人生の勝算を読んでみて

1.この本を手に取ったきっかけ

メモの魔力を読んで著者の前田裕二さんの考えに惹かれ、他の本も読んでみたいと思った時にこの本に出会った。本屋でプロローグのページを立ち読みした時に、逆境から這い上がるストーリーやビジネス・起業についての話についての考えを吸収したいと思い購入に至った。

2.内容要約

第一章 人は絆にお金を払う

前田裕二さんは8歳の時に両親を失い、生きる意味を見出せなくなるくらいどん底に落ちていた。前田さんは不遇な運命を変えるためにとにかくお金を稼いで自由になりたいと考えるようになった。小学生なのでアルバイトをさせてもらえず、どうやって稼ごうか考え、たどり着いた答えが、路上で弾き語りをし、そこで道行く人を感動させて、おひねりをもらうことだった。試行錯誤をし、その人のために弾けるように練習して、実際に弾き語りしてみせることが、感動を与えた。この経験が後々の人生やビジネス、起業につながってくる。

第二章 SHOWROOMが作る新しいエンターテイメントの形

インターネットが登場するまでは、特別なルックスを持っているかコネがない限り、芸能界で売れることは難しい状態だった。前田さんはそんなエンターテイメント業界に疑問を持っていた。生まれた境遇や人種などの、自分ではどうにでもならないハードルを、熱量や努力次第で超えられる仕組みを作りたいという思いからSHOWROOMを立ち上げた。
インターネットの出現により、タレントとファンの距離が近くなったことで、配信頻度を増やしたり、ファンとの交流を増やすことでファンの数やギブティング数が増える現象が起きた。そして、ファンとの距離が近くなったことでエンターテイメント業界の構造が変わった。視聴者の求めているものが、歌がうまいとか、芸人で言うとネタが面白いとか、わかりやすく伝統的に「面白い」ものよりも、未完成であり、足りない部分があるが応援したいという「共感」に変わっていった。つまり消費スタイルが、単なるモノ消費・コンテンツ消費から、ヒト消費・ストーリー消費に移ってきている。SHOWROOMでは、コンテンツの供給側と受け取る側が心で繋がって、絆が生まれる、コミュニティが生まれる、感動が生まれる、そういうものをビジネスに転換していく。

第三章 外資系投資銀行でも、求められたのは「思いやり」

前田さんは宇田川さんという尊敬するエリートに出会い、UBS証券に入社した。内定した後に、宇田川さんに「この仕事をする上で、勉強しなくてはいけないことは何ですか?」と聞いたところ、こう言われた。「勉強なんかいらないよ。とにかく人に好かれること。秘書でも掃除のおばちゃんでも、受付の人でも好かれなくちゃダメだ。」
宇田川さんのこの言葉の背景を説明する。宇田川さんは、営業成績がずっとトップで数々の記録を塗り替え、社内でライバルがいない状態まで登りつめた。その時に、一人で辿りつける高みに限界を感じ、より高みへ到達するために、個人の欲が消えていき、部下の育成に膨大な時間を使うなど、チームプレー重視の働き方に変えた。それ以来、彼はチームでより高みへ到達するために2つのことを意識するようになった。
①誰からも好かれてサポートしてもらえる環境を作ること。そのためには自分から好きになることが必要だと感じていた。
②自分のこと以上に周りに時間を使って、周りを強く育てることで、チームとして最強になること。
前田さんは、宇田川さんと出会って以来、無条件で相手のことを好きになることを心がけているそうだ。人に好かれるのは自分の意志ではどうにもならないが、人を好きになるのは自分次第でどうにでもなる。ビジネスの世界では、突き詰めると、スキルだけでは差別化はできない。同じレベルのスキルを持っている同士で競争をした場合、誰かを選ぶきっかけは結局「好きな人」である。超エリートばかりの職場でも「人を見て判断する」というルールは共通している。スキルより愛嬌。自分が何を与えたいかよりも相手が何を欲しいか。こういったた視点が良いサービスや事業を作る上で大切だと思う。

第四章 ニューヨーク奮闘記

前田さんは入社2年目でニューヨークに転勤した。新人では異例の抜擢だったそうだ。ニューヨークでもトップの成績を残していた。飛び級で昇進し、今までになかった量の昇給があった。順風満帆だったが、学生の頃に組んでいたバンドメンバーの死をきっかけに急激に死の短さを感じるようになった。

