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言葉は魔法だ

みんな、魔法が使える。

某有名魔法映画のスタジオツアーで盛り上がる世間。
少年少女からいい年したおっさんおばさんまで、人はみな魔法に憧れを抱いている。誰もがみな自在に魔法を操り、理想の世界を築こうとしている。選ばれた男の子でないのにも関わらず。

言葉は魔法だ。

人を喜ばせ、人を従わせ、人を狂わせ、人を悲しませ、人の命を奪う。
使い手の力量を素直に表し、使い方によっては毒にも薬にもなるところなんか、魔法にそっくりである。みんな、魔法が使えるのだ。口から、手から、体の動きから繰り出される魔法を日々使っているのに、これ以上何に憧れることがあるのだろうか。

魔法使いは万能ではない。

なぜいきなり最強の魔法使いになれると思うのだろう。この世に存在する魔法すら使いこなせずに、どうやって空想の世界で名声を得るのだろう。自己研鑽を怠った先に得られるものなどたかが知れている。2cm浮く魔法を手に入れて、どうするのだろう。今度は空を飛びまわる人に憧れを抱くのだろうか。みな人を傷つける魔法ばかり手に入れようとする。自分や自分の大切なものまで傷つけてしまうとは考えもせずに。

身近にある魔法はなぜ軽視されるのか。

磨けば磨くほど使いこなせるというのに、磨こうとせず、濁りばかり増していく。自分は選ばれたものだという驕りでもあるのだろうか。もしくは、もう諦めてしまったのだろうか。
やりたいことだけやっている、やりたくないことはやらない。やりたいこともやらない。やりたいことなどない。世界を広げようとせず、世界を見ようとせず、世界から出てしまっていては、魔法は濁っていくばかりだ。

言葉には温度が乗る。

自らの感情そのものとなる場合もあれば、あえて温めたもの、冷やしたものが出てくる場合もある。言葉には色が乗る。単純な色が混ざり、見たこともない色を作り出す。なんだ、言葉は魔法そのものじゃないか。良かった。


明日から空想の世界への憧れは一つ減るみたいだ。

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