引け値買いはベストの戦略なのか?
株は、引値で買った方が良さそうだというツイートを見たので、検証してみたよ。
比較対象は下記の3つ。
比較対象
・寄り付き買い、引値売り
・前日引値買い、寄り付き売り
・初日買いでホールド
検証コード
コードは下記の通り。
(累積和を取るように修正しました。)
import datetime
import pandas as pd
import yfinance as yf
import matplotlib.pyplot as plt
%matplotlib inline
start = datetime.date(2020,3,23)
end = datetime.date(2021,6,5)
codelist = ["SPY"]
df = pd.DataFrame(yf.download(codelist, start=start, end=end))
df=df.dropna()
df["Hold"]=(1+(df["Close"]-df["Open"].iloc[0])/df["Open"].iloc[0] )#初日寄り付き買いホールド
df["Buy Open and Close Sell"]=(1+(df["Close"]-df["Open"])/df["Open"] )#寄り付き買い
df["Close"]=df["Close"].shift() #引値1行ズラす
df["Buy Close and Open Sell"]=(1+(df["Open"]-df["Close"])/df["Close"])#前日引値買い
df2=df.loc[:,["Buy Open and Close Sell","Buy Close and Open Sell"]].cumprod()
df2=df2.join(df.loc[:,["Hold"]])
df2.plot()
1箇所、トリッキーな処理をしているのは、下記の処理。
df["Close"]=df["Close"].shift() #引値1行ズラす
引値を1行下にシフトさせて、前日引値買いの処理を簡単にしている。
結果
2001年4月1日以降のパフォーマンスを見ると、下記の通り。
ホールドが圧倒的で、引け値買い戦略、寄付き買い戦略は一進一退の攻防をしている感じ。
ホールドをグラフから削除して、詳しく見ると下記のようになる。
引け値買い戦略、寄付き買い戦略は一進一退の攻防をしているわけだが、
引値買いが優勢になっている時というのは、みんなが相場が空いた時に買いたくなっている状態で、寄り天になりやすくなっている局面だ。
相場が活況な時に、こう言う傾向になっているように思われる。
このグラフを作成する時、開始日を2001年4月にしたのには理由があって、1993年を起点にすると、下記のように、どっちが優勢か見にくくなるからだ。
ドットコムバブルの時は、寄り付きで買いたい人が多かったようで、寄り天の傾向が今よりも酷かったように見える。そして、その反動で、最初のグラフのように、ドットコムバブル崩壊後の2001年4月を起点とすると、直後は、寄付き買いが優勢になっている状態だ。
ちなみに、1993年を起点として、ホールドの情報を復活させると下記のようになる。
この期間でみると、引値買いの戦略が、ホールドを上回っている!(売買手数料は考慮できていませんが…)
結論
相場が活況な時は、引け値買いが優勢な様子。
寄天の傾向が高かったドットコムバブルの時は、引け値買いの戦略は有効だったようである。長期で見ても、この時の蓄積はホールドに勝るパフォーマンスになるぐらい大きな影響を及ぼしている。
そして、最近の傾向も、寄り付きで買うより、引値で買うのが良さそうに見える。
しかし、相場の状況によって優位性は変わるので、下図のように、この戦略が、常に最適とは限らない。
相場の状況を考えながら、売買戦略を考えるのが良いのだろう。
ただし、この売買戦略には、毎日の売買手数料が考慮されていないので、手数料が無料でない限り、結局、ガチャガチャとトレードするよりは、ホールドの方が、よいパフォーマンスになっているように思う。
引け値買い戦略は、常に最適とは限らないが、相場に過熱感があるときは、優位性があるように思われる。ホールドをする人も、相場の状況を考えながら、引け値で買うことを考慮してもよいのかもしれない。
(過去データを上記の期間で検証したものであり、今後を保証するものではないのでご注意ください。)
何かの参考になれば、幸いです。では。
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おまけ
複数の銘柄を連続出力できるように繰り返し処理を付け加えました。
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