(ハム)(は省略形)とから成る。もと、犬を車でひき殺し、車輪に血をぬる門出のはらいの意を表す。のち笵に通じて、「かた」、てほんの意に用いる。

この成り立ちの意味が命名規則となり、「範子」という名前になるわけです。
ネタバレとまではいきませんが、範子は作中に犬を殺しています。

先程あげた幼女人格の「瞳」も、辞書で調べると『無知な様』という意味表記が見つかりますし、明るい性格の「陽子」も、陽という字が『いつわる』という意味を持つことが明らかになります。

この設定が、最後の最後にゾクゾクさせるオチとなるのですが…ここでは一旦筆を擱きましょう。

さて、私はこのくだりで辞書の読み方を感じさせられた気がします。
千尋が深く理解するためにどのように情報を読み込んでいるのか。もとい、貴志さんが小説のタネにどんなものを使っているのか。
(メタな考え方ですが)

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(天才のご尊顔)

規範の『範』は、元々犬を轢き殺した血で門出の無事を願う慣習から来ていた
↑こんなの、多分我々のnoteで週に2回は投稿している内容です。笑

つまり、こういった雑学のような内容でも創作のカギになる設定ができたり、あっと驚くようなストーリー構成の一部になったりする可能性があるということです。

ということで、我々もついに小説を書くときが来たのかもしれません。
どれどれ…つい最近涼が上げてくれた雑学は…

よし!
『陸上で溺死したコアラの謎』でいこう\(^o^)/

(おしまい)

#読書の秋2021

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