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還る場所

 彼女はどこにいるのだろうか。

 天国にいるのだろうか?
(極楽浄土にいるのだろうか?楽園にいるのだろうか?)

 死んだ人はどこにいるのだろう?

 そこはどんな場所なのだろう?

 なにもかも優しく柔らかな靄(もや)に包まれた世界を漠然と想像する。ちょっと夢見心地がする世界を。

 天国がどんなことろかに思いを馳せる。
 いつか見た風景。
 いつも見ている町並み。
 見たことのない理想郷ではなく、現実と地続きの場所なのではいかと思う。
 気づかずに僕もそこに迷い込んでいるのかもしれない。
 もうすでにここは昨日までいた世界じゃないのかもしれない。

 その場所に立つといつか来たような懐かしい気持ちになる。
 もしかしたら私は昔ここにいたのかもしれない。ひとつの個としてではなく世界の一部として。
 この体を形作る細胞は世界が誕生して以来存在するそうだ。
 僕の体を構成する要素は僕である前からずっと存在している。
 だとするならその少女も世界のどこかにいるのだろう。すぐ近くにいるのかもしれない。

 少女はいつもそばにいる。天国にもいつでもいける。
 少女は共にあるのかもしれない。天国はここなのかもしれない。



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