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共感と理解

いま、エンタメの作品を作っているので、共感と理解に関して考えてばかりいます。エンタメの作品を作っていると言っても、仕事でやっている訳ではありません。「仕事ではない創作」として作っているんです。もっと言えば「仕事ではない創作」は、世の中に発表する予定もない活動なんですが。

何度も書いて来ましたが、私は世の中に発表しない創作を今までして来ませんでした。そんなもの、人生の無駄だと思っていたからです。でも世の中に発表しない創作をするようになってから心がとても穏やかですし、新しい事をどんどん吸収出来ています。

エンタメに関していろいろ考えるようになって、私は人に共感される作品を作って来なかったんだなと改めて思いました。私が20年あまり作ってきた短編映画は、人々に理解してもらう作品なんです。「難解なんだけど、どういう意図なんだろう?」と思ってもらう様に作って来ました。共感という事を軽んじて来たとも言えますし、その自覚もあります。

理解してもらう作品がなぜ大きく広がって行かないかと言うと、理解するためには経験や勉強や努力が必要だからなんです。リテラシーと言ってもいいかも知れません。「リテラシーの低い人ばっかりだからオレの作品は人気が無いんだ!」と言いたい訳ではありませんよ。

例えば、絵画とか建築とか歴史でもそうじゃないですか。それらに関して知識が無いと楽しめないモノって世の中にたくさんあると思うんです。私は日本史をしっかり勉強して来なかったので、大河ドラマが全然面白くありません。たぶん少しでも日本史を勉強すれば、大河ドラマも面白いでしょうし、日本各地の名所旧跡だって魅力的に感じると思うんです。

一方で共感は、経験や勉強や努力をしなくても感じることが出来るものです。だから、共感で作った作品は多くの人の心に刺さります。そういう作品は見たり読んだりするのも楽ですからね。事前にインプットしておく情報が必要ありません。

例えば、共感モノの王道は、余命モノとか病気モノとか恋愛モノですね。これらは人間の生物としての本能に直結している事柄なので、事前にインプットしたり勉強したり努力する必要がありません。恋愛は遺伝子を残すという生物の根源的な衝動の事ですから、共感されるのは当たり前なんです。余命や病気は言うに及ばず。

何なら「キュン」という気持ちだって人間の根源的なモノでしょうからね。もっと言えば、魚類や両生類や爬虫類にだって「キュン」はあるはずなんです。「キュン」は「コイツと一緒にオレの遺伝子残してえ!」の導入なんですから。

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Xや無料noteでは言えない事。毎記事2000文字以上。月に5〜8回投稿。多い時は10回以上。映画監督、映像ディレクターの仕事について。フリーランスの生き抜き方をフリーランス歴20年以上の経験から。「中年の危機」に悶絶している様子をリアルタイムに報告。子供を2人育てる父親の視点と哲学。世の中に対する日々の雑感。親友の画家、石田徹也について。などなどを書いています。

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