第五章 SHOWROOM起業

ニューヨーク勤務時代に、学生の頃に組んでいたバンドメンバーの死をきっかけに、前田さんは死の身近さ、そして人生の儚さをまざまざと突きつけられ、「代替不可能な仕事に着く時間はない」「代替不可能な価値を新しく0から作り出してみせる」と固く心に誓った。仮に自分が生きるこの世界Aとは別のパラレルワールドBが存在するとして、自分の存在によってAとBの世界を変えたい。そのためには自分で事業を立ち上げることが一番の近道だと思い、本格的に起業プランを練り始めた。「これならいける」という事業アイデアを3つに絞り、実際に起業への思いを具体的な行動に落とし込んだ。起業資金の目処が経ち、事業アイデアを一つに絞ったところで、尊敬しているDeNAの創業者の南場さんに起業の意思を伝えたところ、帰国してご飯に行くことになった。そこで事業アイデアを伝えたところ、「悪くないけど、今の前田くんでは努力しても上手くいく可能性は厳しい。事業を興して成功するには金融やコンサルにいる人たちが持たない、また別の力が必要だ」とご教授いただいた。その後、南場さんに「事業の立ち上げを勉強するために、ウチで修行したら?」と口説かれ、結果的にDeNAに中途入社することになる。DeNAに入社後にアジアのネットサービスを視察すべく、中国にいく機会があった。中国ではYY直播というライブストリーミングが流行っていると知り、そこで配信者に数百万など信じられない額を投げ銭する熱狂的なユーザーがたくさんいることがわかった。バーチャルギフティングを通じた承認欲求の充足は、ベーシックニーズを満たした人類全てに当てはまる根源的欲求だと感じた。つまり日本人にも当てはまる。中国でのYY直播の件と弾き語り時代にやっていたことを掛け合わせてSHOWROOMを立ち上げた。
SHOWROOMのビジョンを決め、たくさんの挫折をした。元々はあらゆるジャンルに対応できるようにするつもりだったが、アイドル市場に特化して認知をしてもらい徐々に間口を広げていく戦略に変えた。アイドルとの接点がないため、都内の地下アイドルが集うライブに通いつめ、気になったグループに出演交渉した。電話営業も並行して行い、毎日数えきれない数の芸能事務所にコールドコールを続けた。愚直な営業で信頼を積み重ね、有名アイドルにも出演していただけるようになってきた。そしてAKB 48に出てもらうために愚直にお願いし、ロサンゼルスに一人で向かい秋元さんと食事をご一緒させてもらい、そこで出演交渉が成立した。AKB48が出演した後、テレビで話題となり、サービスの成長に繋がった。

第六章 SHOWROOMの未来

今後の具体的なステップは
SHOWROOMにアイドル以外のコンテンツを充実させることで、専門店から総合店になることを目指す。

回線が5Gになり、データ通信量がただになる時代がくる。そうなれば動画の利用がより増え、「いつでも動画で繋がれる」感が若い世代が次に求めるコミュニケーションになる。
SHOWROOMは時代の変化を的確に捉え、世界一になる。世界一にこだわる理由は自分のコンパスが世界一を指し示すから。逆境をバネにしてどこまで高みに登れるのか人生を通じて証明したいと言うコンパスを持っているがそのコンパスが日本一程度じゃ許してくれないから。日本人の力は世界に劣ってないことを証明するため。人は生まれてくる環境や運命を自ら選択することはできないが強い志があればその環境を跳ね除け、むしろバネにして、果てしない高みに到達できる。
そんな公平で暖かい世の中を作るのがSHOWROOMの存在意義であり、ミッションである。
これからもSHOWROOMは「エンターテイメント」を武器にして、一つ一つ着実に命をかけて、地球上に存在する機会格差をなくしていく。


3.感想


前田さんの逆境を乗り越えて、自分の熱意や努力次第で後天的に人生を変えることができるという思いに強く惹かれた。第三章で仕事をする上で人に好かれることの大切さについて書かれていましたが、かなり刺さった。人に興味がないタイプで、人への思いやりが足りないと思う部分があるので改善していきたい。人の好きなところを見つけるところから始めよう。

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