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俺が麻雀プロ試験に落ちるまで 前編

どうも、ひらおです。

普段は麻雀プロをしています。

最高位戦日本プロ麻雀協会という団体の試験を受けて入会し、現在プロ3年目。

まだまだ無名の選手ではあるが、放送対局にも2度出られているし、そこそこ充実した活動ができている。

そんな俺だが、実はプロ試験に一度落ちている。
正確には、正規合格に一歩及ばない『研修合格』という制度に引っかかって研修生になり、
半年間の研修と試験を経て正式にプロになった経歴を持つ。

そもそもなぜ麻雀プロになろうと思ったのか?
どうして落ちたのか?

皆さんが気になるであろうそのあたりを(気になるよね?)、前後編に分けて記事にしていきたいと思う。
前編の今回は、受験を決意するまでの話。


2020年12月頃――。

俺は長年抱えていたある思いが大きくなってきているのを感じていた。
それはふつふつと腹の中で煮え、全身の血管を巡って脳を貫き、その衝動は耐え難いものになっていた。

そう。

麻雀プロになりたい!

という気持ちである。

なんでそんなことを思ったのか説明するのは難しいのだが、あえて簡潔に言えば、
勝負の世界への思いが爆発してしまったのである。

将棋の奨励会を辞めたのが高2の時。

それからの人生は、はっきり言って辛いことが多かった。

特に大学2年生の途中から仕事を辞めるまでの4年間は本当にずっと病んでいた。

その時期のことはいずれ別の記事で(なるべくポップに面白く!)書くつもりだが、
病んでいる間はいろいろなことができなくなった。

寝ることと起きることがちゃんとできなくなった。
文章を読むことも、人と話すことも難しくなった。

でも、どんなに病んでもできることが3つあった。

飯を食うこと、将棋を指すこと、そして麻雀を打つことだった。

遥か彼方に置いてきてしまったような現実感、「これは俺の人生だ」という感覚が、
勝負事に触れているときだけは戻ってくる。

自分で発した言葉もわからなくなってしまうような、
ふやけてぐちゃぐちゃになった廃棄寸前の脳みその歯車がカチッとはまり、正常に動き出す。

生きてるなぁ、まだ。

そんなふうに思いながら夜な夜な天鳳を打ち、RTDリーグを観る。
束の間寝落ちして、平賀さんと戦っている夢を見たりする。

だが、朝になり、学校や仕事に行こうとするとまた脳と身体がバラバラになっている。

きっとこれは夢なんだろう。
長い悪夢を見てるんだろう。
眠る場所を変えるだけだよ。

そう自分に言い聞かせ、重い体を引きずって、眠るように出かけていく。

別記事にするとか言ってた割に病んでるくだりが長いね!?ごめんね!

とにかく、そんな感じで超☆オワッテル時期があったのだが、
どうにか生活を立て直し、再就職やら資格取得やらを頑張って結婚もしたわけですな!

だけど、またストレスが溜まってきたときに、心が警告を発したのだ。

(このままだとアブナイよ)
(またあの生活に戻っちゃうよ)
(やりたいこと、ちゃんとやったほうがいいよ)と。

とはいえ、麻雀プロになるということはほぼ金にならない、むしろ金と時間を取られる選択である。

俺は結婚したばかりだったし、貯金もなかった。
妻のことを考えると、身勝手なことはできない。
しかし…。

悩んだ末に、俺は妻に相談することにした。

こんな感じで妻に説明した
これ以降のページはコンプラ怪しいw

俺「かくかくしかじかで仕事とは別に麻雀プロになりたいんだけど

妻は、俺と全く違う人生を生きてきた人だ。
麻雀のことも、麻雀界のことも、全然知らない。
むしろ、家族が麻雀で嫌な思いをしたとかで、麻雀にマイナスなイメージも持っていた。

だから、断られると思っていた。
説得されると思っていた。

「ぜひやったらいいと思う」

予想に反して、妻は賛成してくれた。

「あなたの人生なんだから、やりたいことをやったらいいと思う」

世界が変わったみたいだった。

俺はそれまで、「いつかフツウにならなきゃいけない」と漠然と思っていた。

でも、妻がそう言ってくれて、自分の人生を普通に生きていっていいんだって思えた。

生きてきてよかったと思ったし、妻に出会えてよかったと思った。

ありがとう。

さて、この流れで試験に落ちるやついる?
いるんだよなぁ。

続く

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